コロナ禍の不動産事情 2020年10月 3

<昨日の続き>

東京のローカルテレビである東京MX(東京メトロポリタンテレビジョン)の「田村淳の聞きたい放題!」で放送された内容をもとに、考えてみたいと思います。系統的にまとまった順序建てではなく、私の記憶をもとにメモ的に書いていきます。放送された内容の趣旨を★、私の考えを☆で表しています。

★かつては、東京は世田谷、杉並等が高く、竹ノ塚、尾久、葛飾などの地価が安かったので 西高東低と言われたが、その差は縮まってきている。

☆首都圏の地価上昇率トップ10

首都圏で地価が上昇しているのは、下の表のとおり、東京23区の北東エリアが荒川区、北区、足立区、台東区、山手線内が、豊島区、文京区、新宿区、渋谷区、港区となっています。従って、練馬、板橋、杉並、世田谷などの西エリア、品川区、太田区などの南エリアは入っていません。

地価上昇率トップ10(2020年、首都圏の公示地価)

市区町村 公示地価(円/㎡) 変動率
東京都荒川区 508,882 9.0%
東京都豊島区 631,783 8.2%
東京都文京区 999,583 7.5%
東京都新宿区 803,517 7.0%
東京都北区 531,719 6.9%
東京都渋谷区 1,311,500 6.5%
埼玉県川口市 209,478 6.4%
東京都港区 2,009,310 6.3%
東京都台東区 916,333 6.1%
東京都足立区 314,176 5.9%

駅に関しても昨年と比較してみます。(基準地価 2019年⇒2020年 ㎡当たり)

北区東十条:465⇒475
足立区竹ノ塚:326⇒329
足立区扇大橋:291⇒298
葛飾区亀有:344⇒373

このように東京の北東エリアは1~2%上昇しています。一方、杉並、世田谷なども1~2%上昇していますので、駅ごとに見ると上昇率では大きな差が無いように見えます。

★土地のブランドはイメージで形成されるので、隅田川の花火、スカイマーク、便利さなどで東の地価が上昇している。

金妻効果

イメージによって地価が上昇した例が、東京郊外の東急田園都市線沿線の新興住宅街で、TBS系列で1983年(昭和58年)に放送された連続テレビドラマ『金曜日の妻たちへ』通称は『金妻(きんつま)』が影響したようです。

田園都市線のラッシュアワー

田園都市線の地価は上昇したのですが、沿線に人口に比べて通勤電車の容量が少なく、東京に通勤するサラリーマンは、毎日つらい思いをしていました。「田園都市線なんて名前は良いが、ラッシュアワーがひどくて、失敗した。」と嘆いていました。

区の違いで価格が3割違う

都内でも区によってイメージの差があります。豊島区と文京区は隣どおしで、山手線の大塚駅は豊島区南大塚に有りますが、文京区にも大塚という地名が1丁目から6丁目まで有ります。不動産屋の説明によると、同じ大塚でも豊島区から文京区に入ったとたんに雰囲気がガラッと変わると言っていました。次の2か所は、隣接した地域ですが3割も価格が違います。

  • 豊島区東池袋5丁目 535千円/㎡
  • 文京区大塚6丁目 692千円/㎡

東京駅周辺再開発で、東方面が上昇

東京駅、日本橋の再開発が進むと、東京の東地区の価格は上がって行くだろうと思います。世田谷、杉並から1時間以上かけて通勤するよりは、墨田、江東、江戸川から30~40分で通勤した方が楽です。

★不動産は、他の商品などと違って、タイミングを待っていれば安くていいものが買えるというものではない。
出会いが必要で、5年間住んで楽しく充実した人生を過ごせれば、お金に換えられない価値を手に入れることができる。

☆金融商品と不動産との違い

ETFや投資信託であれば、どの銘柄でも、いつでも買うことが可能ですし、リターンは分からないものの、コストははっきりしています。逆に売るのも、時期を選ばず売れます。

金融商品は誰でも同じものを買えるが不動産は全部違う

しかし、土地の場合には、場所、面積、地形だけでなく、向き、地形、過去の経緯等、様々な要素がありますので、個人住宅という観点からは数字だけで判断できるものではありません。他にも、建蔽率、容積率、近隣住民の状況、水害、地震、騒音などの要素も重要になる場合があります。つまり、お金は数字ですが、個人の住宅用不動産は生活、感情、思い出が主役です。デジタルとアナログの違いでしょうか。

不動産は買うタイミングが重要

そして、不動産の場合には、いつ買うかというのも重要な問題です。ETF、投資信託は、できるだけ早く買えば、分配金や値上がりが期待できますが、不動産の場合には、今後値下がりする可能性もあるので、早ければよいとは割り切れません。

十分に各物件を調査して経験・知識を積み重ねた後、即断即決

私は現在住んでいる土地を、年末の押し詰まった中、レインズ(国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム)で見つけた直後に、勤めている会社に休暇届を出して現地訪問し、1時間後に申し込みました。後で聞いた話では、その日のうちに数件の問い合わせがあったそうです。もし、レインズで見つけた後、1時間、2時間躊躇していたら、、他の人が買っていたでしょう。そして、同様の物件が同じ程度の価格で売りに出されることは、まずないでしょう。その意味で、評論家の古谷 経衡(ふるや つねひら )のいうことは、その通りだと思います。

経験を積む

そして、そのような迅速な決断ができたのは、それ以前に50件ほどの物件を現地に出向き、実際に見ていたので、不動産用語、地域別の相場観、判断基準等を身に付けていたからです。

<明日に続く>