S&P 500 ETFは、ウォーレン・バフェットも推薦していますし、とても人気のある銘柄ですが、経済各誌の見方を確認してみましょう。
プロ投資家の9割が市場に勝てない本当の理由:日経ビジネス
変動するマーケットに一喜一憂する。じっくり考えた投資計画を無視して、高値で買い、安値で売ってしまう。そんな経験をしたことはないだろうか。
機関投資家の伸長とビッグデータの活用などにより、個人投資家が勝ち続けることはますます難しくなっていると、米国資産運用界の理論的支柱の一人であるチャールズ・エリス氏は言う。
今回は、投資の世界で起きている劇的な変化について。資産運用の常識を変えた世界100万部のベストセラー『敗者のゲーム【原著第8版】』より、プロ投資家の9割が市場に勝てない本当の理由を、一部抜粋してお届けする。
●「投資機会」という夢に支払う代償
運用成績を示すデータは、運用機関の成績が期待外れであることを示している。実績を見る限り、ほとんどの投資信託、年金や財団などの機関投資家も市場に勝てていない。
市場平均を上回るような成績が時折見られることもあるが、長くは続かない。「市場平均を上回る」という目標に反して、プロの運用機関は、全体的に見ると市場に負けている。
ところで、人は気に入らない情報に出合うと、次のいずれかの反応を示すようだ。状況の変化を無視して信じていることを変えないか、あるいは、変化を受け入れて利用するかである。
多くの機関投資家と個人投資家は、現実味のない過去の市場で生まれた夢を捨てようとしない。「投資機会」というロマンチックな夢に支払う代償は大きい。
資産運用の世界では伝統的に、市場に勝てるという信念が支配的だった。しかし時代は変わり、今日この前提は、プロの運用機関にとってさえあてはまらない。楽観主義が許されなくなったのだ。
1年以上の成績を見ると、約7割の投資信託が市場平均を下回る。10年では8割、15年では9割が市場に負けている。
1年間では多くのファンドが市場に勝ち、10年間勝ち続けるファンドもある。しかし、長期的に見ると、ずっと市場に勝ち続けているファンドはない。
そして、どのファンドがこれから勝つのかも、誰にもわからない。
もし、市場平均を上回る運用成績を実現できるという前提が正しければ、なすべきことは単純明快だ。
第一に、市場全体の動きはS&P500株価指数のような指標で表すことができるので、アクティブ・マネジャーは、S&P500指数銘柄より収益性が高くなるように、まずポートフォリオを組み直すことだけを考える。
すなわち、個別銘柄の選び方や売買のタイミングを変え、業種の割合を手直しして、指数と異なるようにポートフォリオを組む。
第二に、アクティブ・マネジャーは「正しい」判断をしたいので、優秀なアナリストを集め、安く買える株や高値で売れる株を探し出すことに全力をあげる。
よりよい成績をあげるために最新のコンピュータを導入し、ただちに情報を処理し、優れた技術を持つ経験豊富な専門家を採用する。
「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」の決定的な違い
何十年も前ならこれらの方法は十分機能した。だが、機関投資家の大多数が市場平均以上の成績をあげられるという前提は、残念ながら正しくない。
なぜなら、機関投資家が市場そのものだから、機関投資家全体としては、自分自身に打ち勝つことはできないのだ。
機関投資家は、取引所の取引の99%を占める。運用機関の数が膨大で、能力も高く、顧客のために質の高いサービスを提供するからこそ、資産運用が敗者のゲームとなったのだ。
アクティブ運用の手数料などのコストや、大型取引による売買価格への影響などを差し引けば、運用機関の成績は今後も市場平均を下回るだろう。
個人投資家の運用成績の場合は、さらに悪い(デイトレーダーに至っては、もっとひどい。やめたほうがいい)。機関投資家の運用を「勝者のゲーム」から「敗者のゲーム」に変えたのだ。
証券運用の世界で根本的な変化が起きたからだ。
