海外ETF市場:インデックファンド

◎今日のグラフ:海外ETF市場

海外ETFの資産残高・本数

棒グラフの目盛は左の縦軸で、単位は10億米ドルです。赤が株式型ETF、濃い青が債券型ETF、薄い青がその他です。折れ線グラフの目盛は右の縦軸で、単位は本数です。2000年から2015年まで表示してあります。全般的には順調に伸びています。2008年にはリーマンショックで落ち込んでいますが、株式相場が50%も急落したのに比べると、それほどの落ち込みではありません。2015年に合計で3兆ドルですから、日本円では300兆円という計算になります。ETFの特徴の一つは、信託報酬の安さです。アメリカではバンガード社が先導して、コストを引き下げています。私の保有しているVOO(アメリカ・バンガード社のS&P 500の ETF)の信託報酬は0.04%ですから、100万円に対して1年で400円しかかからないというレベルです。ETFは国内、海外ともに今後とも成長を続けていくと考えられます。

日本における今後のインデックスファンドの成長期待

一方で、インデックスファンドも今後の成長が期待できる商品分野です。というのは、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドのような商品が出てきたのです。つい数年までは、投信積立用のインデックスファンドは0.5%程度の信託報酬を取っていました。しかし、このニッセイ外国株式インデックスファンドは、購入・換金手数料がなく、しかも信託報酬が0.2%程度です。一方、ETFの購入には、株式と同じ手数料がかかります。100円の購入なら、 0.9288% + 2,679円=11,967円の売買手数料がかかります。1.2%ですね。私の場合、ETFは長期保有という方針ですから、10年、20年で割ると、1年当たり、片道0.12%、0.06%ですから、往復で0.24%、0.12%という計算になります。このように計算すると、ETFのコスト的メリットはほとんどなくなってしまうことになります。それほど、この<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドという商品は素晴らしいということになります。なお、iDeCo、つみたてNISA用の商品は、ほぼこのニッセイ外国株式インデックスファンドと同レベルの信託報酬を実現しています。ただし、iDeCo、つみたてNISAの利用には限度額がありますので、その限度を超えた部分については、このような商品に頼らざるを得ません。

話が少しそれてしまいましたが、結論をいえば、つい数年前まで外国株式の投信については、ETFが圧倒的に有利でしたが、現在はインデックスファンドも頑張っているので、注目していきたいということです。そして、野村証券さんなど各社には、つみたてNISAやiDeCo専用の商品を税の優遇措置のない通常の投信積立にも広げてほしいと思います。

◎今日のテーマ:インデックファンド

ウォール街のランダム・ウォーカーという本があります。この本の著者は、バートン・マルキールです。この人は、大学卒業後にウォール街の投資銀行で株式市場アナリストの職に就きました。その後、保険会社投資委員会の委員長、投資信託会社の社外取締役などを勤めました。エコノミストとしてアカデミックな研究に接し、大学教授、プリンストン大学経済学部長も務めました。そして一個人投資家としても、株式投資で成功を収めたそうです。この本は個人投資家にとっては、とても有名な本です。その10版の前書きにこうあります。少し長いのですが、重要なので引用いたします。
「本書を世に出してから、40年の歳月が流れた。本書の初版で私が、発したメッセージは、『個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネジャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと待っているほうが、はるかに良い結果を生む』という単純明快なものだった。株式市場を構成する幅広い銘柄からなるポートフォリオを買ってじっと待っているほうが、高い運用コストと頻繁な銘柄入れ替えに伴う売買手数料で投資家のリターンを確実に目減りさせる、プロの運用する投資家に打ち勝つ可能性が高い、と主張したのだ。」
「それから40年以上たった今、私は考え方に一層確信を持つようになった。というのも、それが今では実際の運用結果によって裏打ちされているからである。1969年初めに1万ドルでS&P500インデックス・ファンドを購入したAさんは、すべての配当収入も機械的に再投資して、2010年まで持ち続けたとしよう。その結果、Aさんの1万ドルは46万3千ドルに増えたのだ。一方、Bさんはプロのファンドマネジャーが運用する株式投資信託の平均を買って持ち続けたとしよう。その結果は25万8千ドルである。この差に注目していただきたい。2010年5月末の時点で、インデックス・ファンドがプロの運用する投資信託の平均を20万5千ドルも上回る好結果をもたらしたのである。」

インデックスファンドよりも素晴らしいETF

この前書きの中で、1969年とありますが、SPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)が登場したのは1993年ですから、1969年には、まだ、ETFがありませんでした。今ではインデックス・ファンドよりも信託報酬の低いETFがありますから、SPY、VOO、IVVなどのETFを利用しない手はありません。そして、これほど素晴らしい実績を残しているSPYなどのETFが日本の一般の人に、広く知られないのが不思議で仕方ありません。という私自身も、10年ほど前までは、その存在をよく知らなかったのです。近いうちに、なぜこのような素晴らしい商品が、日本人には知られずに、利用されなかったかを考えてみます。