必要な保険は掛け捨ての生命保険だけ

掛け捨ての生命保険だけ。入院特約は不要

私はかつて保険代理店事業の責任者をしていた時期がありました。そこで、何を勧めれば良いかを調べました。結論は、掛け捨ての生命保険1本です。医療保険、入院特約、通院特約、がん保険などはすべて不要でした。

なぜなら、生命保険会社の部長さんたちは、それしか入っておらず、それ以外は不要だからだそうです。

勤めている会社の福利厚生の掛け捨て保険

大手の会社に勤めていれば、会社の福利厚生で斡旋してくれる保険に入るのがベストです。会社で斡旋していなければ、都道府県民共済が良いと思います。

日経の2023年12月2日の記事を見てみましょう


必要な生命保険は1本だけ? 元営業員が見直し方を指南

長い老後を生きるための資金をつくるには、無駄な出費の削減も欠かせない。その検討対象として大きいのが保険だ。保険加入の是非を問う著書を多く世に送り出してきた専門家の後田亨さんに、改めて保険の見直し方のポイントにつき、寄稿してもらった。

結論から書く。「人生100年時代、長い老後を想定し、資産を増やしたい」人は、保険を極力、利用しない方がいい。加入すべき生命保険は1種類、「自立していない子どもがいる世帯主が期間限定で死亡に備える保険」である。

自立していない子どもがいないなら、生命保険は不要だと筆者は考える(ただし、相続対策目的の生命保険はこの限りではない)。不要な生命保険に入っている人は解約した方がいいだろう。

自動車保険の入り方に学ぶ

このような結論になるのはなぜか。「自動車保険の入り方」に学ぶといい。「自動車保険」では、専門知識を持たない一般の人たちが最良の選択をしているからだ。「自動車損害賠償責任保険」には迷わず加入し、「車両保険」には加入しないことも珍しくない。車両保険に加入する際も、10万円までの修理費は自己負担するといった条件を付けて保険料を抑えている。要するに、「不測の事態が起きたときに必要となる金額の大きさ」だけで加入の是非を決めているのだ。

上の図で、自動車保険の「自動車損害賠償責任保険」と「車両保険」の違いをご覧いただきたい。横軸は「万一のときが起きる頻度」、縦軸は「万一のときが起こったら、必要になるお金の額」だ。「リスクマップ」と呼ばれることもある。このマップの下半分は大金がかからないので、保険の必要性は下がる。車両保険に加入しない人は、「事故が起きても自分のお金で対応できる」と考えていると推察される。

マップの上半分で保険の利用が向くのは、上半分の左側に該当する場合だ。自動車損害賠償責任保険に入るのは、「万一、事故を起こして多額の賠償責任を負うような事態になったら、自分のお金では対応できない」からだ。加えてそうした事故の発生率は低いので、安い保険料で高額な保障を持てるからでもある。つまり保険は、「まれに起こる重大事」への備えに最適なのだ。

さらに重大な事態がいつ起きるのか分からないことも重要だ。仮に今住む場所が5年後に天災で壊滅的な被害を受けると分かっていたらどうか。保険に入るより5年以内に転居すべきなのは自明だ。

保険利用の3つの条件

こうして自動車保険の加入法を確認すると、保険での備えが向く条件を整理できる。それは①めったに起きない自己資金では対応できない大金が必要になるいつ起きるか分からない――の3つの条件全てに該当する場合だ。

そこで「人生でまれに起こる重大事」を考えると、現役世代の急死が浮かぶ。備えなら「死亡保険」だ。一般の方々の関心が高く、契約件数が最も多い「医療保険」と比べてみよう。

現役世代の急死はリスクマップの左上に該当する。例えば自立していない子どもがいる世帯主が亡くなると、年間、数百万円が不足する家庭もあるからだ。その代わりに若くして亡くなる人は少ないので、一定期間ならば月々数千円の保険料で1000万円単位の死亡保障を持てる。

一定期間の備えは、「掛け捨て」の保険で行うのが正解だ。例えば加入直後に「万一のとき」が起きても1000万円単位の保険金が給付されるのは、無事に過ごしている加入者のお金が使われ、そのお金は返還されないからだ。従って、「掛け捨てこそ保険ならではの備えができる」と理解したい。

一方の「医療保険」は、保険ならではの恩恵が少なくなる。健康保険など、国の医療保険制度のおかげで、医療費の家計への影響は大きくないからだ。

保険で資産を形成できる?

「資産形成」目的で案内される保険にも触れておこう。終身保険、養老保険、個人年金保険など現行の商品で薦められるものはない。販売手数料などの諸費用が高く、「運用に回るお金が少ない」からだ。円建て保険でも外貨建て保険でも同じだ。保険会社は国内外の債券や投資信託で保険料を運用している。保険会社を介さずに直接、投資信託などを購入する方がいい。

人の寿命が延びても、加入者から集めた保険料を各種給付金に変える保険の仕組みは同じだ。従って、3つの判断基準も変えなくていい。なお3つの条件のいずれかに該当しない保険に加入中で、継続の是非をお悩みの方は、金融商品の販売に関わっていないアドバイザーに相談してみてほしい。手数料ビジネスでの販売員と顧客は「利益相反」の関係にあるからだ。

人生は長い。大半の「見直し」は遅くないことを最後に強調しておきたい。

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