芸能人の自死
女優竹内結子さんが、都内の自宅で急死しました。40歳でした。その前には、三浦春馬、芦名星、藤木孝も亡くなりました。
藤木孝
この中で藤木 孝(ふじき たかし)は、知らない方も多いと思いますが、1960年代前半には「ツイストNo.1」「24000のキッス」などのヒット曲を連発し、「ツイスト男」の異名で当時のツイスト・ブームを牽引しました。その後俳優として活躍しました。その演劇の一つに関係した私は、彼と打ち上げで飲んだことがありました。
老後の後は死
新型コロナウイルスの影響があるかもしれませんが、最近芸能人の自殺、自死が多いように思います。私は、今、年金をもらう年代になりましたが、まだ死についてあまり真剣に考えたことがありません。
死ぬときの後悔
今まで定年後に後悔することなどについて書いたことがありましたが、今日は、死ぬときに抱く後悔です。
ブロニー ウェア 著 「死ぬ瞬間の5つの後悔」が2012年に発行されました。
著者は、オーストラリア生まれ。緩和ケアの介護を長年つとめ、数多くの患者を看取りました。その経験を基にして書いたブログが大きな注目を集め、それをまとめた『死ぬ瞬間の5つの後悔』は26ヶ国語で翻訳され、世界中で読まれています。イギリスGuardian紙に掲載された同書に関する記事は、日本でも紹介され、大きな話題を呼びました。DIAMOND onlineの記事をもとに考えてみます。
本書の要点
(1)「死ぬ瞬間の5つの後悔」は、「自分に正直な人生を生きればよかった」「働きすぎなければよかった」「思い切って自分の気持ちを伝えればよかった」「友人と連絡を取り続ければよかった」「幸せをあきらめなければよかった」である。
(2)もしも死の間際になって、自分の人生を後悔したとしても、ありのままの自分を受け入れ、許すことで、心の平安を手に入れられる。
(3)後悔しない人生を歩くためには、自分の心に正直に生き、すべての幸福に感謝することが大事である。
上記要点のうち、一部を解説してあります。
「自分に正直な人生を生きればよかった」
著者が在宅介護を担当した緩和ケアの患者グレースは、小柄な体に大きな愛情を秘めた女性だ。グレースの結婚生活は50年以上にもおよんだ。自分の役割を果たし、子どもや孫の成長に喜びを感じる一方で、暴君の夫のためにつらい思いをしてきた。そのため、夫から離れて旅することや、あれこれ指図されず、シンプルで幸せな生活を送ることをずっと夢見てきたのだ。
彼女の夫が終身の老人ホームに入ることを了承したときは、解放された思いだった。しかし、待ち焦がれてきた自由を手に入れてまもなく、グレースは不治の病によって寝たきりになってしまったのである。
グレースは死に直面してはじめて、やりたいことをやる強さを持てなかったことを後悔し、自分に腹を立てていた。世間体を気にして他人に期待されるとおりに生きてきたことは、自分で選んできた道である。先を恐れて何もできなかったことに気づいたのだ。
グレースは最期の日に「自分に正直に生きてちょうだい。他人にどう思われるかなんて気にしないで」という言葉を著者に遺した。
「働きすぎなければよかった」
もうすぐ90歳になるジョンは、不治の病に侵されている。あるときジョンは、自分が抱えている後悔を著者に吐露し始めた。「働き過ぎたから、今、こうして孤独に死んでいこうとしている。引退してからずっと一人だった。そんな思いをする必要はなかったのに」。
ジョンと妻のマーガレットは、5人の子どもを育て上げた。全員が成人し、巣立ったところで、マーガレットは、ジョンに仕事を引退してほしいと話した。豊かな引退生活を送るための十分なお金もあったし、何よりもマーガレットは寂しかった。しかし、ジョンは、それから15年間もの間、引退を望むマーガレットを待たせた。ジョンは仕事も仕事上の地位も満喫していたのだ。
ジョンは妻の寂しさをやっと理解し、引退する決意を伝えたとき、マーガレットは喜びの涙を流した。ところが、それは「1年後に」という条件つきだった。期限まで残り3ヵ月というところで、マーガレットは病気で亡くなってしまう。それ以来、ジョンは罪悪感にさいなまれてきた。
ジョンは、地位が自分の価値を決めると考えていたため、引退を恐れていた。死を目の前にして、地位や物質的な成功で自分の価値をはかることに意味がないと気づいたのである。より良い暮らしを求めることは悪いことではない。だが、求めすぎると、愛情や好きなことをする時間といった、本当に大事なものから離れてしまう。
ジョンが著者に遺した言葉はこうだ。「働きすぎるな。バランスを失わないようにすること。仕事だけが人生じゃない」。
上記2つ以外の3つは、以下の通りですが、入手できませんでした。ご関心のある人は、本書を読んでください。
「思い切って自分の気持ちを伝えればよかった」
「友人と連絡を取り続ければよかった」
「幸せをあきらめなければよかった」
<明日に続く>