自分の資産運用は何点か? 3

<昨日の続き>

自分の資産運用方法が良いのか悪いのか?
点数をつけると何点になるのか?

この疑問に対して私の考えを書きます。

Ⅰ.まとまったお金のある中高年

⑥ SBI、楽天等のネット証券で低コストインデックスファンドを保有する:95~100点

ネット証券のハードルが低い人

インターネットに苦手意識がない人は、必ずしも若くなくても、SBI、楽天などのネット証券を利用するのが良いと思います。その理由は、以下の通りです。

  • 手数料が安い
  • 品ぞろえが豊富
  • 証券会社からの電話営業などがない

しかし、これは必ずしもメリットにならないことがあります。

頻繁に売買すると無駄が多い

購買手数料が安いと、売買を頻繁に行う恐れがあります。株式投資で一番大事なのは、買うことと保有すること、つまり、バイ・アンド・ホールドBuy and Hold、です。もし利益確定しようと売ってしまったとしても、次に買いたい銘柄が出てこなければ、現金で持ち続けることになります。それよりも、保有し続けて配当金、分配金を受け取った方が良いかも知れません。ウォーレン・バフェットも、ある程度の現金を持っていることもあって、S&P500にパフォーマンスで負けています。株価が上下に大きく変動するときには、手持ち資金を随時投入して機動的な売買が可能ですが、現在のようにほぼ一本調子で上がっているときには、現金で持つよりETFで持っていた方が有利です。売買手数料が安いことが結果的に良くないこともあるのです。

品揃えの豊富さより、必要な銘柄があるかどうかが大事

品ぞろえが多い方が良いかどうかは、場合によります。例えば、野村証券は次の銘柄を持っています。

  • 世界最大のETFである、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)
  • 日本最大のETFである、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))
  • ウォーレン・バフェットの推奨するVOO(アメリカ・バンガード社のS&P500のETF)
  • 世界の株式市場に分散投資するVT
  • 信託報酬が0.2%以下のつみたてNISA、イデコの専用銘柄

ネット証券に比べて品ぞろえが多くないとは言っても、これだけあると、ほぼ満足で、新たにSBI証券に口座を開くメリットが見つかりません。

しつこい営業があっても断ればよい

ネット証券会社からは電話営業がないという話もありますが、野村證券からは、時々パンフレットを送ってきますが、ほとんど電話営業はありません。もしかかって来ても、断ればいいだけのことです。

中高年にとってネット証券のメリットはなさそう?

こうしてみると、まとまったお金を持っている中高年層には、ネット証券のメリットはあまりなさそうです。ネット証券に口座を開いて低コストインデックスファンドをかうよりは、既に口座を持っている野村証券の店頭に行って、ETFを買ってしまった方が、時間のロスなく投資できます。お金を1か月遊ばせておくと、すぐに1%の機会損失が発生します。

⑦ 個人年金保険、ファンドラップ、外貨預金等:0点

銀行預金以下の商品

二日前に、「① 全額を銀行に預金する」を10点としましたが、実は、もっと点数の低い商品があります。それは、個人年金保険、ファンドラップ、外貨預金、宝くじ、高コストのアクティブファンド等です。これらの商品は会社によって名称が違いますが、いずれもコストが高いか、ブラックボックスの中にあるのでコスト不明の商品です。いくつか例示してみましょう。

  • 宝くじ:還元率は47%ですから、低コストインデックスファンドの106%に比べると、話にならないくらいひどい商品です。それほどギャンブルが好きなら、還元率70%を超えている競馬を当てずっぽうで馬券を買った方がまだましです。
  • 高コストのアクティブファンド:M銀行の投資信託買い付けランキングの第1位商品のコストは、購入時手数料 3.3%(税抜3.0%)、運用管理費用(信託報酬)1.848%(税抜1.68%)ですからびっくりしてしまいます。
  • ファンドラップ:1,000万円以下の部分については、1.540%です。ウォーレンバフェットは、自分の相続財産の運用方法を、VOOで90%、米国短期債で10%とすることを勧めています。現在の投資は、株式ETFという素晴らしい商品が誕生してから、誰でも簡単に分散投資を行えるようになったのです。それなのに1.540%も費用をかける必要は全くないでしょう。
  • 外貨預金:SBI証券の為替手数料は米ドルの場合0.25円ですが、M銀行(Megabankは3社ともM銀行です)は2円ですから8倍です。大手銀行の店頭に行くと外貨預金のポスターが貼ってありますが、大手銀行はこの手数料によって儲けようとしています。世界的に超低金利の時代が続く中、外貨預金で儲かるのは銀行だけです。私の知り合いは高金利をうたっていたトルコリラの外貨預金をして、円高・トルコリラ安で、金利をはるかに上回る損失をこうむりました。
  • 個人年金保険:上に挙げた商品はまだ手数料が分かっているので、透明性が高いのですが、銀行が特に力を入れている個人年金保険は、コストがブラックボックスの中にあるので、最も不透明性が高く、危険な商品かもしれません。保険ですから、人により高い保険料を受け取れる人もいる場合がありますが、全体としては顧客が損をすると言って構わないと思います。銀行は、良い立地で、優秀かつ高給の銀行員が、時間をかけて訓練され、立派なパンフレットを作り、熱心に店頭及び電話で営業するのですから、それに見合った利益を得る必要があります。その利益は、顧客から搾り取るわけですから、こういう商品には近づかない方が良いのです。私の知り合いから、この商品の評価について問われたことがありましたが、答えは明らかです。

コストの高い商品、コストの分からない商品には近づかないのが一番です。

まとまった余裕資金のある中高年は、株式ETFや低コストインデックスファンドが最も良いと思い、自分で買い、家族にも勧めています。