投資家の行動を考える3

◎社会保障に対する不信

制度は100年安心だが支給額は不安

若者を投資に駆り立てる背景にあるのが、社会保障制度への不信感です。政府は公的年金を100年安心とうたいますが、多くの若者は今の高齢者ほど年金をもらえないことに気付いています。

iDeCo、つみたてNISA

政府は17年に個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象者を拡充し、18年には積立投資専用の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を導入しました。資産形成に向けた制度を少しずつ拡充してきています。

財形貯蓄の凋落

iDeCo、つみたてNISAという制度がスタートした背景には、財形貯蓄が魅力ある制度で無くなったことも一つの理由としてあると思います。

財形貯蓄

財形貯蓄は、給与からの天引きで行う貯蓄制度で、「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3つがあります。会社は社員の給与から毎月一定額を天引きし、これを保険会社や銀行などの財形貯蓄取扱金融機関に払い込みます。昭和から平成の初期にかけて5%など比較的高い利率になったこともありますが、最近は日本生命が0.7%、銀行はそれ以下、富国生命は新規募集を停止してしまいました。財形貯蓄の時代は過ぎ去ったように思います。

政府は国民の財産を守ってくれない

このブログの一貫したテーマは、

  • 資産運用の実際
  • 膨大な国債残高への対応

の二つです。このうち、膨大な国債残高は、既に対応可能なレベルを超えてきてしまっているとの認識を繰り返し、説明してきました。そのような事態になれば、ひどいインフレによって国債残高を実質的に減らすことになるでしょう。これはインフレタックスといわれるものです。現に第2二次世界大戦後には、インフレ率が20000%になったので、国債は償還されてもほとんど価値のないものになってしまいました。従って、国債残高がどんどん膨れ上がる現状を見れば、国民年金、厚生年金という社会保障に頼れないことはもちろんのこと、預金などの金融資産についてもかなり棄損されることを覚悟しなければならないだろうと思っています。

日本だけではなく、アメリカ、ドイツも心配

しかし、日本がダメで、アメリカに移住すれば大丈夫か、と言えば、アメリカの国債残高も少しずつ増大しています。国債残高に対して厳しい態度を貫いているのは、世界大戦後にハイパーインフレで苦しんだドイツですが、経済成長力という点ではアメリカにかないそうも有りません。結論を言えば、世界の資産に幅広く投資するしかないだろうと思っています。

ハイパーインフレへの対策も考えるべき

社会保障だけでなく、将来起こりうるハイパーインフレへの対策をどう講じていくかを考えなければならないと思います。

より安定した資産運用か、それとも個別株式やアクティブファンドか

私の資産運用方法は、安定性を重視したもので、「長期、分散、低コスト」の方針を実現しています。私は、30年間にわたって財形貯蓄を行ってきました。貯蓄方法は給与天引きである上に、初期においては利率が5%を超えた時代もあったので、有力な資産運用方法でした。現在行っているつみたてNISAのインデックスファンドは、同じような安定性を持った商品だと考えています。従って、つみたてNISAは投資の範疇に入りますが、変動による資産価値棄損の不安はあまり感じていません。

個別株式やアクティブファンドの趣味の要素

一方で、個別株式は変動が大きく安心感が少ないので、人によっては趣味・楽しみの性格が強いのではないかと思います。アクティブファンドも同様の性格を持っているうえに、信託報酬(経費)も高いので、私は全く関心がありません。個別株式やアクティブファンドの売り時、買い時を考えるよりは、他の趣味に時間をかけたいと思っています。

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