トータル・ライフ・デザイン

文化放送ラジオの「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」に、米田隆が出演し中間層の資産運用について話したので、それをご紹介します。

米田隆の略歴

1981年早稲田大学法学部卒業。
1985年日本興業銀行の行費留学生として米国フレッチャー法律外交大学院卒業(修士号取得)
日本興業銀行にて為替トレーディング、国際営業、企業審査(M&Aの審査を含む)、プライベートバンキング業務等幅広く経験。2008年よりファミリービジネス学会の理事。2004年4月より慶応大学のキャリアリソーシリーズラボラトリーでは、上席研究員として個人のキャリア自律と財務自律を統合した「トータル・ライフ・デザイン」という世の中の変化への対応能力の高い新しいライフスタイルを提案している。2013年10月早稲田大学大学院商学部(MBA)客員教授就任。

トータル・ライフ・デザイン

キャリア・デザインだけでもなく、また、ファイナンシャル・プランニングだけでもない。両輪を回すことによって、変化に対して、より柔軟に対応できる生き方を世の中に普及していきたいと思っています。私自身が、35歳で日本の銀行を辞め、独立してゼロから始めて何度かキャリアを変えながら、今、大学の常勤の教授の仕事をしています。そして、副業でいろいろな新規事業にかかわっています。

リスクをとるときに資産が支えてくれる

仕事が変わるたびに何か新しいものを身に着け、一方、資産形成をする中で、リスクをとることをその資産が支えてくれてきました。そんなことを皆さんと共有できたらいいな、と今日思っています。

日本証券アナリスト協会

日本証券アナリスト協会という、投資に関する知識を普及する、公益団体のプライベート・バンキング教育委員会の委員長として、金融機関の資産運用ビジネスの教育カリキュラムを作ってお手伝いを奉仕としてしています。社会貢献活動の一部です。

資産保全イコール相続税対策

1990年前後、不動産が突出して大きな財産となって、それに対する相続税を気にして、資産保全イコール相続税対策みたいな流れでした。

資産運用は増やすのではなく、減らさないこと

資産運用は自分の資産を売却した後に、あるいはプロフェッショナルな人たちが、自分のインカムの一部を安定的にセービングして運用することによって、キャリアチェンジしても対応できるし、今まで事業を売った資産を運用して、また次の事業をするという、有価証券を中心とした資産運用が中心でした。資産運用は増やすのではなく、金持ちは、減らさないことだ。当時は突出した相続税率をヘッジすれば何とかなったじだいでした。

プライベートバンキングの入門は3億円

プライベートバンキングは、富裕層向けの資産運用という意味で、それは有価証券中心で、しかも、国際的に分散させる。富裕層は国際的にみれば、少なくとも3億円前後くらい。3百万ドルが入門コースで、そこから増やしていって、上の人は100億円、1000億円という方々もいます。

資産運用の方法は中間層にも適用できる

富裕層に役立つ資産運用の方法は、中間層にも適用できるはず。先日も仕組債の話をしたけれど、そんなとんでもないものを今の金融機関はやって、金融庁に怒られたりしている。

長期・分散・積立で中間層をしっかりする

お金よりも一族の一体性のほうが大事だという新しいプラクティスを今作っています。所得では全員が勝ち組に入ることはできないけれど、実は、若いうちから、しっかり自分の収入の一部を積み立てて、分散して、長期運用すると、だれでもバランスシート・リッチにはなれます。

中間層が民主主義を支える

ここが一番大事で、中間層がしっかりしていると、民主主義も個人の人権、尊厳も担保できる社会を担保できます。尊厳は絶対的価値を持ってみること。先日、資産運用会社に呼ばれて社内研修をやった時に、運用会社の社会的なミッションというのは、中間層の劣化を防ぐことではないかと、かなり厳しくいったところ、みんな背筋がピンとなりました。

中間層の劣化とは?

平均所得と中間所得の差が開いてきている。格差が開き、ジニ係数が悪化してきている。生活保護者が戦後最大になり、今後、高齢化が、年金がない、年金の額が少ない人を中心に、高齢化に伴って下に漏れていく。その数が多いのは高齢化が一番の理由なんです。今まで2000年以降は、正規従業員でなくなった若い人の所得が落ちたけど、これからは高齢化が中間層崩壊の最大の理由になるので、これをどう救うか。

親世代が子供世代に長期運用を教える

若い人は長期運用をするのがよいが、それを親の世代が教えるのが望ましい。確定拠出年金は、税法上もすごく優遇されて、所得控除が使え、所得にリンクする税金、社会保険料を少なくしてくれる。

確定拠出年金は3倍になった

私は確定拠出年金が、積んだお金が920万円、今2770万円になった。ほぼ投資が1だとしたら、2増えて3になっているということです。

資産運用は親がしつける

日本で資産運用がうまくいっていない最大の理由は、成功者が少ないこと。だから、成功者がカミングアウトすることが大事。家庭の中でもそういう話をちゃんとすべきです。フランスの社会学者ピエール・ペルデューは、家庭の持っている文化資本は格差要因の一歩だと言っています。例えば、家に行くと書籍がある、音楽がある、ピアノがある。政府がいくら啓もう活動をしていても、親に成功体験がなければ難しい。親がしつけの一環としてやっていることが大事です。

確定拠出年金は、そのままにしておくこともできるけど、確定拠出年金の中で入れ替えもできます。

7:3のルール

給料から毎月引き落とされて積み立てるので、強制貯蓄の要素があります。自分の給料が去年より10上がると、ほとんどの人が10使ってしまう。そのうち7は強制貯蓄で将来のために、3は今の生活を豊かにするために使う。それが7:3のルール。