市場より高い成果をあげようと懸命に努力する機関投資家が多数現れ、市場を支配するようになった。この変化がすべての原因である。全員が同じ情報を共有し、巨大なコンピュータを駆使し、市場に勝とうとして全力をあげる。
今やアクティブな運用機関は、初めて市場に顔を出す金融機関やアマチュアと競争しているわけではない。彼らは他の優秀な専門家と「敗者のゲーム」を戦い、そこで勝ち残る秘訣は、相手より失点をできるだけ少なくすることなのだ。
プロのファンド・マネジャーがきわめて優秀であるからこそ、個々のマネジャーは彼らの総体である市場に勝つことができない、ということだ。
「世界最強の株式インデックス」S&P500が抱える決定的な弱点
2度のバブルが示す長期投資の教訓
PRESIDENT Online
30年にわたって上昇トレンドを続ける米国株。その米国株市場を代表する株式インデックス「S&P500」への投資が人気を集めている。だが、世界最強のS&P500への投資にも弱点がある」という――。
最強インデックスS&P500の弱点
1988年12月末を起点にリターンを比較すると、TOPIXが0.8倍だったのに対し、S&P500インデックスが13倍なりました(図表1)。この結果からも、長期投資において、どのインデックスに投資するかが非常に重要になるのです。
とはいえ、メジャーリーガー級の銘柄が組み込まれている世界最強のインデックスS&P500であっても、見過ごせないリスクがあります。今回は、サラリーマン投資家にぜひ知っておいてほしい、S&P500インデックスの弱点を紹介します。
最大の弱点は「バブルが起こる」こと
実はここにこそS&P500インデックスの最大の弱点があります。
即ち「バブルが起こる」ということなのです。ドットコムバブルの時も、リーマンショック前の不動産バブルの時も、利益の裏付けのない企業の株価が恐ろしいほどに高い評価を受けていたと考えられます。
例えば、ドットコムバブルのピークである2000年3月時点でS&P500インデックスに含まれていた500社のうち、2002年10月までに株価が8割以上下落した企業は66社、9割以上下落した企業も38社ありました(途中で上場廃止になるなどして、データが取れない約50社を除く)。
S&P500は20年、30年単位で保有すれば2倍、3倍になることも見込めるけれども、いったんバブルに巻き込まれてしまうと、暴落前に買ってしまった自分の持ち値、簿価を上回り、利益が出るまでに相当に長い時間がかかってしまいます。
事実として、ドットコムバブルの場合には実に12年もかかってしまったのです。
S&P500インデックスに投資するということは、個別企業の利益の裏付けというよりはむしろ、「米国上場企業のダイナミズム」であるとか「時価総額(株価)を上げることのできない会社は除外される」というS&P500インデックスの仕組みを信じて投資するということです。
積立投信は「米国・インデックス型」が結局いい訳
今年は金融引き締めが加速する見込みだが…
東洋経済オンライン 2022/03/28
なぜ「米国」は右肩上がりになるのか
「投資信託」は国内に数千も銘柄がありますが、積立投資信託で長期運用していく場合のオススメが「米国・インデックス型の投資信託」です。
まず、投資信託は「インデックス型」と「アクティブ型」の大きく2つのタイプに分けられます。
「インデックス型」は、株価指数などのベンチマーク(目安)と同じ値動きを目指す投資信託のことで、投資初心者にもわかりやすい値動きをする投資信託と言えます。
「アクティブ型」は、株価指数などを上回るパフォーマンスを目指す投資信託のことで、インデックス型に比べて信託報酬(手数料)が高く、市場平均を上回り、リターンが大きい場合もあれば、市場平均を下回ることもあります。
初心者であれば、やはりわかりやすい「インデックス型」がいいでしょう。そして、なぜ米国市場がオススメなのか、その理由がいくつかあるので解説していきたいと思います。
理由① 世界の覇権国
