<私と連れ合いの会話>
借金大国ニッポン
連れ合い:国は毎年借金を増やしているけどどれくらいになっているの?
私:2016年のGDP比で言うと、日本は232だからGDPの2.3倍だね。
連れ合い:他の国はどうなってるの?
私:昔、ハイパーインフレに苦しんだドイツは、75と低い。アメリカは共和党が小さな政府を目指していたりしてるから、111。英国、フランスは120前後。
連れ合い:ちょっと前に財政危機と言われていた南欧はどうなの?
私:イタリアが160、ギリシャでも200。
連れ合い:イタリア、ギリシャより国債残高の多い日本って、やばくネ?
債務残高の国際比較(対GDP比)(2016年)
(出典)OECD “Economic Outlook 98″(2015年11月):財務省のホームページより
私:今は、とりあえず大丈夫。
国債を買い続ける日銀
連れ合い:その国債は誰が買っているの?
私:今までは国民や金融機関が買っていた。
連れ合い:国債を買うにはお金が必要だけど、国民はお金をそんなに持っているの?
私:団塊の世代を中心にシニア世代が、いっぱい貯蓄しているから、今は大丈夫。
連れ合い:でもこんなに国の借金が増え続けると、いつかは国民の貯蓄も底をつくんじゃない?
私:そうだね。それに、団塊の世代は引退している人が増えてるから、生活費などでどんどんシニア世代の貯蓄は減っていくね。
連れ合い:それじゃあ、買う人がいなくなるじゃない?
私:それで、今は日銀がどんどん買っている。
連れ合い:でも、いつまでも買い続けられるの?
お札を刷り続けると国が儲けて国民が損をする
私:お札を刷り続ければできるよ。お札は日本銀行券というくらいだから、日本銀行がどんどん刷れる。
連れ合い:どんどん刷るとどうなるの。
私:今あるお札の、2倍になる。
連れ合い:そうすると、みんながお金持ちになるの?
私:みんなが持つお札の枚数が増えるけど、それはお金持ちとは言わない。
連れ合い:それってどういうこと?
私:インフレになるから、お札の価値が半分に下がる。
連れ合い:マジか。ほかに変わることは有るのかな?
私:銀行預金も額は変わらないけど、価値が半分になる。GDPの金額は2倍になる。国債の額は変わらないけど、国の負担は半分に減る。
連れ合い:そうすると、国は儲かるね。
私:国は儲かるけど、その反対に損する人もいる。
連れ合い:それは誰?
私:銀行に預金している人、郵便局に貯金している人。預貯金で半分のものしか買えなくなる。
連れ合い:個人が持っている財産の中で銀行預金の割合ってどのくらいなの?
私:家の金融資産のうち、5割だね。アメリカは1割、ヨーロッパは3割だから、日本は異常に銀行預金と郵便貯金の割合が高い。
インフレ税、インフレタックス
連れ合い:国の借金が減るのはいいけど、それを国民が肩代わりするって、マジ、やばくネ。ところで、インフレって言えば、日銀はインフレ率を2%にしようとしているけど、それも、国の借金が減って、国民がそれを肩代わりするってこと?
私:その通り。インフレ率2%が10年続けば、複利で22%だから、銀行預金の場合には価値が2割減るってことだね。それだけじゃない。年金をもらうシニア層は、マクロスライドという訳の分からない名前の仕組みがあるので、インフレになったら、全部が年金に反映されるのではなくて3割くらいは年金を減らすことになっている。ダブルパンチだね。こんな風に、インフレになって、国民が国の借金を実質的に負担することをインフレタックス、インフレ税という。
連れ合い:それって、マジ、ヤッベ。でも、そんなことを続けている政権は、選挙で負けて、まともになるんじゃない?
私:今は国の借金をどんどん増やす政権を、国民が選んでいる。特に20歳前後の若者は、就職が好調だから今の状況を歓迎している人もいるみたい。でも、この状態はいつもでも続かないし、このままの状況が続けば続くほど、国の借金が増えるから、もっともっと深刻な状況に陥る。山高ければ、谷深し。もし、今の状況を立て直すとすれば、財政再建をするのと、日銀が国債を買うのを止めるのが基本になる。つまり、増税すると同時に金利を上げることだね。
増税すれば不況
連れ合い:増税して金利を上げたら、もしかして不況にならない?
私:今までお金をいっぱい使って借金しまくって来たから、大変なことになるだろうね。
連れ合い:そうすると、今のままだとインフレになって、国民がインフレ税を払わなければならなくて、逆に、国債増発を止めて金利が上がると、不況になるってこと?何とかならないの。
私:何とかなる可能性もゼロではないと思う。これ以上財政状態や国債残高を悪化させずに、今進んでいると言われている第4次産業革命で、日本が圧倒的な競争力を付けて、今の2倍くらいのGDPに増やすことができれば、今の状況でしばらくいけるんじゃないかな。
連れ合い:そんな国際競争力を付けることが可能なの?
私:どの国も必死で頑張ってるから、日本だけが圧倒的に有利なることは考えられない。何事でも不可能ってことはないけど、まず無理でしょう。