<昨日の続き>
著名投資家ウォーレン・バフェットが率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイは2021年5月1日、オンラインで年次株主総会を開きました。
バークシャー・ハサウェイは、アメリカ合衆国ネブラスカ州オマハに本社を置く持株会社です。もともと綿紡績事業でしたが、戦後に原料価格が下がり世界中で競争が起こったため、ウォーレン・バフェットの判断により保険業を足場とする機関投資家へ転換しました。
バフェットが株式に関してどう考えているかを知ることは、とても興味深いので5月3日のCNBCの記事をもとに勉強しましょう。以下は拙訳です。
歯止めの利かない政府財政支出は「大惨事に終わる」とマンガーは言う
ウォーレン・バフェットと彼の長年のパートナーであるチャーリー・マンガーは、政府の巨額財政支出と低金利の組み合わせについて語り、この極端なシナリオがいつまでも持続可能だとは思わないと言った。
プロのエコノミストたちは自分の分析に過剰な自信を持っていたが、多くのことで間違っていたことが明らかになって来ていて、財政赤字にあまり注意を払わずに財政支出を求める現代金融理論は、必ずしも答えにならない、とマンガーが言います。
「現代金融理論は本来あるべき姿よりも自信過剰になっていることもある。こうすることによってどんなことが起こるのかは、誰にも分らない。」とマンガーは言います。この極端なことを行えば、誰もが考えるより実行可能である可能性は十分にあると思う。しかし、際限なく行い続ければ最後は大惨事に終わるだろう。」とマンガーは言います。
バフェットが気に入っているケインズの引用
株式市場で投機が行き過ぎること、特にSPAC(Special Purpose Acquisition Company未公開会社の買収を目的として設立される法人)が蔓延することに警告を鳴らし、その副産物として株式市場に新たな投資家が殺到することになるとバフェットは言います。熱狂がいつ終わるのかは誰にもわからないと言います。
バフェットは、自分が気に入っているジョン・メナード・ケインズの言葉の一つを、スライドで掲示しました。
『投機家が企業活動のしっかりした流れに浮かぶ泡沫であるなら何の害もないかもしれない。ところが、企業活動の方が投機の渦の中に浮かぶ泡沫になるなら状況は深 刻である。一つの国の資本の発展がカジノ的行為の副産物になるとき、任務を果たせそうにない。』
バフェットは付け加えます。「このような時期が続けば、買収はうまくいかないだろう。」
昨年アップル株を少し売ったことは「多分、間違い」だったとバフェットは言います
バークシャー・ハサウェー会長のウォーレン・バフェットは2020年にアップル株を少し売ったことは間違いだったと認めました。2020年第4四半期にバークシャーはアップル株を3.7%だけ売り944百万株に縮小しました。
「私たちは好機をとらえてアップル株を買い、昨年少し売ったが、たぶん間違いだった。」と言いました。
オマハのご託宣は、アップル株が「とても、とても買い得」だと続きます。「アップル製品は人々にとって、絶対に必要なものだ」とバフェットは言います。
1,110億ドルというバークシャーの投資ポートフォリオの中で、アップルは最大の割合です。
バフェットとマンガーは、過去62年以上口論したことが決してない
コストコやウェルズ・ファーゴなど特定の株式についてバフェットとマンガーの意見が異なる場合について問われ、二人の意見を一致させるために努力したことはなく、一緒に働いていた60年以上にわたって、口論したことは決してなかったと言いました。
「ウォーレンと私は、私たちのするどんなにちっぽけなことでも合意しなければならないという必要はない。とてもうまくやっている。」と97歳のマンガーは言いました。
「62年間口論したことは一度もない。すべてのことに合意したというのではなく、お互いに腹を立てたことがなかったのだ。」とバフェットは言います。
シェブロンやほかの化石燃料会社の株を保有することに問題はない
化石燃料企業への批判が強まっていることに関する質問に対し、シェブロンを持つことに問題はなく、世界が再生可能エネルギーに向かって進んでも、シェブロンは将来社会の役に立つことを期待していると答えた。
「人が極端に走るのは少しおかしい。3年後にすべての炭化水素が禁止されることには反対だ。上手くいかないだろう。一方で長い時間をかければどうなってしまうだろう。」とバフェットは言いました。
バフェットとマンガーはたばこ株を持たないと誓いましたが、たばこを売る小売店の株は持っている、とバフェットは指摘します。
「どんな会社にもそういうことはある。わかっていても、嫌いでも・・・。もし配偶者、友人、会社に完璧を期待しても、そんなものは見つからない。」と言います。
<明日に続く>