つみたてNISA、確定拠出年金 2023年4月 :両方とも利益は過去最高

つみたてNISAは90万円利益

つみたてNISAは、野村つみたて外国株投信を2018年1月から、毎月33,000円ずつ積み立ててきました。新型コロナウイルスが始まった2020年前半までは、利益が発生せず、取得金額がそのまま評価額になっていましたが、その後利益が出始めました。現在210万円の投資に対して300万円の評価額になったので、90万円利益が出ています。株式の利益というものは、ある時突然増えだし、あっという間にその増加はストップしてしまうものです。このタイミングを見計らうのは素人にとって、至難の業どころか不可能ですから、つみたてNISAのようにドルコスト平均法でコツコツ積み立てるのがよさそうです。

積み立て方式のリターンは安定化する

つみたてNISAの年率リターンは、2021年が10%程度でしたが、現在は7%まで落ちました。2020年までの期間は、プラスマイナス10%の幅の中で不安定な動きをしていましたが、その後は10%から7%の間で安定しています。株価が大きく変動すると心配になる人は、毎月一定額を積み立てる方法はとても有効だと思います。

確定拠出年金は 15年で現在3倍、受取総額は8倍以上

DC確定拠出年金の評価額も今月過去最高になりました。私の確定拠出年金は、イデコではなく企業型確定拠出年金です。2001年から数年にわたって、税制適格年金から移換して、全額を外国株式パッシブファンドで運用してきました。その結果、600万円の元本が2100万円以上に増加しました。年金を受け取り始める75歳時点では3000万円に増えるだろうと、皮算用をしています。しかも、できるだけ長く受け取ることによって、運用を継続することができますから、受取総額は5000万円を超えるだろうと思います。

以上は、つみたてNISAと確定拠出年金の推移でした。

現在の、マーケットでは、インフレの動向、FOMCの利下げ、金価格高騰、日本の株価上昇などが話題として取り上げられていますが、もっと重要な話も、少しずつ取り上げられ始めています。

以下は、東洋経済ONLINEの2023年4月6日の小幡 績 : 慶應義塾大学大学院教授の記事です。


3つの「世界同時多発『ヤバい』」が起きている

実はアメリカよりも日本のほうがもっと深刻だ

「3つの事件」の影響は深刻だ

ヤバいその①:

アメリカのファースト・リパブリック・バンクが5月1日に破綻した(日時はことわりのあるものを除き現地時間)。「しかし、JPモルガン・チェースが買収した。金融システムは大丈夫だし、金融市場もこれで落ち着く」という有識者のコメントが「ヤバい」。

これはまったくの間違いだ。これからアメリカ、そして世界の金融市場は静かにどんどん悪くなる。

ヤバいその②:

5月3日にFED(アメリカの中央銀行)が、0.25%の利上げを発表、「今後の利上げに対しては中立的」というメッセージを出した。だが、株式市場や債券市場関係者の多くは、それでも「今後は年内に利下げに転じるはずだ」と解釈している。これもまったくの間違いだ。

つねに願望で動く株式市場が、わざと誤解して盛り上がっているのはいつもどおりだが、合理的で理論派のはずの債券市場も、理屈でなく願望で動いており、利下げ願望を織り込んでいる。債券市場の投資家まで願望で動いているのは相当ヤバい。株式・債券の暴落は今後何度でも起きる。

ヤバいその③:

日本銀行の植田和男新総裁がすばらしい人物であることは私も知っている。だが、植田新総裁という人物および、彼の初の金融政策決定会合後の記者会見を、世間が現状であまりに礼賛しているのがヤバい。

彼がどんなにすばらしい人格者だとしても、どんなに優秀でも、それと無関係に、日本経済も日本金融市場も国債市場もすでに事実として追い込まれており、身動きできない。「ソフトランディング」はできない。その事実からほとんど目をそらしているに等しい日本社会、日本の論壇がヤバい。

今挙げたように、この1週間前後のうちに、ほぼ同時に起きた「3つの事件」の影響は深刻で根深い。なぜなら、こんなにも重要な3つの問題が同時に噴出したのに、投資家たちは、目をつぶるばかりか、正反対の楽観的な方向に解釈して逃げ切ろうとしているからだ。

そして実際、市場はこの楽観的な願望解釈をもとに動き始めたからだ。これらの問題はどうやっても解決することはできず、ダメージを甘受するしかないという意味で深刻である。

しかも、それに目をつぶるだけでなく、「逃げ切れる」と思い込み、かつ実際に行動しているのが投資家だ。本来なら投資家は社会において最もリスクに敏感で、慎重で、かつ正確に判断すべき人々のはずだ。実際に過去は何度となくそうしてきたはずの人々が、最もリスクに目をつぶっている。

だから、この世界金融市場は今、救いようのない末期的状態にある。今後、政府や中央銀行が何をしようと救いようがない。そして、こうした状態は21世紀になってすでに20年以上そうであり続けている。2008年のリーマンショックを経験してもなおこりていないという意味で、根深い。

それゆえ、現在はある意味、最も危険な危機状態でないか。これから、リーマンショックのような派手なバブル崩壊劇は起きないかもしれない。だが、より厳しい、苦しい、長期の低迷・停滞が、経済と金融市場を覆い続けることになるだろう。

このままだと永遠に金融緩和は終わらない

つまり、供給サイドの問題、生産サイド・実物経済の問題である。企業や労働者自身にしかできないことなのだ。だから、インフレをコントロールしようとする中央銀行が実質賃金を上げることは、絶対にできない。

さらに悪いことに、賃金上昇率がインフレ率を持続的に上回るまで待ち、それを達成するためにインフレ率を上げようとすれば、ほとんどのケースでは、実質賃金は下がるのだ。なぜなら、物価と賃金が同時に上がるという場合は、急激にインフレが起き、その結果、インフレに耐えられなくなった働き手が賃金引き上げを求めるという形で起きるからだ。

その場合、この賃上げに耐えられる雇用主は賃金を引き上げるが、そのほかの雇い手は、賃金以外のコストも上昇しており、それには耐えられないから、賃金を引き上げるよりも雇用維持で納得してもらおうとする。

すでにおわかりのとおり、ほとんどの日本の中小企業や、好調とはいえない大企業の現実は、これである。だから、「実質賃金が上昇する形での賃金と物価の好循環」というのは存在しないのだ。

それを政治家が知らないのはともかく、植田総裁が政治家のようなことを求めてしまっては、永遠に実現しない夢を見続けることになる。つまり、永遠に金融緩和は終わらないのである。ということは、国債バブルは続き、日本財政、日本経済は破綻することが必至なのである。

世界の金融市場がヤバい。しかし、どんな手を打っても完全に「詰んでしまった」というのに近い日本が、いちばんヤバいのだ。