ナッツのアレルギーが増えているようです。
2025/10/6のYahoo!Japan ニュースを読んで見ましょう。
急増するナッツアレルギー…12年間で10倍に、健康志向と消費量の増加が背景か “見えないナッツ”のリスク 対策整備と啓発進む
クルミやカシューナッツなどのナッツ類のアレルギーを起こす人が急増している。消費者庁の調査によると、2011年以降の12年間で10倍に増え、子どもを中心に重症化リスクも高まっている。日常に潜むナッツアレルギーの危険と、社会の対応に迫った。
消費量の増加が一因か
高タンパクで栄養価が高い食材として注目されるナッツ類。健康志向の高まりとともに消費量が増え、アレルギー症例も急増している。
消費者庁の2023年の調査によると、ナッツ類が原因となったアレルギーの症例数は、鶏卵に次いで2位。内訳でみると、クルミの症例数の増加が顕著で、年齢別では3歳から17歳まではえびや卵を抑えてクルミが1位となっている。
ナッツ類の消費量が増加していることが、アレルギー症例の増加の一因と推測されている。
ナッツ類は少量でも重症化しやすい特性をもつ。
「呼吸器や消化器系にも症状が出て、最悪進行すると『ショック症状』を引き起こすアナフィラキシー症状が起こりうる可能性が、ほかの食物に比べ高い特徴がある」
日本アレルギー学会の理事長で国立病院機構相模原病院臨床研究センター長の海老沢元宏氏は、警鐘を鳴らす。
消費者庁は、2025年度中に加工食品の食品表示義務にカシューナッツを加えるほか、ピスタチオも表示推奨品目に加える方針だ。海老沢氏は「マカダミアナッツやヘーゼルナッツも増加傾向が続いているので、注意していかなければいけない」としている。
「怖くて…」アレルギーの子持つ親の不安
カシューナッツが記載されている加工食品は、現時点で限られている。
重いナッツアレルギーをもつ小学1年生の母親は「ハロウィンなどのお菓子にナッツが入っている場合は多い」と話す。
店頭でショーケースに並べて販売されているケーキや焼き菓子などは、店員と直接やりとりできるとして食品表示の義務が免除されているが、「いただいたケーキは怖くて食べられない」と不安を抱えている。
“見えないナッツ”のリスク
対応が急がれているのが、外食や、量り売り店で提供される中食(なかしょく)の場におけるアレルギー対策だ。ナッツ類は、粉末状やペースト状にして目に見えない形で含まれていることもあり、知らぬ間に摂取してしまうリスクがある。
外食・中食は事業規模や営業形態が幅広いうえ、提供される商品が多岐にわたるが、食物アレルギーに関する情報提供が義務付けられていない。
原材料が頻繁に変わることや、原材料の意図しない混入(コンタミネーション)を防止するため、調理の場を食材によって切り分けることが難しいためだ。
表示制度の整備と啓発進む…
政府は対応を強化している。
厚生労働省は2017年の「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」で、「関係業界と連携し、実行可能性にも配慮しながら、外食事業者等が行う食物アレルギー表示の適切な情報提供に関する取組等を積極的に推進する」と定めた。
事業者向けには、食物アレルギー表示の基礎や実際に取り組む際のポイントを示し、患者向けには、店舗利用の際に気をつけるポイントなどを幅広く学べるよう、パンフレットや動画制作などを通じて普及啓発を行っている。
消費者庁はアレルギー患者団体向けの実態調査を行っていて、2025年度中にとりまとめる予定だ。
消費者庁幹部は「自主的にメニュー表示を行う事業者は増えていると認識している。そうした最新の民間事業者の動きや患者・関係者の声を把握したうえで今後の対策を検討したい」と話す。
点鼻薬「ネフィー」普及に期待も課題
アナフィラキシー症状を起こした場合、アドレナリン薬剤が投与される。日本では、一般的に筋肉自己注射「エピペン」が処方されている。
しかし、エピペンは本人にかわり保護者や学校関係者などが注射する際、抵抗感やためらいがあることから、投与が遅れているとの課題があった。
そんな中、患者から期待されているのが、点鼻薬「ネフィー」の普及だ。
アナフィラキシーに対応する点鼻薬「ネフィー」は、2025年9月に日本国内で製造販売承認を取得した。薬価交渉などを経て、処方開始時期が発表される方針だ。
ただ、国立病院機構相模原病院臨床研究センター長の海老沢氏は、アメリカのトランプ政権による影響を懸念している。トランプ大統領は、米国で販売されている医薬品について、OECDなどの先進国で提供されている最低価格にあわせる「最恵国待遇(MFN)薬価」の導入を呼びかけている。
海老沢氏は「日本は国民皆保険制度のもとで薬価は安価に抑えられている。米国企業にとっては脅威で、薬価によっては日本への供給を控える可能性もあるので心配だ」と指摘する。
様々なアレルギーに悩む人が増えている今、アレルギーと向き合う人たちと懸命にケアする家族たちがより自由にいきられるよう、社会的理解を一層深める時期がきている。