運用益は先月よりわずかに減少しました。少し、と言っても5百万円ですから、かなりの金額です。
毎月の評価益は、SUUMOで都心の新築マンションの価格を調べて、相当額を記載しているのですが、昨年は1億円以上の物件が100件未満だったのに対し、今回は191件でした。急激に東京のマンション価格が上昇しています。
円安によって外国からの不動産投資が増え、日本だけが低金利を続け、個人も投資目的・値上がり狙いで購入する傾向になり、新築マンションは高額物件だけが建築されているようです。
これからは日本でも金利上昇が見込まれる中で、今から家を購入する人はどうすれば良いのでしょうか。
NHKのクローズアップ現代2023年9月25日(月)の【住宅ローンに“異変”!? 徹底分析「金利引き上げ」の行方】を見てみましょう。
いま住宅ローンに“異変”が…。「固定金利」を引き上げる動きが、じわじわと拡大し始めているのです。背景には、日銀が金融政策の運用を柔軟化し、金利の一段の上昇を容認したことがあります。日本はこれまでの“超低金利時代”から、“金利のある時代”へと転換するのか?そして気になる「変動金利」の行方は?大手銀行、低金利競争を主導するネット銀行、そして地方銀行は、金利をどう見通しているのか。最新情報と共に徹底分析。
どうなる住宅ローン 金利引き上げの行方
住宅ローンを利用する際には、固定金利と変動金利、2つの金利を選べます
固定金利は住宅ローンを組んだ時のまま金利が固定され、期間が終了するまで変わりません。一方の変動金利は半年に一度など、一定期間ごとに金利が見直されます。
この2つの金利の推移を見てみますと、固定金利が、この2年でじわじわと上昇を続けています。なぜ今、上がっているのか。そして低い水準を維持する変動金利は今後どうなっていくのか。さらに、金利がある時代とどう向き合っていけばいいのか。今回は大きくこの3点を考えていきます。まずは金利上昇の背景を探ります。
なぜいま住宅ローンの金利が上がる?
住宅ローン金利の行方を大きく左右するのが、日銀の金融政策です。
固定と変動の住宅ローン。日銀がコントロールする「長期金利」と「短期金利」にそれぞれ影響されます。今のように長期金利が上昇を続けると、それを基準に金融機関は固定金利を引き上げます。一方、変動金利については短期金利の動向をみて判断します。
日銀は、景気を下支えするために2016年から短期金利をマイナスに、長期金利を0%程度とする金融政策を続けてきました。“超低金利”によって、企業や個人が資金を借りやすくなるようにし、経済活動の活発化とデフレ脱却を目指してきました。
歴史的な低金利が続いた時代、住宅ローンを貸し出す金融機関はしれつな金利競争を繰り広げてきました。
住宅ローン金利の比較サイトを運営する会社では、今、利用者のおよそ9割が変動金利を選んでいるといいます。
人気の理由は、金利の低さ。バブル期には8%を超えていた変動金利は、かつてない金利水準となっています。
しかし今、変化の兆しも見られます。
7月、日銀が長期金利の一段の上昇を容認すると発表。それまで日銀は長期金利の変動幅の上限を0.5%程度として金利の上昇を抑えてきましたが、この上限を事実上1%まで容認したのです。この結果、9月には0.7%を超え10年ぶりの水準まで上昇しました。
超低金利時代から金利のある時代へ。日銀の金融政策の運用の見直しを受け、大手銀行は相次いで住宅ローンの固定金利を引き上げました。
一方、変動金利については日銀がマイナス金利政策を維持しているため、据え置きとしています。
専門家に聞く 今後の動き
まず西園(NHK 経済部 日銀担当)さんに聞きますが、鍵は「日銀の動き」ということで、今回住宅ローン金利が上がった背景には日銀が長期金利の上昇を事実上1%まで容認した政策の見直しがあったということですが、今後、今の金融緩和政策を見直して金利がどんどん引き上げられていくということはあるのでしょうか。
西園:
まず日銀が何を目指しているかというと、賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定目標が実現できれば、今の大規模な金融緩和策を見直す考えを今のところ示しております。その場合、短期金利をマイナスにしている今のマイナス金利政策、これを解除することも選択肢の1つとなります。
日銀は、政策転換のタイミングについてはあくまで賃金上昇の流れが継続して物価が上がる、賃金が上がって消費が増えて物価が上がる、この好循環ができてからだと繰り返し説明しています。
市場では、2024年の春闘の賃上げの状況を見極められるタイミングでは解除があるのではないかという見方もありましたが、植田総裁が先週の記者会見の中で「どう動くかは決め打ちできない」と述べており、こうした見方を打ち消すような発言をしています。
