ヨーロッパの株価はほぼ横ばい
ヨーロッパのETFであるVGKは、1年前の63.16ドルから現在の62.79ドルへと、0.37%下がりました。
日本の株価はわずかに下落
一方日本の1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))は1年前の2,073円から1,990円と4%下がりました。しかも分配金も加えると、その差はもっと大きくなります。したがって、日本とヨーロッパは同じような動きをしていますが、日本の方が値下がりが大きくなっています。ロシアのウクライナ侵攻はヨーロッパに大きな影響があると考えがちですが、株価の面では日本の方が大きそうです。
ウクライナ侵攻のヨーロッパへの影響について、JETROの2022年3月11日のオーストリアのレポートで確認しましょう。
ロシアのウクライナ侵攻で、経済に大打撃(オーストリア)ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関し、オーストリア政府はEUの制裁を全面的に支持する。一方で、オーストリアはロシア、ウクライナ両国とも強い経済関係があるのも事実だ。そのため、制裁による国内経済への影響に対する支援措置をEUに求めている。オーストリアは、ロシアの天然ガスへの依存度が高く、供給の減少・停止の場合、家庭や企業にも悪影響が懸念される。また、既に在ウクライナのオーストリア企業の工場のほとんどが操業を停止。駐在員を呼び戻している状況だ。
ロシアからの天然ガス供給停止などに、大きな懸念
オーストリアの貿易相手国として、ロシア(輸出16位、輸入13位)とウクライナ(輸出34位、輸入24位)のシェアはそれほど大きくない。しかし、ロシアは天然ガス、ウクライナは鉄鉱石の主要供給国だ。
特に、天然ガスのロシア輸入依存の問題が重大だ。供給に占める構成比が80%に及ぶ。首相は「4月までの一般家庭への供給は確保されている。中期的にロシアへの依存度をどのように減らせるかを、考えるべきだ」と述べている。一方、今回のウクライナ危機によって、エネルギー価格が既に上昇。1月の消費者物価上昇率は5%と、1984年以降で最高値になった。オーストリア経済研究所(WIFO)のガブリエル・フェルバマイヤー所長は「ロシアのガス供給が完全に止まった場合、オーストリアだけでなく、EUが不況に陥る」と述べた。オーストリアのエネルギー大手OMV は、ノード・ストリーム2に7億2,900万ユーロを投資済みだ。このパイプラインが稼働しないと、その投資が無駄になる。もっとも、OMVにとって耐えられないほどの損失ではないとみられている。しかし、2月22日にOMV の株価は2%下落。そのため、現在、OMVはロシア戦略を見直しているという。複数の当地メディアは、OMVによる西シベリアにある世界で2番目に大きいウレンゴイガス田への投資が中止されると予測している。
オーストリア連邦産業院(WKO)によると、オーストリアの対ロシア直接投資は2020年に前年比34.9%減の46億ユーロだった。現在、約650社のオーストリア企業がロシアに進出済みだ。
中でも、ロシアとウクライナで事業を展開しているのが、ライファイゼンバンク・インターナショナル(RBI、銀行業)だ。その株価は、2月23日から28日までの間に約3分の1下落した。RBIのウクライナ子会社ライファイゼンバンク・アバルは、従業員6,600人、総資産合計30億8,300万ユーロ、貸出高20億ユーロ、393支店を有する。ウクライナで上位10行以内に入る規模だ。ロシアでも、従業員8,700人、総資産合計158億3,800万ユーロ、貸出高110億ユーロ、132支店。国内ランキング10位だ。
ウクライナ国立銀行によると、オーストリアの2020年の対ウクライナ直接投資残高は17億7,000万ユーロ。キプロス、オランダ、スイス、ドイツ、英国に続いて第6位の投資国とされる。業種としては製造業や金融、流通販売店などが中心で、約200社が進出済みという。
オーストリアは、日本のニュースで報じられることはほとんどありませんが、かなり深刻な影響を受けているようです。ヨーロッパのどの国も同様の影響を受け、しかもロシアに近接している国々は、経済だけでなくNATOや戦争の問題も大きくのしかかっています。
英語版を日本語に翻訳
世界最大級の資産運用会社であるバンガード社の日本法人(バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社)が2021年2月28日をもって廃業しました。その結果、日本語版のETFの商品説明をやめてしまったので、英語版を日本語に翻訳してその内容を確認します。
製品概要
- ヨーロッパの主要市場に所在する企業が発行した株式の投資収益率を測定するFTSEDevelopedEurope AllCapIndexのパフォーマンスを追跡しようとしています。
- オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国にある企業の株式を保有しています。
- パッシブの完全レプリケーションアプローチに従います。
ETFのデータ
- 資産クラス:国際/グローバルストック
- カテゴリー:ヨーロッパ株
- IOVティッカーシンボル:VGK.IV
- 経費率:2022年2月25日現在 0.08%
- CUSIP:922042874
- ETFアドバイザー:バンガードエクイティインデックスグループ
価格と利回り
- 市場価格:2022年3月18日現在 $62.79
- NAV:2022年3月18日現在 $62.77
- プレミアム/ディスカウント:$ 0.02
リスク潜在性
アグレッシブファンド: リスクレベル5
アグレッシブに分類されたバンガードファンドは、株価が非常に大きく変動する可能性があります。 これらのファンドは、長期的な投資期間(10年以上)を持つ投資家に適している可能性があります。 これらのファンドに関連する異常に高いボラティリティは、いくつかの戦略に起因する可能性があります。
⇒ 今回のロシアによるウクライナ侵攻のようなことがあると、VOOやVTIのランク4に対してランク5は妥当だと思います。
パフォーマンス 平均年間収益 2022年2月28日現在
1年間 | 3年間 | 5年間 | 10年間 | 2005年4月3日設定以来 | |
バンガード FTSE ヨーロッパETF | 5.71% | 8.74% | 8.10% | 6.60% | 4.98% |
Spliced European Stock Index*(ベンチマーク) | 5.92% | 8.86% | 8.17% | 6.57% | 4.91% |
10,000ドルの仮想成長 2022年2月28日現在
⇒ 10年前に1万ドル投資したら、1万9千ドルに増えていたということです。アメリカに投資した場合よりもかなり低い数字です。
特徴 2022年2月28日現在
- 純資産総額:268億ドル
- 株式数:1374
- 上位10銘柄の純資産割合:17.6%
月末の保有 2022年2月28日現在
1.ネスレSA 3.00%
2.Roche Holding AG 2.30%
3.ASML Holding NV 2.20%
4.Shell plc 1.70%
5.アストラゼネカplc 1.60%
6.LVMHモエヘネシールイヴィトンSE 1.60%
7.ノバルティスAG 1.50%
8.ノボノルディスクA/S 1.40%
9.HSBCホールディングスplc 1.20%
10.SAP SE 1.10%