国債の買い入れ減額幅を2000億円ずつに縮小

日銀は去年8月から国債の買い入れ額を3か月ごとに4000億円ずつ減らしていますが、来年4月以降はペースを落とし、2000億円ずつに縮小します。


日銀金融政策決定会合 利上げ見送り 来年4月以降の国債の買い入れ減額幅を2000億円ずつに縮小

2025/6/17 YAHOO!JAPANニュース

日本銀行は先ほどまで開いた金融政策決定会合で追加の利上げを見送り、政策金利を現在の0.5%で維持することを全員一致で決めました。

また、日銀は去年8月から国債の買い入れ額を3か月ごとに4000億円ずつ減らしていますが、来年4月以降はペースを落とし、2000億円ずつに縮小することもあわせて公表しました。

「異次元の金融緩和」で去年7月まで月額6兆円程度あった日銀の国債買い入れは、再来年1月から3月には月額2.1兆円程度に減る見通しです。


日銀が来春から国債減額圧縮、植田総裁「市場安定に配慮」-政策維持

2025年6月17日 Bloomberg

日本銀行は17日の金融政策決定会合で、2026年4月から国債買い入れの減額幅を圧縮することを決めた。金融政策は据え置いた。植田和男総裁は減額計画では市場の安定に配慮したとの見解を示した。

新たな国債買い入れの減額計画の期間は27年3月までの1年間。毎四半期の減額幅を現在の計画の4000億円程度ずつから2000億円程度ずつに半減させる。27年1-3月期の月間の国債買い入れ額は2.1兆円程度となる。

来年6月の決定会合で新計画の中間評価を行う。中間評価では計画の維持が基本となるが、必要なら修正する。27年4月以降の買い入れ方針についても検討し、結果を公表する。

植田総裁は記者会見で、来年4月以降の減額幅縮小について「国債買い入れの減額が進展する中で、今後の減額ペースが速過ぎると市場の安定に不測の影響を及ぼす可能性もある」と指摘。市場参加者の意見も参考にしつつ、「国債市場の安定に配慮した形で、市場機能の改善を進めていけるようにした」と述べた。

Bank of Japan Governor Kazuo Ueda News Conference After Rate Decision
日本銀行本店Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
会合では金融政策運営とともに、昨年7月に決めた現行の国債買い入れ減額計画の中間評価と来年4月以降の買い入れ方針を議論。市場予想に沿った決定となった。日銀は来春以降も購入規模の縮小を進めていく中で、先行きの市場の不安定化を未然に防ぐ措置を講じた。

大和総研の久後翔太郎シニアエコノミストは、減額計画にサプライズはなかったとの見方を示した。その上で、日銀の買い入れが減る中で「中長期的に国内の需給緩和で長期金利が上がっていくリスクは非常に高い」と指摘。長期金利は市場に応じて決まるとは言え、「需給緩和をなるべく緩やかな形で進めていく」という意図は読み取れると語った。

ブルームバーグが3-10日に実施したエコノミスト調査によると、来年4月以降は減額ペースが鈍化するとの予想が65%を占め、減額幅は2000億円が最多の40%、次いで3000億円が25%となっていた。55%が新計画の終了後の月間買い入れ額が2兆円程度になると回答していた。

植田総裁は、今回の減額計画は財務省と密接な意思疎通を行った上で決定したと説明。少し先までの方針を明らかにすることによって、政府の国債発行にとって「不確実性が一つ減るというプラスがある」と述べた。

現行計画は、月間買い入れ額を昨年7月の5.7兆円程度から来年1-3月に2.9兆円程度とする方針を据え置いた。長期金利が急激に上昇する場合は、買い入れ額の増額など機動的にオペで対応し、必要な場合は計画の見直しがあり得るとする方針も維持した。

日銀は減額計画について、市場安定に配慮し、機能改善を進めていけるよう、段階的に減額していくと説明。27年3月の保有国債残高は減額前の24年6月と比べ16-17%減少するとしている。

田村直樹審議委員は新たな減額計画に反対。27年3月まで現在の減額幅を続ける議案を提出したが、反対多数で否決された。

同時に公表した7-9月の国債買い入れ方針では、予定通り購入額を4-6月に比べ4000億円減額した。対象は1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下の中長期ゾーンで、超長期ゾーンは据え置きとなった。最近の国債市場では超長期金利が乱高下する展開が見られていただけに、減額が回避されたことは一定の安心感につながる可能性がある。

金融政策

金融政策運営は、政策金利である無担保コール翌日物金利が0.5%程度で推移するように促す金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定した。政策金利を据え置くのは3会合連続。エコノミスト調査では、トランプ米政権の関税政策の影響を見極める必要があるとし、全員が政策維持を予想していた。

政策判断で重視する基調的な物価上昇率については、成長ペース鈍化などの影響でいったん伸び悩むと説明。その上で、27年度までの「展望リポートの見通し期間後半には物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移する」との見方を維持した。

植田総裁は、基調的物価が「やや2%を下回っており、加速的感を持って上がっている状況ではない」との見方を示した。消費者物価総合の高い伸び率が期待インフレ率などを通じて影響する可能性を指摘。一方、海外の通商政策の影響が「今年後半に本格化する可能性がある」とし、基調的物価にも及ぶこともあり得ると述べた。

カナダを訪問中の石破茂首相は16日午後(現地時間)、トランプ米大統領と首脳会談を行った。日本側は今回の会談での合意を模索していたが、双方の溝は埋まらず、協議継続を確認するにとどまった。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、米関税交渉が長引き、その影響がマクロ経済データとして表れるには時間がかかるため、日銀は「利上げの姿勢を維持しつつも様子見が続く」とみている。次の利上げは「早くて来年1月、メインシナリオは春闘の結果がある程度分かってくる3月」と予想した。

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