今月もつみたてNISAを3万3千円自動購入した以外は、取引がありません。今月までは「野村積み立て外国株投信」で、来月からは「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」を購入します。
現在の販売会社は、野村證券 とSBI証券のみです。連れ合いと私は、2024年からの新NISAは、この銘柄を購入する予定です。
連れ合いは、2024年から1306(TOPIXの株式ETF)を取り崩して、新NISAの積立資金に充てる予定です。新NISAは1800万円購入できますから、現在の割合38%は20%程度まで縮小するでしょう。そうすると、外国の割合が8割程度になります。日本の国債残高はどんどん膨らんで、日本円に対する信頼が落ちることが予想されますので、できるだけ日本円を保有せずに、ドルに換え、しかもリターンの高い外国株式に投資しておきたいのです。
この件に関し、昨日に引き続いて、勉強したいと思います。以下は集英社オンラインの2023年8月1日の記事です。4回シリーズの2回目です。
日本の国債は本当に安全なのか? 銀行の立場から考える教科書どおりともいえる「財政不安のメカニズム」
熊野英生
世界中でインフレが日常化していが、給与所得は上がらず、これはまさに「インフレ課税」と言えるだろう。そんな中、「日本政府はあんなに借金をしていて大丈夫か?」という声も無視できなくなってきた。日本の国債は本当に「安全資産」と言えるのか? 第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏の『インフレ課税と闘う!』より一部を抜粋、編集してお届けする。
あなたが銀行の資金運用の担当者だったら、日本国債を買うか?
財政不安のメカニズムを、銀行の立場から考えてみよう。日銀が黒田前総裁の下で長期国債の大幅買い入れを始める前は、民間銀行が長期国債の主な買い手であった。では彼らは、政府から行政指導を受けているから大量の長期国債を買っていたのだろうか。
それは違う。あくまで自主的に買っていたのだ。そこにはたとえ低利回りであっても、元利返済が確実だという信用があったから、自主的に買っていたのである。仮に、そうした信用が失われたとき、国債は売られることになる。
思考実験として、読者が銀行の資金運用の担当者だったならば、日本国債を買うかどうかを考えてほしい。読者は、多くの預金者から資金を集めて運用する代理人でもある。代理人の責任として、日本国債は安全かどうかを考えたい。
安全性の根拠となるのは、財政再建をいつか将来は必ず完遂するという政府の約束だ。最終的にその約束が、信用を辛うじてつなぎ止めている。反対に、マクロ的に国内貯蓄だけで資金が回っているから国債の元利支払いは絶対に安全などという理屈で、国債を買っている人はいないだろう。
これは、自分が資金の貸し手かどうかという立場の違いでもある。貸し手は常に相手の信用力を評価している。判断基準は、元利払いの約束を履行するかどうかだ。
銀行自身も、帳簿上の健全性を重視する。例えば、融資先の貸借対照表を参照して、資産と負債のバランスを見比べる。資産評価を厳しく見て、資産−負債=マイナスにならないかをチェックする。負債>資産になれば、負債の裏付けがなくなり、それは債務超過となる。負債の裏付けにも穴が空く。銀行に損失が生じるということだ。
融資の本質は、相手の信用力にある
日本の賃金フローが、国内貯蓄+経常黒字という状況にあることは、帳簿上で債務超過でない(=自己資本プラス)という状況に似ている。銀行が債務超過でなければ、その企業に必ず融資をするかというと、それは違う。企業の信用次第では、貸さないこともある。貸すとしても上乗せ金利(リスク・プレミアム)をつけて貸す。
仮に、債務超過でなくても、融資をどの銀行からも受けられずに倒産することはあり得る。資金繰りが行き詰まるケースだ。黒字倒産や資金繰り難での倒産は起こり得る。結局、資金仲介は、相手先の信用で決まるということだ。この原理は、国内金融でも、国際金融でも共通して成り立っている。
融資の本質は、相手の信用力であり、帳簿は平時の評価材料の一つに過ぎない。放漫経営をやっていれば、資産が劣化して、融資を続けるのは危険だと見られる。それが信用だ。
筆者は、多くの人から、「日本政府はあんなに借金をしていて大丈夫か?」と聞かれることがある。質問者は、何も感情的に不安を訴えているのではないと思う。むしろ、直感の中に信用評価が隠れている。日本政府はあんなに大きな借金を返せるのかと、元利返済の安全性に疑問を訴えている。その安全性について、財政再建を政府は必ず守るから大丈夫だと言えなくては、その疑問は不信に変わってしまう。
先に、「財政不倒神話」の理屈づけとして、③日銀の無制限ファイナンスを挙げた。なぜ、日銀が政府の資金調達をすべて賄うことはいけないのか。その理由は、まさに信用を失うからだ。
売上(税収)がなく、融資だけで資金繰りを回している企業には信用力などない。それに、もしも、政府が日銀資金だけで回っていくのならば、私たちは税金を支払う必要などなくなる。それどころか、年金生活者たちは、毎年の年金給付額を500万円に増やせと要求し始めるだろう。日銀がお札をプリントすれば、円支払いが何でも可能だという世界になる。
それが罷り通り始めると、日銀が根拠なしに発行するお札を増やし続けるだろう。しかし、海外の人はそのお札を額面通りには受け取らない。プリントされたマネーに裏づけがないと考えるからだ。これは円が暴落して、超円安になることを意味する。また、日本国債は額面よりも遥かに安い価格でしか取引に応じられなくなる。これもまた国債暴落を意味する。長期金利はとんでもなく上昇しかねない。
1ドル200~300円になると輸入物価は1.6~2倍に
そうした信用失墜を回避するために、政府は最後の最後は税収を増やして、財政再建を進めると約束する。万一のときは腹を括って、増税をして国債償還の原資を捻出するしかないと、政府は投資家に説明する。信用とは、借金返済は何としても守るという政府の姿勢にかかっている。
反対に、その信用を失ったときは、円安がコントロールできないかたちで進むだろう。長期金利は、日銀が無制限に長期国債を買えば、上昇を封じることは可能かもしれないが、そのときでも円安は進んでしまう。おそらく、相当な「インフレが来る」というシナリオは、円安が大幅に進んだ結果として起こるのだろう。1ドルが200~300円になると、輸入物価は1・6~2倍になるだろう。食料価格とエネルギー価格は、他の品目よりも大きく上がる。
日本の財政運営が信用を失ったとき、通貨が下落するという予想によって、日本の円資産の売却を誘発する圧力が強まる。株安・債券安・円安のかたちで、海外投資家が各種資産を売って、円から別の通貨に資産を避難させる。投機筋も円売りに参加してくるだろう。
そうすると、円安→物価上昇→金利上昇という連鎖が起こる。最後の金利上昇は、日銀が海外への資産逃避を止めるために、政策金利を大幅に引き上げざるを得なくなるからだ。輸入インフレを抑えるための円安対策になる。結果的に、教科書通りのインフレ・金利上昇になるという図式は避けられない。
現に、2022年9月にイギリスの首相として就任したリズ・トラス前首相は、すぐに富裕層向け減税、電気ガス料金の引き上げ計画停止など、極端なポピュリズム政策を打ち出した。折しも、高インフレで、減税は火に油を注ぐ逆効果の政策だった。
それを嫌気した投資家は、英国債を売り込んだ。ポンドも暴落してしまう。市場からの信認を失ったトラス前首相は、当時の財務大臣を解任し、減税策も引っ込めた。しかし、それでは収拾はできず、首相自身も1週間後に辞任した。信用を失うとこうなってしまうのだ。