企業年金連合会から、連れ合いのところに「企業年金連合会老齢年金振込通知書」が届きました。
- 企業年金連合会老齢年金振込通知書:年金の支払予定年月日、金額
- 公的年金等の源泉徴収票
- 「振込通知書」について:住所等の変更について
- 年金の繰り下げについて
連合会の「基本年金・代行年金」の繰下げ支給
(国の老齢厚生年金の繰下げ支給と連動)
国の老齢厚生年金は65歳で請求せずに66歳以降70歳までの間で申し出た時から繰下げて請求できます。繰下げ受給の請求をした時点に応じて、1月につき0.7%、70歳まで繰下げた場合最大42%の年金額増額となります。(年金事務所に対して申し出を行います。)
連合会の基本年金、代行年金は国の老齢厚生年金の一部を代行していることから、この繰下げの申し出を行うと、連合会の基本年金、代行年金についても繰下げ増額してお支払いすることになり、繰下げの期間中は、お支払いすることができなくなります。
そのため、老齢厚生年金の支給繰下げの申し出を年金事務所に行う方は、同時に連合会にもご連絡していただく必要があります。「(繰下げ)支給停止申出書」をご提出ください。
(国の老齢厚生年金は、65歳時点であらためて請求手続きが必要とされているため、65歳前に特別支給の老齢厚生年金を受給されていても65歳到達でいったん支払いが止まります。これに対して連合会の年金はご連絡をいただけないと支払いが継続し、後になって繰下げの選択が判明した段階で、それまでの間の支払い分をお返しいただく必要が生じてしまいます。)
通知書には以上の説明がありました。
ところで、連合会の「基本年金・代行年金」の繰下げ支給以前に、老齢基礎年金、老齢厚生年金についても決めなければいけません。
人によって正解は異なる
全ての人に共通するただ一つの正解があるだけではなくて、夫婦間の年齢差、現在働いている場合はその給与の額等、検討する要素はいくつかあります。
- 夫、妻が働いているかどうか。
- 夫、妻の健康状態はどうか。80代後半まで寿命がありそうか。
- 給与、年金、株式配当金、投資信託分配金等の所得税はいくらか。
- 夫、妻の厚生年金の受給予定額はいくらか。
夫の遺族厚生年金と妻自身の老齢基礎年金
具体例:現在、妻だけがパートで働いていて、それに加えて年金を受け取ると、所得税が高率になります。したがって、妻が働くのをやめてから年金を受け取ると、所得税に関しては減ることになります。しかし、平均的には夫の寿命は短いので、夫が死亡すると、妻は多くの場合、夫の死後、夫の遺族厚生年金(夫の65歳時点の老齢厚生年金の4分の3)と妻自身の老齢基礎年金を受け取ることになります。これを踏まえると、妻は老齢基礎年金だけを繰り下げておくのがいいという考えもあります。
上記は一つの具体例でしたが、それ以外に、連れ合いの場合、老齢基礎年金、老齢厚生年金は、何歳から受け取るのが得なのでしょうか。DIAMOND onlineの記事で勉強します。
年金「繰り下げ受給」の落とし穴…
夫婦の年の差がベストな受給年齢に影響も
もちろん、悩みのタネは寿命だけではない。仮に年金の受給開始を75歳までに繰り下げたら、65歳から75歳までの10年間の繰り下げ期間(待機期間)の生活費をどうするのかも考えなくてはならない。待機期間中の生活費を問題なく手当できる人なら繰り下げ受給を考えることはできるが、生活費のメドが立たないなら、その間は「貯蓄を取り崩す」、「年金をもらいながらも働いて収入を得る」などの対策が必須となる。
このように、年金を何歳から受け取るのが最もおトクになるのか、年金戦略を立てていくには、さまざまな悩みのタネを自分で整理して解決していく必要があるのだ。
夫婦の「年金戦略」、繰り下げで年金が減ってしまうことも
もうひとつ、「やみくもに受給開始を遅らせればいいわけではない」大きな理由がある。
それは、「年金戦略は、夫婦で考えるのが原則」だからだ。つまり、夫婦で生涯にわたって受け取る年金の総額をもっとも多くするにはどうしたらいいのかを考えると、やみくもに受給開始年齢を繰り下げればいいというわけではなく、むしろ受給開始を繰り下げてしまうことで、受け取る年金の総額が減ってしまう可能性すらあるのだ。どういうことか。
典型的な年金世代である「夫が会社員で妻が専業主婦」という夫婦で考えてみる。生涯にわたって受け取る年金の総額を最も多くするには「年齢差」と、年齢差に応じて妻が受け取れる「加給年金」をどう考えるかがポイントになる。
加給年金とは、「年金の配偶者手当」とも呼ばれる制度だ。厚生年金に20年以上加入している人が、65歳になった時点で「65歳未満の配偶者(妻もしくは夫)」がいる場合、配偶者が65歳になるまで「毎年38万8900円」が支給される。
例えば、65歳の夫と、5歳年下の妻という夫婦で、夫が20年以上、厚生年金に加入していた場合なら、夫が65歳で老齢厚生年金の受給を開始すると、5歳年下の妻が65歳になるまでの5年間に毎年38万8900円、合計で約195万円が、夫の老齢厚生年金に加算されて支給されることになる。金額の大きさに驚いた人もいるのではないだろうか。
この加給年金を、しっかりと理解しておくポイントは2つある。
まずは、年齢差が大きければ大きいほど受け取る金額が増えるということ。夫65歳、妻55歳の「10歳差夫婦」なら、38万8900円×10年間で、じつに400万円近い金額を受け取れることになる。
約400万円ともなれば、老後の生活においては、ちょっとした財産になる金額だ。ぜひとも受け取りたいと思うだろうが、じつは年齢差がある夫婦なら誰でもが受け取れるというわけではない。それが、もうひとつのポイントだ。
大切なのは「自分なりの年金戦略」を立てること
そのポイントとは、加給年金は、「老齢厚生年金に付随して支払われる」ということ。夫が「遅らせれば受給額が増えるから」と安易に老齢厚生年金の受給開始を繰り下げてしまうと、その待機期間中は「加給年金も支払われない」ことになる。
例えば、10歳年齢差がある夫婦で、夫が65歳から繰り下げずに老齢厚生年金を受給すれば、妻が65歳になるまでの10年間、加給年金が夫の老齢厚生年金に付随して支払われる。
しかし、夫が老齢厚生年金の受給開始を仮に75歳まで繰り下げてしまうと、夫が老齢厚生年金の受給を開始したときには、妻はすでに65歳に達してしまう。つまり、加給年金は支払われない。10年間分の加給年金は約400万円にもなる。これだけの金額を受け取れないとなると夫婦の年金戦略にとっては大きな痛手となるだろう。
年金大改正によって、年金の受給開始を遅らせれば遅らせるほど、受け取る年金額が増える仕組みになった。しかし、やみくもに受給開始を遅らせれば、生涯にわたって受け取る年金の総額を多くできるわけではない。「何歳まで働いて、何歳から年金を受け取るのか」を「自分で決める」時代となった。今、求められているのは自分なりの年金戦略を立てることだ。