日米の金利上昇

日米ともに金利上昇が続いています。有識者の見通しを調べてみます。


長期金利、29年半ぶり2.8%:識者はこうみる

ロイター 2026年5月18日

18日の現物債市場では新発10年国債利回り(長期金利)が同10.0ベーシスポイント(bp)上昇の2.800%と、1996年10月以来29年半ぶり高水準をつけた。

市場関係者に見方を聞いた。

◎3%視野、インフレ・円安・財政リスクで

<野村証券 エクゼクティブ金利ストラテジスト 岩下真理氏>

イラン紛争が始まってから、底辺にインフレリスクがある。日本のインフレ​ピークは2027年1―3月が想定されているものの、インフレがピークを打つというのが見えるまでは、インフレリスクが残り続ける。補正予算を巡‌る思惑は消えず、財政懸念も広がっている。政府・日銀が為替介入を実施したものの、ドル/円は155円を割ることが出来ず、円安リスクも根深い。

金利先高観が広がる中、値ごろ感による買いや絶対的な需要などで金利上昇圧力が和らぐことは難しく、買い手が不在となりやすい。

夏以降の物価上振れリスクが意識されれば、日銀が年度内に1.5%まで政策金利を引き上げる可能性はゼロではな​い。このほかに、インフレや財政、円安のリスクによるプレミアムが乗る形で長期金利は3%が視野に入ってきた。

根本的にインフレリスクはそう簡単に​消えず、円安リスクは日銀が金融政策である程度対応していくことが必要になる。財政リスクについては、6月の骨太方⁠針の出し方や中間評価が予定されている日銀の国債買い入れの減額ペース縮小について、どのような判断になるか注目だ。買い手がいないのであれば、昨年​と同様に国債発行計画の見直しなど、財務省と日銀が金利上昇に対してどのように対応するか、それを見極める展開となるだろう。

◎インフレや財政懸念で悪い金利上​昇に

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

イラン紛争の長期化リスクで原油高によるインフレ懸念から日米など世界的に金利上昇圧力がかかっている。足元ではインフレ懸念だけではなく、石油製品の供給不足など実体経済への悪影響が意識されている。政府側からは補正予算が策定される見込みだ。

経済が低成長で、インフレへの警戒感が強く、スタグフレーシ​ョンに陥りやすい日本や英国などで財政出動となると、1月のような悪い金利上昇という形で、株安・円安・債券安とトリプル安への再燃懸念が広がりやすい。

18―19日に開催​される主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、中東情勢の解決は困難であり、世界的な金利上昇がテーマになるだろう。景気悪化懸念は財政出動の対応が必要で、金融政策の‌一本槍では対⁠処は困難だ。6月に中間評価が行われる日銀の国債買い入れについては、買い入れ減額に対して距離が置かれるほか、利上げも見送られる可能性がある。経済財政諮問会議でも、日銀の利上げや国債買い入れに対し、同様の見解が示されるだろう。

今回の補正予算では赤字国債が検討される可能性があり、責任ある財政規律などの言葉の繰り返しや、国債発行額への配慮で信認を得るのは難しいと想定している。需給に働きかける物理的な処方箋を示すことにより、長期金利は3%手前で上昇が一​服するとみている。

◎世界的な金利上昇スパイ​ラル、3%も時間の問題

<関西みらい銀行 スト⁠ラテジスト 石田武氏>

10年金利に関しては、まず前提として、大事な節目だった2.5%を超えたところで次の明確な節目が無くなり、(金利の)上値がだいぶ軽くなってしまったということがある。

米国に関しても、先週出た消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)​が強く、金融政策の方向性として次は利下げではなく利上げかもしれないという雰囲気が本格化しつつある。​こうした動きを背景に、⁠米国をはじめ、世界的にも金利が上昇している。

金利が日本で上がって、欧州で上がって、米国で上がって、それを見てまた日本で上がる、という「金利上昇スパイラル」に入ってしまっているため、どこで止まるか(予想するのは)難しい。

片山さつき財務相はこの世界的な金利上昇について、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で議題になると⁠述べたが、即​効性のある具体的な対応策を出せるものではない。

当社では従来、26年度上期の10年金利の見通しレンジの上限を2.8%とし​ていたので、これは変更を迫られる。ここまできたら、3%は時間の問題でいつつけてもおかしくないと思っている。

3%についてはいったんは強い壁になるだろうが、その水準感だけで金利上昇が止まるかといえば​厳しい。イラン戦争が本格的に終了するとか、国内に関しては(消費)減税を諦めるとかが出てくれば流れも変わり得るが、小手先のことだけでは難しいだろう。


2026年5月19日のUSA TODAYの記事を読んで見ましょう。

US 30-year bond hits nearly 20-year high. What does it mean for you?


米国30年債利回りが約20年ぶりの高値を記録。これはあなたにとってどのような意味を持つのか?

イラン戦争に関連したインフレ懸念から債券価格が下落する中、5月19日、30年物米国債利回りは約5.2%まで上昇し、2007年以来の高水準となった。エコノミストらは、この利回り上昇が消費者に直接的な影響を与えることは限定的だが、長期投資家を高利回り債券へと向かわせ、株式市場や政府の借入コストに下押し圧力をかける可能性があると指摘している。

要点:

  • 2026年5月19日、30年物米国債の利回りは約5.2%に達し、2007年以来の最高値を記録した。
  • この価格上昇は、イラン戦争開始以来強まっているインフレ懸念が要因であり、エネルギーコストと輸送コストの上昇につながっている。
  • 債券利回りの上昇は債券価格の下落を意味し、トレーダーはあらゆる満期の債券を売却する動きを見せている。
  • グローバルデータの米国担当チーフエコノミスト、スティーブ・ブリッツ氏は、住宅ローン金利は10年債を基準としているため、30年債利回りの上昇は消費者に直接的な影響を与えないと述べた。
  • 住宅ローン金利は通常、10年物米国債利回りに基づいて設定される。これは、ほとんどの住宅ローンが6~7年間保有されるためである。一方、クレジットカードの金利は短期金利を用いる。

インフレ懸念が金融市場に広がる中、5月19日、30年物米国債の利回りは20年近くぶりの高水準を記録した。

30年債の利回りは約5.2%で、2007年以来の高水準となった。債券利回り(金利)は、価格が下落すると上昇し、価格が上昇すると上昇する。

トレーダーや投資家は、あらゆる期間の債券を売却している。なぜなら、経済全体で物価が上昇するにつれ、債券が提供する固定収入の価値が低下するからだ。イラン戦争の開始以来、インフレは急激に進み、エネルギーや輸送が必要な商品の価格を押し上げている。

グローバルデータ社の米国担当チーフエコノミスト、スティーブ・ブリッツ氏は、今回の大幅な金利上昇は消費者に直接的な影響はないと述べた。住宅ローン金利は10年債を基準に設定されているが、これはほとんどの住宅ローンが6~7年程度しか保有されないためだ。クレジットカードなどの類似商品は短期金利を使用している。

ブリッツ氏は、金利が高止まりすれば、年金基金のような長期投資家は、口座保有者のために高いリターンを確保しようと、30年債に資金を集中させ始めるだろうと予想している。しかし、それは資金を確保するために株式を売却することを意味すると、同氏は指摘した。

ここ数日間、米国株は金利上昇などの他の要因により圧力を受けている。借入コストの上昇は、株式市場を席巻する急成長企業の一部に重くのしかかっている。しかし、地方の公園管理区から米国財務省に至るまで、あらゆるレベルの政府もより多くの費用を負担しなければならず、その負担は納税者に転嫁されることになる。