8月の植田ショックにどう対応したか

2024年8月初めに、日本株市場では史上最大幅の暴落と急騰が発生しました。

今年から新しい少額投資非課税制度(NISA)で株式や投資信託の購入が増えたので、その人たちの中には大きなショックを受けた人もいるでしょう。場合によっては、ろうばい売りをした人もいるようです。

私は、いつも通りボーとしていて、6千万円くらい急落しましたがその後3千万円まで下落幅が縮小しました。まだ下落前の水準には達していません。アメリカのS&P500は戻ったのですが、日本株ETFとドル円が下落したままなので、回復までには数か月から数年かかるかもしれません。

私はデイトレーダーではなく、TOPIXとS&P500のETFをバイ・アンド・ホールドしているだけなので、今回の植田ショックもショックではありません。

友人から、「今回の急落の原因は?」と聞かれたので、「上がり過ぎたから、下がっただけ」と答えました。

連れ合いも、「修羅場をくぐって来たから、全然平気」と言っています。修羅場とは、2008年のリーマンショックのことで、1306(TOPIXの株式ETF)とSPY(SPDR社のS&P500株式ETF)に合計1000万円投資した直後にリーマンショックに見舞われ、評価額が半分以下になったのです。それが回復するまでに7年かかりました。

連れ合いはリーマンショック直後、「今売って、もっと下がったら買い戻す」と繰り返し言っていたのですが、私が「それでうまく行くのなら、世界中の人が株で大儲けできる。今は何もしないで待つのが一番良い」と繰り返し言い、結局一度も売らずに持ち続けた結果、現在は投資元本の2.5倍に増えました。

私と連れ合い、そして娘、息子たちは、長期分散低コストを徹底して、個別銘柄には手を出しません。そしてバイ・アンド・ホールドで、相場が下落した時にも決して売りません。

保有ETFは、

  • SPY(SPDR社のS&P500株式ETF)
  • VOO(バンガード社のS&P500株式ETF)

保有インデックスファンドは、

  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
  • eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
  • SBI・V・S&P500インデックスファンド
  • ニッセイ外国株式インデックスファンド

です。

知り合いの中に、上記インデックスファンドでNISAを始めた人がいますが、私のアドバイスはただ一言「下がった時に売らないこと」でした。

しかし、そのような行動をとれなかった人もいるようです。日経の2024年8月28日の記事を読んで見ましょう。


新NISAで人気の投信、相場動乱で慌てて売却か
相場動乱と新NISA(下)

日米の株価は8月初めの急落から回復しつつあるが、個人投資家のショックはまだ癒えていないのかもしれない。新しい少額投資非課税制度(NISA)で人気が高い投資信託の売買動向をみると、慌てて投信を売却し、投資をやめたのではないかとも考えられる状況が明らかになった。データを基に、新NISAでの投資で必要な心構えを探った。

「投信からのこれほど大きな資金流出は、新NISAが始まって初めてだ」

こう驚きの声を上げたのは、QUICK資産運用研究所研究員の石井輝尚さんだ。8月7日、投資信託の購入・設定から売却・解約を差し引いた資金流出入額の合計が1609億円の流出超となったからだ。

海外の株に投資する投信は、投資家の注文が2営業日後に資金動向に反映されるため、7日のデータは5日に行われた売買の結果を表す。5日は日経平均株価が史上最大幅の下落を記録した(下落率は史上2位)。米株式市場でもダウ工業株30種平均が前週末比1000ドル以上下落。直近3営業日の下落幅の合計は2100ドル以上に及んだ。こうした日米の相場急落を受けて、個人投資家が慌てて投信を売却した様子がうかがわれる。

新NISAのつみたて投資枠でひときわ高い人気を集めているのが、米S&P500種株価指数に連動するインデックス型投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」。この投信では8月6〜8日の3日間で計300億円近くの流出超過となった。米MSCIが算出している全世界株式指数(ACWI)に連動するインデックス型投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)も、7日に78億円の流出超となった。

大幅な資金の流出は一時的で、9日以降は通常のペースで資金流入が資金流出を上回る状態に戻った。ただし、石井さんは「買い戻しの山らしいものが見られない」と指摘する。慌てて売却した後、「危機は長続きしない」と判断する人が多ければ、売却した分の買い戻しが相次ぎ、資金流入額が通常より膨らむはずだ。しかし、そうした傾向が見られないという。

「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は7月に設定から解約を差し引いた資金の流入超過額が2004億円となったが、8月は23日までの推計値が1077億円と、7月の5割強の水準にとどまっている。オルカンは7月は2240億だったが、8月は23日時点の推計値が1377億円だ。ここ1年ほど注目されてきたインド株のインデックス型投信や、NISAの成長投資枠で人気の半導体株投信なども、8月の流入超過は7月より大幅に少ない額で着地しそうだ。

こうした資金動向を見ると、慌てて売却して、そのまま投資をやめてしまった人がある程度いるのではないかと考えられる。新NISAのスタートをきっかけに株式投資を始めた初心者の間では、日経平均が3月に最高値を更新した後、4月にいったん急落した局面で「新NISA詐欺」という言葉がX(旧ツイッター)のトレンドに挙がるほど、動揺が走った。7月に日経平均が最高値を再更新した後の史上最大級の下落は、初めての大きな衝撃となったことは想像に難くない。

積み立て投資、株価下落でメリットも

もっとも、実は同じ金融商品を定期的に一定額ずつ購入していく「積み立て投資」では、投資を始めて間もなく株価が下落するのは悪いことではない。投資開始時に10万円だった株価が毎月1万円ずつ下落し、6万円を底に反転して毎月1万円ずつ上昇するケースを想定して、株価に連動するインデックス投信に投資する場合の資産残高を試算してみよう。

最初に10万円を一括投資する場合は、株価と同じように資産残高が変動し、株価が下がれば資産が減り、回復すれば資産が増える。10カ月目に株価が11万円になれば、資産残高も11万円だ。

一方、毎月1万円ずつ積み立て投資するとどうなるか。株価が下がれば、購入できる投信の口数が増える。このため、株価が底を打って反転すると、資産が大きく増えやすくなり、10カ月目の資産残高は約13万円と、一括投資を上回る。

積み立て投資の初期に大きな株価下落があると、資産残高がまだ少ないため、一括投資よりダメージの度合いは小さくて済むのもメリットだ。そう考えれば、積み立て投資を始めてすぐの株価下落は、恐れるべきものではない。

株価が下落した局面で投資をやめれば、その後に株価が回復しても資産は増えない。積み立て投資は10年、20年の長期を前提に取り組む人が多いだろう。それなら、新NISAが始まってすぐの相場暴落で投資をやめるのは、資産形成にプラスとは言えない。