令和7年度のiDeCo、企業型DCの限度額引き上げ

令和7年度税制改正に関する参考資料が厚生労働省から発表されました。

iDeCoで注目すべきは次の3点です。

  • 非課税枠が7000円拡充される。
  • 企業年金ありの会社員や公務員:企業型確定拠出年金(企業型DC)、個人型確定拠出年金(iDeCo)、確定給付企業年金ごとの掛金相当額の合計額が、現行の月20000円から月62000円に拡大
  • 企業年金なしの会社員:iDeCoが、現行の月23000円から月62000円に拡大

1大綱の概要

確定拠出年金法等の改正を前提に、企業型確定拠出年金(企業型DC)・個人型確定拠出年金(iDeCo)等の拠出限度額の引上げやiDeCoの加入可能年齢の引上げ等の見直しが行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。(主な見直し内容)

  • ○第2号被保険者の企業型DCの拠出限度額を月額6.2万円に引き上げる(現行:月額5.5万円)。
  • ○第2号被保険者のiDeCoの拠出限度額を月額6.2万円に引き上げる(現行:月額2.0万円又は2.3万円)。
  • ○第1号被保険者の拠出限度額(iDeCoと国民年金基金で共通)を月額7.5万円に引き上げる(現行:月額6.8万円)。
  • ○ iDeCoについて、60歳以上70歳未満であって現行の個人型確定拠出年金に加入できない者のうち、個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者であった者又は私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移換できる者であって、老齢基礎年金及び個人型確定拠出年金の老齢給付金を受給していない者を新たに制度の対象とすることとし、その拠出限度額を月額6.2万円とする。
  • ○企業型DCのマッチング拠出について、加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えることができないとする要件を廃止する。

注:見直し後の第2号(企業年金あり)では、「iDeCo・企業型DC合計で月額6.2万円」とありますが、これは簡略化して書いているので、実際は6.2万円から「確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額」が正しい。

令和7年度与党税制改正大綱(私的年金関係抜粋)(令和6年12月20日公表)

3.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し

(1)個人所得課税のあり方

①私的年金等に関する公平な税制のあり方

働き方やライフコースが多様化する中で、税制が老後の生活や資産形成を左右しない仕組みとしていくことが、豊かな老後生活に向けた安定的な資産形成の助けとなると考えられる。

こうした考えの下、勤務先の企業が企業年金を設けているかどうか、企業年金の形態がどうであるかといった違いにかかわらず、継続的に、かつ、平等に資産形成をできる環境の整備を進めるため、iDeCoの拠出限度額について、「穴埋め型」による引上げを行う。

さらに、豊かな老後生活に向けて、公的年金を補完し、老後に向けた資産形成を支援するという私的年金の役割を踏まえ、賃金上昇の状況を勘案し、確定拠出年金の拠出限度額について7,000円の引上げを行う。また、公的年金による保障が相対的に限定的な個人事業主のiDeCo等の拠出限度額についても、同額の引上げを行う。確定拠出年金については、加入率が3分の1以下にとどまる、拠出限度額の近くまで拠出している者の割合が低い、高所得者ほど利用者が多く拠出額も多いといった実態もある。今後、こうした実態を踏まえ、拠出限度額の考え方について、各国の制度も参照しながら、次期年金制度改革までに検討し、結論を得る。

包括的所得課税の下では、拠出時に所得控除の対象とされる、私的年金を含む年金については、給付時において相応の課税がなされることが原則と考えられる。しかしながら、現行の年金課税や退職所得課税の下では、私的年金の給付時課税が限定的となっており、給付時課税のあり方を検討する必要がある。

また、退職金や私的年金等の給付に係る課税について、給付が一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立的ではないといった指摘がある。

退職所得課税については、勤続年数が20年を超えると1年あたりの退職所得控除額が増加する仕組みが転職の増加等の働き方の多様化に対応していないといった指摘もある。

退職金や私的年金等のあり方は、個人の生活設計にも密接に関係すること等を十分に踏まえながら、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正かつ公平な税負担を確保できる包括的な見直しが求められる。例えば、各種私的年金の共通の非課税拠出枠や従業員それぞれに私的年金等を管理する個人退職年金勘定を設けるといった議論も参考にしながら、あるべき方向性や全体像の共有を深め、具体的な案の検討を進めていく。

令和7年度与党税制改正大綱(私的年金関係抜粋)(令和6年12月20日公表)

6 その他(国税)

(1)確定拠出年金法等の改正を前提に、確定拠出年金制度等について次の見直しが行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。

① 企業型確定拠出年金制度におけるマッチング拠出について、企業型年金加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えることができないとする要件を廃止する。

② 企業型確定拠出年金の拠出限度額を次のとおりとする。

確定給付企業年金制度に加入していない者 月額6.2万円(現行:月額5.5万円)

確定給付企業年金制度の加入者 月額6.2万円(現行:月額5.5万円)から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額

③ 個人型確定拠出年金制度について、60歳以上70歳未満であって現行の個人型確定拠出年金に加入できない者のうち、個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者であった者又は私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移換できる者であって、老齢基礎年金及び個人型確定拠出年金の老齢給付金を受給していない者を新たに制度の対象とすることとし、その拠出限度額を月額6.2万円とする。

④ 個人型確定拠出年金の拠出限度額を次のとおりとする。

第一号被保険者 月額7.5万円(現行:月額6.8万円)

企業年金加入者 月額6.2万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(現行:月額2.0万円)

企業年金に未加入の者(第一号被保険者及び第三号被保険者を除く。) 月額6.2万円(現行:月額2.3万円)

⑤ 国民年金基金の掛金額の上限を月額7.5万円(現行:月額6.8万円)とする。

⑥ その他所要の措置を講ずる。