MMT(現代金融理論)

◎今日のテーマ:MMT(現代金融理論)

MMT

MMT(Modern Monetary Theory)とは、「独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度無く発行できるため、財政赤字が大きくなっても問題は無い」という考え方が中核にあります。そして、「インフレにならない限り財政赤字を気にしなくてよい。」という立場を取っています。この「インフレにならない限り」というのが曲者で、「インフレ、しかも、ハイパーインフレになる恐れがあるので、問題だ」という考え方に対しての有効な反論になっていません。

アメリカ・ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授は、「巨額債務を抱えるのに、インフレも金利上昇も起きない日本が実例だ」と主張します。しかし、日本で金利が上昇しないのは、日本銀行がどんどん国債を購入しているからで、もし、国債購入を止めたら、国債が買いたたかれて、金利が上がるかもしれません。それは現在は分からないのです。これについて、後ほど図で説明します。

30年前の日本は緑色

図のA1●は国債残高で緑の枠の左にあるほど、残高が少ないことを意味します。緑は、ハイパーインフレの無い状態です。1989年から1993年の5年間、特例公債残高は増えませんでした。この頃は、緑の一番左の方にあるので、ハイパーインフレになる心配はありません。

異次元緩和金融政策で黄色に移行

その後、1994年から現在に至るまで、特例公債残高は増える一方でしたが、低金利の時代が続き、インフレにはなりませんでした。2013年から異次元緩和金融政策がとられた、日本銀行が強制的に低金利を続けたので、高金利になるかどうかは不明の状態です。それが黄色の状態です。

大地震で突然赤に移行する恐れ

将来、日本銀行が異次元緩和金融政策を止め、その時に首都圏直下型大地震や南海トラフ地震が来ると、建設需要、復興需要などで、一気に高インフレの状態になる恐れがあります。それが赤の状態です。

地震が起きなくても赤になるかも?

また、大地震の来る前に、国民や企業が、日本円に見切りをつけてドルなどの外貨に逃避する可能性も十分にあります。既に、日本銀行や財務省の退職者は、「円を持っていたくない」と外貨に換えていると聞きます。富裕層や経済評論家も自分が外貨を保有していることを認めています。

みんながやり始めたら一気に加速

日本人がこのような行動に走るときの効果的な言葉は、「みんなやってる。」です。それはいつなのでしょうか。もう、すでにそのような状態かも知れませんし、数年後か十数年後かも知れません。日本銀行の異次元緩和金融政策が出口に着いたときに分かるはずです。

ドイツは、緑色の一番左

日本は、先進国の中で最悪の国債残高ですが、他の国はどうなっているのでしょうか。債務残高の対GDP比は、日本が236に対し、ドイツは60、アメリカは108です。ドイツは、日本の1990前後と同じレベルに債務残高を抑え込んでいる上に、抑制努力を続けています。ドイツは、2回の世界大戦後にハイパーインフレで苦しんだので、もう二度と同じ思いをしたくないと考えているのでしょう。

日本も戦後ハイパーインフレだった

実は、日本も第2次世界大戦後に20000%のハイパーインフレを経験しているのです。しかし、それを覚えている人もわずかですし、学校の授業で習った記憶のある人はほとんどいないのではないでしょうか。ハイパーインフレに関するドイツの学校教育を参考にすべきだと思います。ドイツのハイパーインフレの写真は、日本の教科書にも載っているので、よくご存じだと思いますが、日本の預金封鎖などの悲惨さを後世に伝える努力は、今からでも実施してほしいと思います。

アメリカは、共和党が小さな政府を標榜しているので、ある程度の抑制作用が働いているようです。ただし、トランプ大統領はそうではなさそうですが。

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