昨日は『死ぬ瞬間の5つの後悔』の一部を要約しましたが、今日は、前半が私の聞いた話、後半が大津秀一著『死ぬときに後悔すること25』の要約です。
それでは、私の聞いた話から始めましょう。これらの話は、後悔しなかった人の話です。
最後の2、3年が大事
田舎の或るお婆さんが言いました。「悔いのない、幸せな最期を迎えるには、最後の2、3年が幸せなことだ。」言われてみれば、その通りです。若い時や、晩年までの苦労は、最後に幸せなら何の問題もないはずです。終わり良ければ総て良しということです。逆に、それまで、楽しく過ごしても、最後に不幸な時期が来れば、残念な人生かも知れません。
一人だけ心中を拒否した家族
昭和30年代、新潟で交通事故が起こり、大黒柱のお父さんが亡くなってしまいました。収入源の亡くなった一家は食べることさえできなくなりました。お母さんは、一家心中しようと決め、子供に、「一緒に死のう」と説きました。子供たちは、「母ちゃんが死ぬなら、一緒に死ぬ。」と言って、承諾しました。しかし、最後に1人だけ、「俺は死なない。」と言った男の子がいました。そこで、お母さんは死ぬのを止め、何とか生き続けることにしました。現在、そのお母さんは、数十人の孫、ひ孫に囲まれて幸せに暮らしています。
長生きすると良いことがあるなあ
ある男性の御父さんは40歳代で急死しました。このため、この男性も40歳代から、「俺はもうすぐ死ぬんだ」というのが口癖でした。しかし、奥さんが70代で亡くなった後も一人暮らしを続け、元気に暮らしました。90歳をはるかに過ぎたある正月、子供や孫たちが集まって、正月の料理を楽しみました。普段は一人暮らしですが、この日だけはたくさん集まりました。「今日はやけににぎやかだな。長生きすると良いことがあるなあ。」そして、元気に98歳まで生き、天寿を全うしました。
何のために生きるのか
男はつらいよの寅さん(車虎次郎)の甥っ子、諏訪満男が、寅さんに「生きてたってつまらないよ。人間は何のために生きてるの?」と聞きました。寅さんは、こう答えました。「そうだなあ。あー、生きていて良かった、と思う時がきっとある。その時のために生きてるんじゃないかな。」
長男だったので農業を継がされた
ある男性は、長男だったので家の農業を継ぐことになりました。この男性は学校の成績が良く、進学して大学に行きたかったのですが、昔のしきたり通り、農家を継ぎました。弟たちは、長男よりも学校の成績が悪かったのですが、大学に進み都会に移り住みました。男性は悔しい思いをして、年老いていきました。しかし、弟たちはやがて定年を迎え仕事が無くなりましたが、男性は毎年、大自然の中で農業を続けています。晩年になって、農業が自分の天職だということに気づき、農家を継いでよかった思うようになりました。
私の聞いた話は以上ですが、実は、この中に私の父親の話が入っていました。
次の話題に移ります。
「死ぬときに後悔すること25」
東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンターで、緩和ケアチームを運営している緩和医療医の大津秀一先生が書かれた「死ぬときに後悔すること25」を紹介します。大津先生は、1,000人以上の最後を見とどけた終末期医療の専門家です。そのなかで、患者さんたちから聞いた「人生でやり残したこと」を一冊にまとめられました。
1.健康を大切にしなかったこと
取りかえしのつかない病気になったとき、定期的にちゃんとした人間ドックをうけて健康管理をしてこなかったことを後悔します。テレビや雑誌などの健康情報にふりまわされて最高の健康をのぞむより、死なないレベルの健康を確保することを第一にしましょう。
2.たばこを止めなかったこと
肺がんや呼吸器の病気になってから、あらためてタバコの害に気づく人が多いそうです。
3.生前の意思を示さなかったこと
延命治療や尊厳死など、終末期医療について希望があるときは、話し合いができるうちに自分の意志を家族に伝えないと、自分がのぞまない最期をむかえることがあります。
4.治療の意味を見失ってしまったこと
のこされた時間を有意義に過ごすための治療ではなく、苦痛をともなう延命するだけの治療になっていないか。自分の希望にあう終末期医療がうけられるように心掛けましょう。
心理編
5.自分のやりたいことをやらなかったこと
ほとんどの人は「人生はあっという間だった」といいます。もっと肩の力を抜いて自由に、やりたいことやっておけばよかったと後悔しています。
6.夢をかなえられなかったこと
夢がかなわなかったことより、夢をかなえるために全力を尽くさなかったこと。夢を持ち続けられなかったことが後悔になります。
7.悪事に手を染めたこと
悪いことをしてバレなかったとしても、悪事に手を染めたことは自分自身が知っています。
8.感情に振り回された一生を過ごしたこと
死ぬことに比べれば人生でおきるほとんどのことはたいした問題ではないことに気づきます。否定的な感情にとらわれたままの人生は後悔が多いようです。
9.他人に優しくしなかったこと
他人に優しくしてきたひとは死期がせまっても自分に心から優しくできるそうです。そういうひとは死をまえにしても後悔が少なくなります。
10.自分が一番と信じて疑わなかったこと
自分が一番だと信じているひとは、病気になって気づくことがあるそうです。謙虚に生きていれば人生が変わっていたのではと後悔しています。
社会・生活編
11.遺産をどうするかを決めなかったこと
元気なうちに遺産相続を考えてなかったことで、相続ではなく争続になることがふえています。
12.自分の葬儀を考えなかったこと
遺された家族に迷惑をかけたくないという思いがあるそうです。
13.故郷に帰らなかったこと
死期がせまると過去を振りかえる傾向があるので、後悔しないよう、からだが動くうちに故郷やお墓まいりにいきましょう。
14.美味しいものを食べておかなかったこと
病気になると体力がおちて食べられなくなります。味覚がかわることもあるので好きなや美味しいものは元気なうちに食べておきましょう。
15.仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
趣味=仕事のひとは病気になったときに何もできなくなります。病気になっても打ち込めるものをもっているひとほどさいごの時間を有意義に過ごしています。
16.行きたい場所に旅行しなかったこと
行きたいところがあれば、元気なうちに行くようにしましょう。病気になってからでは行くことができません。
人間編
17.会いたい人に会っておかなかったこと
ひとの一生はなにがあるか分かりません。会いたいひとがいれば後悔しないようにしましょう。
18.記憶に残る恋愛をしなかったこと
人生には愛が必要なんですね。
19.結婚をしなかったこと
夫婦のふかい結びつきはさいごの苦しみをやわらげてくれます。
20.子供を育てなかったこと
おおくの家族にかこまれた患者さんはさいごのときでも笑顔ですごす時間がおおいそうです。
21.子供を結婚させなかったこと
子どもが独身でひとり立ちしていないと、さいごのときに後悔がでます。
宗教・哲学編
22.自分の行きた証を残さなかったこと
なにかを残すことで自分の人生を意味あるものとして完結したいという願いが少なからずあるそうです。
23.生と死の問題を乗り越えられなかったこと
死ぬまでに生と死の意味を自分なりに考えていないひとは、死期がせまったときに戸惑うことがおおいそうです。
24.神仏の教えを知らなかったこと
宗教をつうじて死を考えることで最後のときを平穏なこころでむかえることができます。
最終編
25.愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと
こころのなかでおもっていても、ことばにしないと通じないことがあります。さいごに後悔しないよう、いちばんたいせつな愛する人に「ありがとう」とつたえましょう。