収益と株価の見通し

S&P500企業業績推移

アメリカ企業の四半期ごと収益予想を、マネックス証券がブルームバーグのデータをもとに作成したので、確認しましょう。

一番左が2019年の第4四半期です。その右隣が2020年の第1四半期、一番右が2021年第1四半期です。

1Q/2020 2Q/2020 3Q/2020 4Q/2020 1Q/2021

縦軸の目盛りは以下の通りです。

  • 13.00%
  • 8.00%
  • 3.00%
  • ―2.00%
  • ―7.00%
  • ―12.00%

それぞれの塊に、青、橙、グレー、黄、水色の棒グラフがあります。それぞれは次の時点の予想で、各時点のリビジョン、つまり、修正が分かります。

  • 青   : 1月18日時点
  • 橙   : 2月8日時点
  • グレー : 3月7日時点
  • 黄   : 3月21日時点
  • 水色  : 3月27日時点

2020年第1四半期

左から2番目の2020年第1四半期は、当初+2.7%でしたが、最新の3月27日の見通しではー5.7%ですから減益になっています。第2四半期はもともと+5.4%だったのが、-10%に下がりました。

2020年第2四半期

最新の3月27日時点では下方修正されていますが、十分ではないと考えられます。第1四半期は終わりましたが、第2四半期以降は今後の各企業のガイダンスによって修正されます。

2020年第3四半期

第3四半期はもともと+9%の増益だったのが-0.6%、第4四半期は+14%だったのが+6%に下がっています。2021年第1四半期は+11%が+15%に上方修正されています。

収益のボトム

この傾向では、第2四半期に収益がボトムをつけて、その後収益が回復すると考えられれば、株価も回復するかもしれません。

2020年第4四半期

2020年第4四半期は10月~12月ですが、この頃にはまだワクチンが製造途中で一般の人が利用できる状況まで至っていないでしょう。世界中にワクチンが行き渡るのは2021年いっぱいかかるとすると、オリンピックは開催できず、海外旅行・海外出張もままならないかもしれません。それでも収益や株価だけは上がって行くのでしょう。

社会の回復は3年後

社会がもとの状態に戻るまで何年かかるのでしょうか。株式相場はもう少し早いでしょうが、社会の回復には3年が必要ではないかと考えています。その主の理由は、集団免疫とワクチンと飲食、観光、旅行、エンターテインメントなどです。

このグラフは1世紀前のスペイン風邪による日本の死者数のグラフです。

三つのピーク

1918年11月に最大のピークがあり、1年後の1920年1月に第2のピークがあります。さらに1921年の春にも小さな山があります。今回は世界的に都市封鎖や強力な自粛を行っているので、第1のピークが低く抑えられているといると思われます。また、スペイン風邪は冬の間だけ流行して夏はおさまりましたが、新型コロナウイルスは気温が28度以上でないと弱まらないという見方もあります。そうすると夏の間も少しずつ流行し、免疫も少しずつできてきます。その結果、2回のピークは低くなるとともに、谷も浅くなるのではないでしょうか。そして、最後に3回目のかなり低い山ができて、世界的な集団免疫が完成するのではないかと思います。ただし、このウイルスが世界に蔓延する間に突然変異を起こせば、更に別の山が発生する恐れもあります。既に、新型コロナウイルスは、S型から突然変異したL型が感染率、致死率ともに高いと言われています。山は低く谷は浅いとなると、山がなくなり平地になるには3年間が必要と思われます。

ワクチンは18か月必要

ワクチンが本格的に生産されるまでには18か月を要するとされています。その後、世界中の人にそのワクチンが接種されるには、さらに1年以上かかるとすると、やはり合計で3年は最低でも必要ではないかと思います。

開発中ワクチン

なお、現在開発中のワクチンには、ジョンソン&ジョンソン、アメリカのバイオ企業モデルナ、大阪大学のバイオベンチャーのアンジェス、米イノビオ・ファーマシューティカルズ、英グラクソ・スミスクライン(GSK)、米ファイザー、仏サノフィなどがあります。

治療薬

治療薬としてはインフルエンザ治療薬の「アビガン」、アタマジラミ症などの寄生虫感染症の治療薬「イベルメクチン」も期待されているようです。

アビガン

「アビガン」は、富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学の薬で、重篤ではない肺炎を合併したCOVID-19の患者を対象としており、症状の軽い患者に有効のようです。

イベルメクチン

「イベルメクチン」は、2015年にノーベル生理学医学賞を受賞した大村 智博士の開発した薬です。

海外の産業

私と連れ合いは、国内で外食はほとんどせず、コロナ騒動で影響はありませんが、外国に旅行して観光、エンターテインメントを愉しんでいますので、その地域・分野の人たちには打撃を与えていると思います。

観光地で働く出稼ぎ

最近もモルディブに1週間旅行して、シュノーケリングなどを愉しんできました。そこで働いている従業員はほとんど若い男ですが、彼らは他の島から出稼ぎに来て、年に1回だけ地元に里帰りするそうです。ヨーロッパからのお客さんが多いのですが、おそらく大打撃を受けているのではないかと思います。モルディブ共和国は、コロナショック以前でも赤字国債を発行して何とか凌いでいる貧しい国ですから、コロナショックは厳しいと思います。

カリブの貧しい国

また、私たちは毎年カリブ海クルーズを1週間愉しみますが、そのエンターテインメントを企画する会社、クルーズ船を運航する会社、クルーズ船で働く数千人の従業員、エンターテイナーなどがつらく不安な日々を過ごしているでしょう。また、お客は平均年齢70歳代ですから、この騒動が長引くと、人生終盤の楽しみを奪われることになってしまいます。

親戚の人たちも影響を受ける

私の身の回りでも、整体師をしている親戚、航空会社に勤めている親戚、高校3年生になったけど東京の高校に通えない人など、大打撃を受けています。