今日のグラフ:良いスタート、悪いスタート
スタートの違いによる2つのパターン
次の二つのグラフは、横軸が時間、縦軸が価格で、ある時点で購入したETFの価格推移を表していると思ってください。また、点線は、期待されるリターンです。この二つは似ているようですが、スタートが違っています。第1パターン(最初のグラフ)は、スタート時点の相場が良いので、いきなり運用益が発生しています。そしてその後もずっと元本を割らずに価格が上がっています。
第1パターン
そして次のグラフ(第2パターン)は、スタート時点で相場が悪くなったため、しばらく元本割れしています。
第2パターン
初めて買ったETFの成行としてどちらが良いのでしょうか。
一度も元本割れせず
第1パターンは、多少の上下動はあるものの、一度も元本割れせずに、価格が上昇しているのですから申し分ないと思います。
耐性、胆力の付くパターン
第2パターンは、最初に出遅れていますが、そこを乗り越えればその後は元本割れせずに上昇しています。特に最初に元本割れした時点で、損切りしたいと思うかもしれません。そして、もっと下がってから買い直せばよいのではないか、と思うかもしれません。しかし、その時、損切りせずに持ち続ければ、結局運用益を手にできることでしょう。そして、価格が上昇しただけでなく、価格下落に対する耐性という財産を得ることができました。耐性は胆力とも言います。
第2パターンでも元本を回復
どちらがいいとも言えませんが、私の連れ合いの経験したのは第2パターンでした。元本を回復するのに6年かかりました。特に最初の2,3年は上記のような損切りして、買い戻すかどうかという議論を何度も時間をかけてしました。現在は運用益が発生しています。運用益は高級車1台と大衆車1台の合計2台分になります。それだけでなく、胆力も身につけることができました。ETFを買ってほったらかしておく。これだ最も良い方法ではないかと思います。この、「ほったらかしておく」というのは、決して無責任になるというのではなく、いたずらに手をかけないという意味です。
フィデリティ証券の調査
フィデリティ証券の調査によると、同社の口座開設者のうち最高利益を上げたのは自分のポートフォリオをすっかり忘れている人だった、とのことです。つまり、Buy and Hold どころか、Buy and Forgetが良いということです。
損切りして、さらに下がった時に、買い戻すことができるとしたら、それはある意味でアクティブ運用が成功したということになります。ところが、あくでぃぶ運用がインデックス運用よりいい成績を残すことは難しいということが、現在では常識になっています。しかも、小口の売買で高い販売手数料を負担しなければならない個人運用の場合は、なおさらアクティブ運用で良い成績を収めるのは難しいと思います。
今日のテーマ:利益確定、損切り、売り時などの言葉はETFやインデックスファンドでは不要
株の世界でよく聞く言葉に、利益確定、損切り、売り時、やれやれ売りなどの言葉があります。これらは売る時の言葉ですが、個別株式に関する言葉であって、私のようにETF・インデックスファンドを長期で保有する人間にとっては不要な言葉だと思っています。
Buy and Hold
私の基本方針は、Buy and Holdですから、買うだけで売るという行為がありません。従って、利益確定などといったことを考えません。もし仮に利益確定をしたとしても、すぐに同じ銘柄を買い戻すことが一番いい方法だと思っているのです。それだったら、余計な販売手数料を往復で2%も払って買い戻す必要はありません。
利益確定しないことによって大きな利益
昨日、あるエコノミストが、「2017年の相場は、日本もアメリカもすごかったですね。ずっと売らずに持ち続けていれば、たいした利益になりましたね。」と言っていました。私は、ETFの価格が上がったからという理由で売ることは有りません。日々の生活に必要な時には、価格が高くても、あるいは安くても、必要な分だけ売ります。含み益が出ても、「売らなければ、ただの含み益だ。」と言う人が結構います。それは、株式の相場が上がってもいずれはサガるという前提に立っての話です。1年2年の短期で見ればそれは成り立ちます。しかし、10年、20年という長期で見た場合には、成り立たないというのが、アメリカの株式の歴史でした。それは、「ETF・インデックスファンドを買いたくなるグラフ」を見ていただければわかります。含み益を実現して現金にする必要があれば売ればいいですが、私は近い将来、かなり大規模なインフレになると思っていますので、現金化すると、その現金をリスクにさらすことになると思っています。
インフレが来なくても利益確定しない方法が有効
このような考え方は、実は近い将来、インフレがこなくても有効だと思っています。1990年代、2000年代、日本はデフレで苦しみました。その間、米国の最大のETFであるSPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)は年率8%以上の利回りで価格が上昇しました。そして、その勢いが、突然なくなるとは考えにくいのです。従って、今後とも、SPYなど世界のETFを中心に利益確定せずに資産運用していこうと考えています。