マイクロ法人とは、少人数(主に1人または2人)で運営する小規模な法人のことを指します。個人事業主として活動するのではなく、法人(株式会社や合同会社)を設立することで、節税や社会保険料の最適化を図る手法として注目されています。
マイクロ法人の特徴とメリット
1. 節税対策
個人事業主としての事業所得は総合課税の対象となるため、所得が増えるほど高い税率(最大55%)が適用されます。一方で、法人化することで法人税(約15〜23%)の適用を受け、節税につながることがあります。
2. 社会保険料の最適化
個人事業主の場合、国民健康保険や国民年金の保険料は所得に応じて増加しますが、マイクロ法人を設立し代表取締役として給与を低めに設定することで、社会保険料を抑えることが可能です(一定の条件のもと)。
3. 信用力の向上
法人名義での契約や取引が可能になるため、銀行融資やクレジットカード発行、ビジネス取引での信用力が向上します。
4. 有限責任のメリット
個人事業主は無限責任ですが、法人の場合は有限責任となり、万が一のリスクを限定できます。
マイクロ法人のデメリット・注意点
- 法人維持コストがかかる(設立費用、税理士費用、法人住民税均等割など)
- 社会保険の加入義務がある(役員報酬を一定額以上にすると社会保険料の負担が発生)
- 手続きが増える(法人税申告、決算、事務処理など)
マイクロ法人の活用事例
✅ 副業収入の管理:本業が会社員で、副業の収入を法人で受け取ることで、節税や社会保険料の調整が可能
✅ フリーランスの法人化:デザイナーやエンジニアなどの個人事業主が法人化し、経費計上や信用力アップを狙う
✅ 不動産投資:賃貸収入を法人名義にすることで、税制メリットを受ける
👉 まとめ
マイクロ法人は、特にフリーランス・副業・投資家にとって大きなメリットがあります。ただし、法人維持コストや社会保険の仕組みを理解した上で設立することが重要です。
<弥生会計>
マイクロ法人とは経営者1人で行っている会社の呼び方
マイクロ法人とは、会社法に定められた会社の形態ではなく、一般的に経営者1人だけで経営している会社の呼び方の1つです。経営者の家族を含む場合もあるため、「プライベートカンパニー」と呼ばれることもあります。
マイクロ法人は、現在設立できる会社形態のうち、株式会社や合同会社、合名会社で設立することができます。合資会社は、有限責任者と無限責任者がそれぞれ1人以上必要ですので、1人の場合は設立できません。
一般的な法人との違い
マイクロ法人と一般的な法人の違いは、自分以外の株主や役員、従業員がいないことの他、事業拡大を目指すかどうかという点です。例えば、株式会社の場合、一般的な法人は、利益の維持や向上のために事業拡大を目指し、得た利益を株主などに配分します。マイクロ法人は、出資者である株主と経営者の役割を経営者が両方兼ね、1人でできる範囲で事業を行います。
1人でできて、かつ設備費や仕入れ費用が抑えられるような業種として、コンサルタントやライター、デザイナー、ブロガー、アフィリエイターなどが挙げられるでしょう。
個人事業主との違い
マイクロ法人と個人事業主の違いは、起業の手続きや税金の仕組み、経費の範囲などです。例えば、個人事業主として開業するなら税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出するだけですが、法人を設立する場合は、定款の作成や法務局での法人登記などが必要です。
法人の設立は手間や費用はかかりますが、場合によっては個人事業主よりも節税効果が高くなるといったメリットがあります。そのため、1人で事業を行うにしても、個人事業主ではなく、マイクロ法人を選ぶ方もいます。
マイクロ法人のメリット
個人事業主と比較した際のマイクロ法人を設立するメリットは、主に以下の3つです。
マイクロ法人のメリット
- 社会保険料や所得税が個人事業主より抑えられる
- 経費として扱える幅が広がる
- 社会的な信用度が高くなる
マイクロ法人のデメリット
マイクロ法人にはメリットがある一方で、デメリットもあります。マイクロ法人を設立するデメリットは主に以下の3つです。
マイクロ法人のデメリット
- 法人設立の手続き費用がかかる
- 赤字であっても法人住民税が発生する
- 税務申告の手続きが複雑になる