TOPIXのETFの信託報酬:誤解を与える名称

◎今日のグラフ:TOPIXのETFの信託報酬

現在、東京証券取引所に上場しているTOPIXのETFは6銘柄です。信託報酬は0.06%から0.11%まで幅があります。アメリカのS&P500のETFも、0.04%のVOO(バンガード社)、IVV(ブラックロック)社とSPY(SPDR)の0.0945%のように幅があります。ETFの選定にあたっては、信託報酬だけでなく、規模や取引量も重要です。SPYは30兆円という圧倒的な規模を誇っています。信託報酬が0.1%以下であれば、100万円で1000円以下、1000万円で1万円以下ですから、十分に低い水準と言えるのではないかと思います。

コード ETF名 TOPIXのETF信託報酬 2018年3月調べ
1475   iSTOPIX 0.060%
1348   MAXIS トピックス 0.078%
1473   One トピックス 0.078%
1308   日興 上場TOPIX 0.088%
1305   大和 上場トピックス 0.110%
1306   野村 TOPIX上場 0.110%

◎今日のテーマ:誤解を与える名称

信託報酬とは

信託報酬という言葉は、慣れてしまうと、抵抗なく受け入れてしまいますが、最初に見た時、聞いた時には、「なんだこの名前は」という印象を持ちました。野村証券の用語集には、次のように書いてあります。「受益者が、信託財産から間接的に負担する費用。販売会社・運用会社・受託銀行がそれぞれの業務に対する報酬として受取る。純資産総額に対する年率で表示されるが、日割り計算で日々信託財産から差し引かれる。」分かりやすく言えば、ETFを保有するためのコスト、管理手数料です。

顧客の立場に立たない名前

「コスト」という言葉と「報酬」という言葉は矛盾します。「コスト」と言えばマイナスイメージがあるので「報酬」という言葉を敢えて使ったのでしょうか。それにしても、「報酬」という言葉は、証券会社や運用会社を中心にした発想でありますから、顧客の立場に立っていません。顧客にとって分かりにくい言葉が、ETFを始める人を減らしているとすれば、残念なことです。

マクロスライドは何者だ

政府が使っている言葉の中でも、わかりにくい言葉を使ってケムにまくようなものがあります。年金に関して使われる「マクロ経済スライド」です。厚生労働省のホームページには、「そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。」と書いてあります。この説明を見てもイメージがわきません。本当の目的は、「インフレになった時には、自動的にインフレ率の割合で年金を増やすのでなく、2~3割減らして年金を支払いますよ」という意味です。そして、その減らす分をスライド調整というのです。インフレにならないと、年金を減らせられないので、国は何とかしてインフレを実現したいのです。そして、インフレになれば、国債の実質残高も減りますから、一石二鳥ですね。政府にとっては、ですがね。