退職者から現役へのアドバイス

若いころはあっという間に過ぎ去る

若いころは一所懸命に仕事をし、子育てに夢中で、家を買うことが夢でした。しかし、その時間はあっという間に過ぎ、いつの間にかリタイアの年齢に達します。「若いころには年金の心配なんかせずに働いていれば良い」、といわれたこともありましたが、自分が十分な年金を受け取れるかどうかは、時々チェックした方が良いでしょう。

アメリカの退職者のアドバイスが、2022年6月28日のUSA Todayの記事に載っていますので、勉強しましょう。以下は拙訳です。

後悔先に立たず:実際の退職者が語る、退職後のベストアドバイス

退職後の準備をする際、最良のアドバイスは、すでに退職した人たちから得られるかもしれません。

独立系の雇用者ベネフィット研究所(EBRI)が行った新しい研究「退職者の振り返り」(PDF)では、退職者が過去のお金に関する決断や、インフレなどの現在のお金の心配事について研究結果を発表しています。例えば、調査対象となった退職者の3分の2以上(70%)は、退職のためにもっと早くから貯蓄を始めておけばよかったと後悔しています。

これらの研究は、退職後の生活設計を改善し、高齢期における経済的ストレスを軽減するために活用できるかもしれません。

実体験に基づく3つの退職計画行動をご覧ください。

1. 貯蓄と投資を増やす

結果を出すためには時間が重要であり、それを示すシンプルな投資ルールがあります。「72の法則」と呼ばれるもので、投資した資金がいつ2倍になるかを推定する公式です。72を、予想される成長率で割るだけです。72を予想成長率で割ると、その答えが2倍になるタイミングです。

インフレ率を考慮すると、年率7%が妥当な成長率で、これは株式市場の長期平均と一致しています。このレートでは、資金はおよそ10年ごとに2倍になります。つまり、今日投資した5万ドルは、10年後には10万ドル、20年後には20万ドル、40年後には80万ドルになるのです。

ここからが本題です。今日投資したお金は、40年後には16倍になる可能性があります。逆に、投資を10年先延ばしにすると、40年後の成長の可能性が半分になります。

2. 経済的な目標を設定する

退職後の経済的な目標を設定し、資金計画を文書化していると答えた退職者は、調査対象の42%にすぎませんでした。しかし、退職者は経済的な目標を達成することに自信を持つべきです。この点に自信があれば、インフレの高まりや緊急時の出費、その他の予期せぬ事態に迅速に対応することができます。

なぜ、現役のうちに自信をつけておかないのでしょうか。貯蓄計画を達成できると分かっていれば、その後の人生において有益です。また、希望する退職後のライフスタイルを実現するための重要な要素でもあります。

まずは、退職までに年収の20倍の貯蓄をするなど、大きな長期目標から始めてみてはいかがでしょうか。同時に、より短い期間で、1つか2つの小さな貢献目標を追求することもできます。例えば、以下のようなものです。

– 家の購入
– 予算を立て、それに従う
– 6ヶ月分の生活費を貯める
– 投資家としてのスキルを磨く
– 高金利の借金を返済する

現役時代にこれらの目標を達成することを学べば、退職後の資金管理も楽になるはずです。

3. インフレに備える

調査に参加した退職者の半数以上(54%)が、経済的な最大の懸念事項としてインフレを挙げています。

将来のインフレに対応するためには、値上がりする資産と、上昇する収入源からなるポートフォリオを、構築することが有効です。

上昇する資産:人気の高い資産には、株式や収入をもたらす不動産があります。株式は、インフレの時期に下落することがありますが、長期的にはインフレを上回ります。
不動産については、家賃も不動産価値もインフレとともに上昇する傾向があります。さらに、固定金利の住宅ローンを利用すれば、インフレや家賃収入に関係なく、固定金利のまま投資用不動産を購入することができます。

今後、さらにインフレが進みます: 住宅保険や自動車保険が大幅に値上がりする見込みです。

上昇する収入源:プレミアム配当株は、退職後に必要となる収入を増加させることができます。配当貴族株は人気のある選択肢です。これらは、少なくとも25年連続で毎年配当金を増やしているS&P500企業です。
配当が永遠に保証されるわけではありませんが、配当貴族は信頼性が高いと言えます。これらの企業は、配当金支払いに対して長い間、確実に取り組んできました。

調査対象者

EBRIの退職者による振り返り調査は、2022年春に55歳から80歳の米国退職者1,109人を対象に行われました。回答者全員が5万ドル以上の金融資産を持っていました。

望むリタイアメントを実現するために

既に退職した者の視点を利用して、高齢期によくある金銭面の後悔や、ストレス要因を回避してください。積極的な貯蓄と投資、財務目標の設定、インフレへの備えは、希望するリタイアメントを実現するための努力につながる賢い行動です。