財政問題
最近、アメリカ株式市場が史上最高値を何度も更新しています。日本においても比較的良い相場が展開されています。しかし、財政の問題は確実に危険な場所に近づいています。
消費税10%の後
安倍首相は参議院選挙直前に、10月の消費税10%への増税後、「今後10年間ぐらいの間は、私は上げる必要はないと思っています。」と語りました。一方「未来永劫10%から上げなくてよいと考える党首」も野党の中に複数います。2013年に日本銀行の異次元金融緩和政策が始まって以来、増税、緊縮財政という国民に不人気な政策を採る政治家はいなくなったようです。しかし、財政の状態はひどくなる一方です。
X-dayプロジェクト報告書
自民党は2011年に「X-dayプロジェクト報告書」を公表しました。積み上がった借金が原因で日本国債が信任を失い、政府の資金調達ができなくなる―この結果金利が暴騰し、経済や国民生活が大打撃を受けるというものです。
借金は1100兆円
国と地方の借金は12年度末に932兆円でしたが、18年度末に1100兆円を突破しました。しかし、X-dayはやって来そうも有りません。おそらく今後数年間は大丈夫そうです。そのためMMT(現代貨幣理論)なるものが日本において広がってきているのかも知れません。
X-day発生の引き金
私はX-dayが実現するのは、次の3つの場合であると考えています。
① 国民の貯蓄が無くなる
団塊の世代やその後の世代の貯蓄が無くなり、国債の引き受け手が無くなるでしょう。これについては、時間がかかるので10年以上の月日が必要だと思います。
② 資産の海外逃避
世界又は日本において何らかの理由でインフレが実現し、日本の国債残高が急激に膨張します。この結果、日本国民のかなりの割合が、自己の資産を海外に逃避させる行動に出ます。円を売りドルを買うことになるので、大幅な円安になり、インフレが加速することになります。この繰り返しによってインフレスパイラルがおこります。ただし、日本には力のあるメーカーが数多くあるので、ドル円が200円を超えることにはならず、何十倍ものハイパーインフレになることは無いだろうと思います。
③ 大震災
首都直下型大地震が起きた場合には、住宅・オフィスビル・インフラなどの再建に伴う物価高騰、復興需要によってインフレになると考えられます。復興のための増税のインフレを加速する要因になるでしょう。個人資産などの建築費投入のための預金引き出しによって国債の引き受け手が減ることになります。
国は国民の財産を守らないというのが過去の歴史
アメリカ連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、議会で「政府債務は経済成長を上回るペースで増加しており、長期的には持続不可能だ」と証言しました。アメリカの累積赤字は名目GDPの107%です。一方日本は240%で、第2次世界大戦後に20000%のハイパーインフレになった時と同じ水準です。
国は、国民の財産を守ってくれません。国民は自分で自分の財産を守らなければいけない状態です。