野村證券のETFとSBI証券のインデックスファンドとの比較

野村證券のETFとSBI証券のインデックスファンドは、どちらが良いか。

野村證券はもちろん、日本最大の証券会社ですし、SBI証券はネット証券では最大で、野村証券に迫りつつある勢力です。

私たち個人投資家は、どちらのどの商品を利用すればよいのでしょうか?

結論から言えば、若い年齢層と中高齢層で違います。

若い人は圧倒的にSBI証券

若い年齢層の人は、圧倒的にSBI証券を利用すべきです。その理由は、以下の通りです。

① 低コスト商品の品ぞろえが充実している。

個人投資家に人気のある、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は、野村證券では取り扱っていません。また、野村證券で扱っているインデックスファンドは信託報酬が高いので、選ぶべきではありません。

② 売買手数料、為替手数料が安い。

上記①のインデックスファンドは売買手数料がかからないのですが、それ以外のETFや個別株式の売買手数料は圧倒的にSBI証券が安い状況です。また、外国のETFや、米国債等を買う場合には為替手数料を支払わなければなりませんが、これもSBI証券の方が安くなっています。

③ 個人投資家にとって不利な営業を仕掛けられない。

野村證券には個人投資家が近づいてはいけない、アクティブファンドやラップ口座などの商品を勧められることがあります。これらについては、コストが高いので個人投資家は利用すべきではありません。私の場合には、株式ETFしか関心がないことが分かっているようで、営業を受けることはありません。しかし、あまり知識経験のない若い人たちは、このような営業に乗ってしまうかもしれません。その点において、ネット証券はそのような営業を仕掛けられないので、比較的安全です。ただし、SBI証券にもラップ口座自体はありますので、自ら引っ掛かりに行かないようにする注意は必要です。

数値比較

以上、コスト的には、野村證券よりSBI証券の方が有利だといいましたが、どれほどの差なのでしょうか。代表的な銘柄で比較しましょう。次の表の2銘柄は両方とも、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざしています。

ご購入時手数料 ◆信託財産留保額(ご換金時) ◆運用管理費用(信託報酬) 純資産総額
<購入・換金手数料なし> ニッセイ外国株式インデックスファンド 0 0 0.09% 2,400億円
野村インデックスファンド・外国株式 1.0% 0 0.55% 190億円

両銘柄には大きなコスト差がついています。若い人は、今後10年、20年、30年にわたって、運用管理費用(信託報酬)を支払い続けることになるのですから、わずかなコストの差に敏感でなければなりません。このように大きなコスト差がある結果、純資産総額でも10倍以上の開きがあります。

中高年は人によって異なる

ところで、若い年齢層にとっては、圧倒的にSBI証券を利用した方が良いのですが、中高齢層にとってはどうなのでしょうか。

野村證券でも10年間で資産を2倍以上に増加

実は、商品の選択によっては、若い人ほど大きな差が出にくい場合があります。現実に私は、野村證券で資産運用して、10年間で資産を2倍以上に増やしていますが、もし、SBI証券を利用しても、あまり大きな差が生じない可能性があります。

私は1306、VOOなどのETFを中心に運用しています。それを低コストインデックスファンドのコストと比較します。

1306 1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))
VT VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)
VOO VOO(バンガードS&P500ETFVOO:US )
ニッセイ <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」
Slim全世界 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

私の運用方針は、バイ・アンド・ホールドBuy and Hold、つまり「買いっぱなし」で売ることがなく、10年以上はそのままにします。購入手数料や為替手数料はかかりますが、購入時と売却時にだけかかるので、時が経つにつれ各年の負担するコストは小さくなります。

10年保有ならSBI証券が有利

100万円を10年保有する場合、総コストは、3万円台と1万円なので、野村証券のETFよりもSBI証券の低コストインデックスファンドが有利です。

購入手数料 為替手数料 売却手数料 為替手数料 年間信託報酬 10年間信託報酬 総コスト
1306 12,188 0 12,188 0 620 6,200 30,576
VT 10,450 5,000 10,450 5,000 800 8,000 38,900
VOO 10,450 5,000 10,450 5,000 300 3,000 33,900
ニッセイ 0 0 0 0 930 9,300 9,300
Slim全世界 0 0 0 0 1,040 10,400 10,400

50年保有なら差はない

しかし、私は10年前から投資をはじめ、平均余命が20年ありそうですから、合計30年間保有することになるかもしれません。その場合の総コストは、野村証券のETFが4~5万円、SBI証券のインデックスファンドが3万円程度ですから、差は縮まってきました。40年、50年経つと、差はほとんどなくなります。しかも、私の場合、もともと野村証券に外貨MMFを保有していたので、為替手数料の5,000円はかかっていません。

購入手数料 為替手数料 売却手数料 為替手数料 年間信託報酬 30年間信託報酬 総コスト
1306 12,188 0 12,188 0 620 18,600 42,976
VT 10,450 5,000 10,450 5,000 800 24,000 54,900
VOO 10,450 5,000 10,450 5,000 300 9,000 39,900
ニッセイ 0 0 0 0 930 27,900 27,900
Slim全世界 0 0 0 0 1,040 31,200 31,200

SBIより野村の方が安心

私の連れ合いは、野村證券に対しては信頼感があるものの、ネット証券には不安が残っていて、野村證券で取引を続けたいと言っています。

日本人の多くは、日本国籍のインデックスファンドを信頼しているかもしれませんが、私は日本よりアメリカ国籍のファンドの方を信頼しています。日本政府は過去200年間で、2回のハイパーインフレを意図的に起こしていますが、アメリカ政府はしていません。アメリカ国籍のETFなら、日本政府も手を出せないでしょうから、本当は、アメリカ国籍のETFを日本の証券会社を通さずに保有したいのですが、現在はそこまではしていません。

一方コストの安いSBIを利用するために、野村証券からSBI証券に資金を移換することに不安がありますので、このまま野村證券で資産運用を続けていくつもりです。

若い世代にはSBI証券の<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

一方、私の子供たちは、これから60年利用することになるので、SBI証券に口座を開設し、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドを利用するように勧めました。

一言でいうと、若い人はSBI証券、中高年齢層は、ETFを中心にして野村證券、SBI証券のどちらでもよい