◎今日のグラフ:投資信託の選び方 純資産総額
TOPIXのインデックスファンド 純資産総額:百万円 | |
eMAXIS Slim | 2,449 |
ニッセイ | 17,215 |
たわらノーロード | 515 |
純資産総額では大差
TOPIXのインデックスファンドは、信託報酬で差がありませんでしたが、純資産総額では大差がついています。純資産総額は設定日の古さ、つまり投資信託のスタートした日にも影響を受けます。3銘柄の設定日は以下の通りです。ニッセイだけ3年で、残りの2つは1年しかたっていません。
eMAXIS Slim :2017年3月21日
ニッセイ :2015年4月27日
たわらノーロード:2017年2月27日
次に日経225インデックスの投資信託の純資産総額を見ます。eMAXIS Slimだけが群を抜いていますが、それでも私の基準である1兆円には遠く及びません。
日経225のインデックスファンド 純資産総額:百万円 | |
eMAXIS Slim | 27,034 |
ニッセイ | 2,988 |
たわらノーロード | 5,711 |
私のETFを買う基準は純資産総額1兆円以上
私がETFを選ぶ基準は信託報酬が安いことと、純資産総額が1兆円以上であることなのですが、その基準を適用すると3銘柄とも失格になります。
信託報酬は低水準
信託報酬については、安い方が良いということが最近では常識のようになってきています。このため、2018年からスタートしたつみたてNISAでも、信託報酬が一定限度以内にないと、金融庁がつみたてNISA用として認めないところまで時代は変化してきました。
今は新しい信託報酬を育てる時期だが純資産総額も大事
しかし、純資産総額については、ほとんど論じられていないことがとても不思議です。金融庁としては新しい投資信託を育てたいから、歴史の浅い銘柄が不利にならないように純資産総額を重視しないのでしょう。しかし、民間の評論家は、あくまでも顧客の側に立って、純資産総額にもスポットライトを当てるべきだと思います。
20年ほど前には証券・銀行が倒産
最近は、金融機関や金融商品に対して、ユーザー側が過度の信頼を置いているような気がします。金融機関については、最近は大きな倒産はありませんが、20年ほど前には倒産がかなり発生しました。
山一證券の倒産
有名なのは、山一証券です。私の父は山一證券に口座を持っていて取引をしていました。現在、経済評論家として有名な山崎元氏は、山一証券が倒産したとき、まさにその山一證券に勤めていました。自分の勤めている会社が倒産するとは全く思っていなかった、と語っています。
富士、一勧、興銀は業界トップ
私は、昭和の時代にみずほ銀行の前身の一つである富士銀行に身を寄せていたことがありました。昭和40年代、富士銀行は日本の都市銀行で最大の規模を誇っていました。みずほ銀行の前身としては、その他に第一勧業銀行、日本興業銀行がありました。1971年に第一銀行と勧業銀行が合併して第一勧業銀行になり、富士銀行を抜いて都市銀行トップになりました。当時、三菱銀行は3位、4位の規模だったのです。みずほ銀行のもう一つの前身は、長期信用銀行で最大だった日本興業銀行です。
みずほに資本注入
2000年に各分野でトップだった富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行の3行が合併したのですから、びっくりしました。さらに、このみずほ銀行が公的資金の注入を受けることになるとは、だれが予想したでしょうか。みずほ銀行の株価は、現在200円前後と低迷しています。
富士、一勧、興銀の昔の雄姿は、今や見る影もない
私が富士銀行に身を寄せていた昭和の時代に、900円まで上昇しました。昭和60年に、銀行資本を充実することになったため、大規模な増資を行うことになりました。行員にも割り当てられることになったので、「株価はこれだけ上がったのだから、もう上がる余地はない。無理やり買わされるのは、いやだなあ。」と言っていました。ところが、その増資分を富士銀行の取引先がすべて引き受けてくれたので、行員への割り当てはなくなったのです。このため、行員はほっと胸をなでおろしたのでした。驚いたことに増資の直後に、株価は1700円まで暴騰したのでした。そしてバブル崩壊、リーマンショックなどを経て現在の株価水準で低迷しています。
銀行員も荒波に翻弄
激動の波に翻弄されたのは株価だけではありません。富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行と言えば、昭和の時代には東京大学、慶応大学、早稲田大学などの卒業生の人気が高い銀行でした。ところが昭和60年ごろ、富士銀行で採用した新入行員500人のうち、300人が1年で辞めてしまって社会問題にもなりました。現在、銀行は極めて厳しい経営環境にあります。今後大幅なリストラも予想されています。
取引先である個人投資家だけ無傷でいられるか
企業のステークホルダーとして重要なのは、株主、社員、取引先です。そのうち株主、社員が、これだけ激動の時代を経験しているのですから、取引先の一つである個人投資家だけ、無傷でいられるという保証はありません。
規模の大きな商品でリスク低減を
金融商品の将来についてはだれもわかりませんが、現在、より規模の大きく安心できる商品を選ぶことは、顧客である個人投資家としては当然の行動です。その判断基準として純資産額を使用することは、妥当な判断だと思います。