野村証券とSBI証券の株式手数料の比較です。青い棒グラフが野村証券、赤い棒グラフがSBI証券です。左の縦軸が率で、下の横軸が売買取引の金額です。赤と青の手数料率には、随分差があります。
(手数料率は小数点以下第3位を四捨五入)
売買金額 | 野村売買手数料率 | SBI売買手数料率 |
20万円 | 1.40% | 0.05% |
50万円 | 1.40% | 0.05% |
70万円 | 1.31% | 0.07% |
100万円 | 1.20% | 0.05% |
300万円 | 0.97% | 0.03% |
500万円 | 0.92% | 0.02% |
1000万円 | 0.80% | 0.01% |
野村証券で100万円のETF、株式を買うと1万2千円の売買手数料
野村証券で、株式やETFを100万円買うと売買手数料は1.2%ですから、1万2千円かかります。更にそれを売ると、同じ1万2千円かかるので、売り買いすると、両方で2万4千円かかります。
売買手数料1.2%は高いでしょうか?
野村証券の売買手数料0.12%は高いでしょうか、安いでしょうか。もし高いと考えて、Buy And Holdの方針で保有し続けると、どうなるでしょうか。例えば、買ったまま売らないで10年間置いておくと、1年当たりのコストに均すと1.2%÷10年=0.12%です。私は、自分の勤めていた会社の持株会で買った個別株式を、数年前にすべて売却してしまいました。個別株式は、変動幅が大きく、倒産の可能性すらあります。私の連れ合いは、自分の勤めていた会社の持株会で買った個別株式を20年持ち続け、最後にその会社は倒産してしまいました。
売買手数料が高いことのメリット
従って、私は、個別株式は持たない方針です。そこで、その売却資金で1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)、SPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)などのETFを購入しました。これらのETFは今後10年、20年と持ち続ける予定です。ただし、生活などで必要があれば、一部を売却して現金化することもあるでしょう。売買手数料が高ければ、逆にそれがハードルとなって安易に売り買いしないという効果もあります。そして、安易に売り買いしないということは、売り時、買い時を考えなくて済むので、精神的にもイライラしなくて済むという好影響もあります。売り買いの好きな人もいるでしょうけど、私は、そのようなことでイライラしたくないので、野村証券の売買手数料が高いことを、良い方に解釈しています。
今日のテーマ:ETFが素晴らしい商品である割になかなか利用されない理由
ETFは、信託報酬が安い、個別株式に比べて変動幅が小さい、倒産する心配がない、値動きをNHKなどでも時間ごとに放送していて分かりやすいなど、素晴らしい商品だと思います。しかし、日本では十分に広まっているような感じがしません。その理由を考えてみたいと思います。
①雑誌、新聞、テレビなどで取り上げられない
雑誌、新聞などの収入源は、購買者と広告主です。広告主は証券会社等の金融機関ですが、信託報酬が安いのでETFに関する広告はほとんど見かけません。それよりは、ラップ、毎月分配型投資信託ほど儲からないETFの特集を見かけることがあまりないような気がします。逆に考えれば、証券会社等金融機関にとって儲からないけれど、ユーザー、購買者にとって有利な商品であるともいえるわけです。
②周りに成功体験者がいない
2000年代初頭にETFが発売された時、ある国務大臣が「ETFは必ず儲かる。」と発言して、周りの国会議員からたしなめられたことが有りました。その時、ETFは華々しくデビューしたのですが、その後、リーマンショックによる株式相場の低迷、ラップなどの商品やiDeCo、つみたてNISAといった新制度が登場してあまり、目立たなくなってきました。日本では、株式や資産運用に関して、比較的会話の話題になりにくいような気がします。そのため、家族や知り合いに、ETFの成功体験者がいないことも広まらない理由だと思います。
③投資信託に対する無知、現状に対する誤解
一般の人にとって、投資信託というものは、リスクが大きく、近寄ってはいけないという昔からの警戒心が強いような気がします。しかし、代表的なETFやiDeCo、NISA、つみたてNISAの投資信託は、とても良心的で素晴らしいものが多くなってきました。ETF、投資信託への不信感を払しょくするにはもう少し時間が必要な気がします。
④1990年ごろのバブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマンショック
日本では、最近30年間に何回もバブルが崩壊して、50歳代、60歳代の人が、株式、ETF、投資信託を警戒しています。最近は、NISA、つみたてNISAなどの新制度が出てきて、インデックスファンドに関するイメージは少しずつ改善されていくものと思われます。一方で、退職金等を受け取って、まとまった資金を持っている50歳代、60歳代にとっては、ETFの方が使い勝手がいいと思います。この年代には、過去のバブル崩壊の悪い影響がしつこく残っているようです。
⑤言葉が覚えにくい
ETFという言葉は、少し覚えにくいような気がします。元の言葉の、Exchange Traded Funds も日本人にとっては、なじみにくいと思われます。どうすればいいかは、分かりませんが、多くの人がETFを買って、慣れていくしかないでしょう。
まずは1306とSPY
私は、金融資産のほとんどをETFに投資し、その運用実績は良好に推移しています。そんな私も、国内の1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)は比較的早く購入したのですが、外貨ETFのSPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)の購入までには、多少の時間を要しました。今まで数十年にわたるSPYの良好な実績は明確です。もし、ある程度まとまった余裕資金(例えば100万円くらい)があれば、後は実際に買うかどうか、ということが大事な判断です。知識だけでは、資産を運用できません。実際に買うかどうかです。