「富裕層に学ぶ外貨投資術」(日本経済新聞社:尾河眞樹)の「参考になること、実践できること」を検討します。
◎今日のテーマ:富裕層に学ぶ外貨投資術の検討4
<ポイント3>相場のタイミングをつかむ
タイミングが分かれば苦労しない
このポイントは、言うは易く行うは難し、です。後になってグラフを見れば分かっても、その時々には分かりません。もう一つ難しいことは、これから株価の上昇する株を買うということです。この二つができれば、あっという間に大金持ちになれます。経済評論家の豊島逸夫氏は、長いディーリング経歴がありますが、1600勝1500敗だったと言っています。豊島氏がこの成績なのですから、私のような素人は勝率50%であると言って間違いはありません。従って、相場のタイミングをつかむことはできません。
実損は、外貨MMFと従業員持株会
私は、タイミング悪く外貨MMFを売ったために200万円損をした経験があります。連れ合いは、最初に投資したタイミングが悪く、リーマンショック前でしたし、従業員持株会の株式を売るタイミングを逃したために、積み立て元金400万円が倒産でゼロになってしまいました。
そこで、タイミングに頼らない方法が2つあります。
ドルコスト平均法
一つ目は、積み立てるときのドルコスト平均法、つまり積立投資です。この方法なら、大儲けをしない代わりに損もしません。あまり欲張って、大儲けしようとしなければ、かなりのリターンを得ることができると思います。
バイ&ホールド
もう一つの方法は、Buy and Holdです。ETFまたはインデックスファンドを買って持ち続ければ、5年後か10年後かは分かりませんが、いつかはリターンがプラスになる時期がありますから、その時点で必要に応じて、売れば損をしません。ただし、留意点が二つあります。
① ETFかインデックスファンド
個別株式ではなくETFかインデックスファンドで運用することです。個別株式で運用すると、運が悪ければ、私の連れ合いのように、その会社が倒産する可能性がありますが、数百銘柄に分散投資するETF、インデックスファンドなら、そういう恐れはありませんから、長期保有しても安心です。
② アメリカ中心か世界に分散
アメリカはS&P500
ETFやインデックスファンドに投資するときには、日本だけに限って投資しないことです。つまり、アメリカを中心にするか、あるいは世界に分散するかは選択の余地がありますが、日本にしか投資しないのはリスクが大きいと思います。世界に投資する場合には、当然アメリカが半分以上になるので、成長するアメリカ市場への投資が可能になります。なお、アメリカについては、S&P500のETFかインデックスファンドを買うことです。ウォーレン・バフェットが、自分の死後、相続財産の90%をS&P500のインデックスファンドで運用することを推奨しています。
売るときも分散して売れば大損しない
なお、ドルコスト平均法の考え方は、買う時だけでなく、売るときにも使うことができます。例えば、住宅を購入するときに、その直前にETFなどを売るとすると、タイミングが悪ければ安値の時に売らざるを得なくなるかもしれません。そこで、そのリスクを避けたい場合には、住宅を買う予定の時期の数年前から少しずつ売却して、現預金で保有しておくという方法があります。ただし、こうすると現預金にしておく間はリターンがありません。それを保険料として割り切るかどうか、考え方の問題です。
マーケット全体のPER
売るタイミングを、そのマーケット全体のPERで判断するという方法もあるかもしれません。例えばPERが15倍なら高過ぎないと判断して、売却を遅らせるという考え方です。しかし、15倍が高すぎないとはいえ、12倍まで下がる可能性もありますから、売るタイミングをいつにすべきかということについて、事前に正解を知ることはできません。