現在、世界の覇権国(経済的、政治的に抜きんでている国で、他国を支配、統制する)と言えばアメリカであり、今後も数十年はそうであろうと予測されます。
理由② 人口と人口構造と、世界最大の消費国
アメリカの人口は増えているだけでなく、その構造がポイントです。日本の人口は横ばいですが、ご存じのとおり高齢化社会です。高齢者の人口が増えています。一方、アメリカでは働き盛りの「消費する年代」の人口が多く、これからMAXを迎えます。ということは、今後さらに「消費」が増え、企業の業績がよくなり、株価が上がっていく……と予測できるのです。
理由③ 金融政策と財政政策の「両輪」が株価の側面で優れている
株価に関して言えば、アメリカは優れた政治を行っています。景気をよくするためには、金融政策で市場にお金を投入しますが、お金を借りたい人がいなければ銀行にとどまったままで意味がありません。政府は、財政投資を行って消費や投資を促し、個人や法人にお金を借りたいと思わせる必要があるのです。その点、アメリカは新型コロナウイルスで景気が落ち込んだときもすかさず補助金を出すなど、お金を投入しながら消費を促す政治をしています。アメリカは金融政策と財政政策、2軸ともいいのです。
理由④ 世界最大のIT企業国
Google、Apple、Facebook、Amazon……。私たちがふだん当たり前に使っている便利なサービスやIT系製品は、アメリカの企業によるものが多いですね。IT企業の力が世界一なのは間違いありません。今後もアメリカの企業から新しいサービスが生まれていくでしょう。
理由⑤ さまざまな分野で世界一
メジャーリーグ、ハリウッド映画など、アメリカはさまざまな分野で世界一です。お金が集まりやすく、こういったところに参入している企業の株価は上がります。
長期的に考えた場合、米国市場はやはり順当な選択
ただし、2022年から、金融引き締め・利上げといった金融政策・財政政策が開始され、戦争や災害など、地政学的リスクその影響もあって、米国株も今年以降はしばらく乱高下すると思います。
また、今後のさまざまな方針によっては都度の判断が必要になる、ということもありますが、長期的に考えた場合には、米国市場はやはり順当な選択となるでしょう。
魅力的な投資信託を探すうえで、理解しておきたいのが「市場の特徴」です。次のグラフは、「ナスダック100」「NYダウ」「S&P500」「日経225」を1985年1月1日から比較したものです。
Google、Apple、Facebook、Amazon、マイクロソフトなどナスダック(世界最大の新興企業向け証券取引所)市場に上場している代表的な100銘柄で構成されるものが「ナスダック100」です。さらに、テスラ、コカ・コーラ、ズームなど米国を代表する500社で銘柄も定期的に見直され、入れ替わる特徴のある「S&P500」。
「米国のインデックス型投資信託」の場合、最初から、これだけの企業に分散投資できるのがすごいところです。
ナスダック100のインデックスを使った投資信託なら、ナスダック100の市場全体に投資できるというようなもの。さすがのナスダック上場企業とはいえ、「その1社」が暴落することはありえますが、「100社」ともなると、堅実にリスクが分散されるのがおわかりでしょう。
インデックスの中でも、グラフを見ると、残念ながら日経225は1985年からまったく伸びていません。NYダウとS&P500は似た動きをしながら安定的に伸びています。飛びぬけて伸びているのがナスダック100です。当然、ナスダック100やS&P500の値動きをベンチマークして運用するタイプの投資信託は、安定して利益を積み上げていきます。
実際に、長期で積み立てている人には、安定的に伸びているS&P500はとても人気があるようです。多くの人気投資信託ランキングを見ても、上位にはS&P500やナスダック100をベンチマークしている投資商品が多いです。さまざまな会社が、S&P500やナスダック100に関する投資信託商品を持っていますが、「手数料の違い」などによって人気に差が出ているので、よく確認をするようにしてください。