新型コロナと富士通
富士通は、新型コロナウイルス感染を防ぐ「新しい生活様式」に沿った働き方を導入すると発表しました。製造拠点を除く国内約8万人のグループ社員を対象に、自宅や最寄りのオフィスで働くテレワークを勤務形態の基本とします。決まった場所に通勤する概念をなくすので、7月から通勤定期券代の支給を廃止しました。それに代わる在宅勤務費用として、月5000円の「スマートワーキング手当」を支給します。光熱費や机の購入などに充ててもらうそうです。更に、在宅勤務を継続し、3年後に国内オフィスを半減します。
還暦過ぎのテレワーク
私の連れ合いも、3月から完全にテレワークになり、6月からは半分会社出勤、半分テレワークになりました。連れ合いは、還暦を超えていますが、パートタイマーとして、一応テレワークに落ち着いています。
富士通にとってテレワークはメリット
富士通は、ITの企業ですから、自ら積極的にテレワークを推進することにより、ノウハウを積み重ねて、それを武器に営業や商品開発に生かせるでしょう。しかし、テレワークになじまない仕事や、高齢者も多くいることは事実です。アメリカにおいても事情は同じのようです。USA TODAYの2020年6月20日の新聞を参考にしてみましょう。以下は拙訳です。
高齢のアメリカ人がもう一つのパンデミック・リスクに直面:新型コロナウイルスの最中にも拘わらず、リモート・ワークできない人がほとんど
マリ・マデレムさんは、コロナウイルス・パンデミックの中、職場復帰に関して山ほど心配事があります。
オレゴン州ポートランドに住む69歳は、高所得者向けの店で化粧品販売員として働いているので、在宅勤務という選択肢がありません。
彼女は、「人との接触がとても多いの。」と言い、同僚やお客様がマスク着用などの予防策をとっているかを心配しています。「戻らなければ、失業してしまうわ。」
恐怖心はあるものの、毎月の社会保険給付1240ドルは十分な生活費ではないので、マデレムさんは戻ることを計画しています。彼女の雇用主は職場復帰の日にちを言い渡していないものの、この夏にはお店に戻る予定です。
ジレンマにあるのはマデレムさんだけではありません。65歳以上の全国1050万人の労働者は、ビジネス再開と州の外出禁止命令解除の問題に直面しています。
左派系のシンク・タンク、経済政策機構の分析によれば、若い人より高齢者の方が在宅勤務できない仕事についているようです。35歳から44歳の労働者の6割が在宅勤務できないのに比べ、65歳以上のうち8割の労働者できないとの分析です。
同時に高齢のアメリカ人は、慢性病の問題を抱えているために、コロナウイルスが引き起こす合併症のリスクが高くなるかもしれません。
新社会研究学校で、労働経済学と退職後の生活の安定の専門家であるテレサ・ジラードゥッチは言います。「高齢の労働者にとって安全な仕事を持つには、二つの要素があります。一つ目は、自宅で働けるか。二つ目は、もし職場で働くとしたら、他の人とは別に働けるかです。高齢の労働者は、こうした安全な仕事にはあまり就けなさそうです。」
これはたくさんの要因によるためだと、ジラードゥッチは言います。高齢の労働者は若い人よりも、ハイテク、金融という在宅勤務が容易な二つの産業で働くことが少なそうです。2017年の都市研究所の研究によると、62歳超の男性は、もっとも多そうなのが配達労働者、トラック運転手、管理人で、一方、62歳超の女性のほとんどは、教師、管理補助、介護助手でした。
押し出される?
同時に、高齢者の擁護者たちは、経営者がパンでミックを高齢従業員レイオフの言い訳として使うことを懸念しています。すでに65歳超の労働者失業率は、セント・ルイス連邦準備によれば3月の3.7%から5月の13.2%へと、3倍以上に跳ね上がりました。
これは全労働者の失業率とほぼ同じですが、それですべてを物語っているわけではなさそうです。シカゴ大学のベッカー・フリードマン研究所の最新の研究によると、リタイヤ―下アメリカ人の数は、パンデミック後に7パーセント・ポイント増加しました。研究者によると、これが意味するのは、高齢労働者がコロナウイルスのために早めの引退をしたということです。
リタイヤする前によく考えなさい
それは、高齢労働者がパンデミックの健康影響を心配したために、職場から退いたということを反映したものだろうと、アメリカ退職者協会の金融界副担当副会長、スーザン・ウェインストックは言います。
高齢労働者は、職場から離れることについて、その前に長く、よく考えるべきだとジラードゥッチは言います。
「計画より前にリタイヤすることはとても有害だ」とジラードゥッチは言います。
計画的通りにリタイヤすると、貯蓄を予想より早く引き出すなど、多くの理由から金銭面で打撃を受けることになると、彼女は付け加えます。
安全性について質問しなさい
高齢者は、職場復帰に関し、ソーシャル・ディスタンシングや、労働者や顧客がマスク着用を求められるか等、雇用主に安全性規約を聞くべきです。
「雇用主が従業員を守るというところまで、真剣に安全性規約を考え、従業員が戻れるように配慮しているかが重要だ」と彼女は言います。