確定拠出年金の推移 2021年3月

元金600万円が約1,700万円に増加

確定拠出年金評価額が急増しています。今年に入ってからの3か月間は毎月50~60万円ずつ増加しています。この確定拠出年金はイデコではなく、2002年当時、私が勤めていた会社が確定拠出年金制度を導入し、その会社を退職後、新規の拠出はできず、2018年に運営管理機関をみずほ銀行から野村證券に移し、現在は資産の運用だけを行っています。元金600万円が現在は約1,700万円になりました。

確定拠出年金の運用に当たって、悪い例を挙げます。

① 掛け金を少なくする

選択制の企業型確定拠出年金の制度を導入している会社の場合、会社側が掛金を拠出する企業型確定拠出年金と異なり、社員の給与の一部を掛金として拠出する形になります。自分で運用するとなると、不安に感じる人もいるかもしれませんが、掛け金をできるだけ多くすることによって所得税を減らすことができます。例えば、毎月55,000円を給料でもらえば、そこに所得税がかかりますが、確定拠出年金にすればかかりません。掛け金総額は年間で66万円になり、所得税が2割だとすると12万円も税金を減らすことができます。最高限度額の55,000円をかけても生活のできる人は、最優先でこの制度を利用すべきです。

② 銀行預金、元本保証の保険で運用する

過去の実績から見て、外国株式インデックスファンドの運用実績が良いことは今後も期待できそうですから、基本的にこのファンドを利用すべきです。一番悪い運用方法は銀行預金と元本保証の保険です。外国株式インデックスファンドで運用すれば、20年後、30年後に資産が2倍、4倍になることを期待できますが、銀行預金や元本保証の保険では、利子がほとんどつきません。私は、約20年で2.86倍になりましたが、銀行預金では1倍のままです。

GPIF年金積立金管理運用独立行政法人)の期待リターン(名目リターン)

  • 短期金利:0.6%
  • 国内債券:0.7%
  • 外国債券:2.6%
  • 国内株式:5.6%
  • 外国株式:7.2%

個人投資家の強みは長期投資

GPIFは、世界最大の年金基金で、その2020年12月末時点の運用資産額は177兆7030億円です。外国株式の期待リターンがほかの資産よりも高くなっていますが、この水準は過去の実績に基づく妥当なものであると考えられます。リーマン・ショック、新型コロナ・ショックなどで一時的にリターンが減少することはありますが、特に個人投資家のように10年、20年単位で運用する場合には、この7.2%という水準は、信頼できると考えています。一方で、もし、1年後に7.2%が実現できるかと問われれば、5分5分くらいではないかと思います。つまり、個人投資家の強みは10年、20年という長期投資ができるということです。

バランス型も避けるべき

このように外国株式に投資するのが有利ですから、他の資産が入り込んだバランス型を避けるべきです。GPIFは数年という短期で運用実績を確保する必要がありますが、私たち個人は、自分のお金を運用するので、短期的に実績が悪くても構わないのです。長期で良い実績を上げるためには、外国株式に全額を投資すべきです。私は2002年に確定拠出年金の運用を始めた時から全額を外国株式インデックスファンドに投資しました。6年後にリーマンショックに遭遇して、資産評価額が3分の2まで減りましたが、現在は2.86倍になりました。1~2の短期や5~6年の中期ではなく、10年、20年、30年の長期で運用するべきです。

③ 老後資金をこの確定拠出年金だけで考える

老後資金は確定拠出年金だけでなく、厚生年金などがありますから、全体の中でこの確定拠出年金をどう位置づけるかを考えるべきです。厚生年金はほぼ元本確保型の年金で、生活資金の主要部分を賄うことになります。その上、確定拠出年金まで債券や銀行預金などにするのは、堅すぎるのではないでしょうか。リスクを取らなければリターンを得ることはできないとよく言われますが、確定拠出年金については、多少のリスクを取るべきだと思います。このリスクというのは標準偏差のことで、20年、30年という長期を取れば、分配金部分が比較的安定してリスクはかなり小さくなります。

最後に、現在運用している商品の確認をします。「⇒」 は私のコメントです。

野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI

主な投資対象:「外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド」受益証券を主要投資対象とします
・ベンチマーク: MSCI-KOKUSAI指数(円ベース・為替ヘッジなし)
・目標とする運用成果: MSCI-KOKUSAI指数(円ベース・為替ヘッジなし)の中長期的な動きを概ね捉える投資成果を目指します

  • 基準価額   22,697円
  • 純資産総額  1,002.2億円
  • 設定日    2007年9月27日

青い折れ線がベンチマーク、赤が設定来基準価額、下の方の紫の棒グラフが純資産額(億円)右軸 ⇒ ベンチマークが22,697で、ベンチマークが約25,000ですから、大きく乖離しています。2007年9月26日を10,000として指数化していますので、2008のリーマンショックで半分になり、その後アメリカなどの株価は徐々に持ち直しましたが、2011年は円高で、指数が5000に下がりました。

当ファンドとベンチマークとの差は少しずつ開いています。

ファンド収益率(分配金再投資) ベンチマーク収益率
1年間 56.81% 56.90%
3年間 15.18% 15.49%
5年間 13.40% 13.71%
10年間 13.58% 13.93%
設定月末来 7.07% 7.52%