日本銀行の金融政策には、物価安定を通じて国民経済の健全な発展に資するという目的があるわけですが、とりわけ、この変動金利が上昇するかどうかということについては、賃金の役割はとても重要だと考えています。
まず、住宅ローンを借りている方にとってみると、変動金利型の住宅ローン、金利が仮に上がったとしても賃金が十分に上がっていればここは相殺できるということでございます。
逆に言えば、日銀が賃金が十分上がらない状態で変動金利が上がってしまうと、社会的にはとても大きな問題になってしまう。景気にとっても悪い影響を与えてしまうと。
逆に言えば、春闘が強い結果が出れば、2024年以降、マイナス金利政策の解除であったり、さらなる長期金利の上昇を容認するといった形で政策が変更される可能性ということにも留意しないといけなくなってくるということだと思います。
福本(ニッセイ基礎研究所 上席研究員)さん:
“金利がある時代”ということについては過度に心配する必要はないかなと思っています。やはりまずイメージするのはデメリットの部分だと思うのですが、金利が上がると借り入れのコストが上がるということで、住宅ローンの返済額が増えたり、企業さんであれば運転資金が増えるとか設備投資が増えるということで、その時に借りている借り入れコストも増えるということで返済額が増えるわけです。これはデメリットということです。
一方で、お金がたくさんある方については預金金利が上がりますので、収入が増えるということですし、先ほど金融政策を解除すれば円安が抑制されるかもという話がありましたが、円安が抑制されれば食料品とかエネルギーの輸入価格というのが抑制されるということですし、企業さんからみれば住宅を建てる時にかかるコストみたいなものも抑制される可能性があるということで、こういったメリットも一方であるということになります。
“金利のある時代”どう備えていくべきか
ポイント1:固定金利で試算
1つ目のポイントは、かつてない低金利の水準にある変動金利だけでなく、より金利の高い固定金利での返済についても試算してみるということです。
男性の希望する物件の場合、月々の返済額は固定金利では24万円。変動金利より3万円ほど高くなります。仮に金利が上がった場合に、リスクがどこまで及ぶのかを見るひとつの目安になるといいます。
ポイント2:65歳までに完済できるか(60歳時点のローン残高が目安)
2つめのポイントが、65歳までに返済を終えられるか。60歳時点のローン残高が目安になるといいます。
“金利のある時代”求められる政策は
どう備える
・定期預金の金利チェック
住宅ローンを借りられている方が、日本銀行がどういうふうに金利を決めているのか、今の金利水準がどうかということを知るのはとてもハードルが高いと思います。なので、まず日銀が金利を上げますと定期預金の金利が上がりますので、定期預金の金利が上がれば貸付の金利も上げないと銀行が収益を稼げませんので、まずは定期預金の金利が上がったなと思えば、住宅ローン金利も上がると考えていただいていいのではないかと思います。
・リスク許容度を知る
変動金利型の住宅ローンが上がった場合、どれぐらい月々の支出が増えるのかということを知っておくことが重要かなと思います。
例えば、銀行のホームページ等でどれくらい住宅ローンの返済額が増えるのかということをシミュレーションできるサイトを用意しているところもあれば、直接、銀行に聞いていただくというようなやり方もあるのではないかなと思います。
・賢い貯蓄を
金利は上がったけれども収入は上がらないということが最大のリスクだと私は思っていまして、やはり住宅ローンというのは将来の収入に合わせて借り入れる金融商品だと思います。そういう意味では金利が上昇すると今まではたんす預金でもよかったのですが、金利がつきますし、お金の価値が目減りしてしまいますので、銀行の口座にちゃんと預けていただくということも重要だと思います。
まず、住宅を購入するということになって住宅ローンを借り入れるということであれば、賃金が十分に増えていくという社会環境になっていくことがまずは大前提ということになると思います。そういう社会になっていかないとだめだということだと思いますが、一方で預金金利が先ほど増えますという話になりましたが、たくさん預金を持っている人であれば金利上昇した時、“金利のある時代”から非常にメリットをもらえると。
一方で、若い方で住宅ローンを借りて教育費もかかりますという方にとっては非常に厳しい状態になるということですから、やはり二極化になっていく可能性もありますし、これがひどくなると市場の失敗となりかねないので、やはり政府、または中央銀行がそういった状況を是正するために例えば住宅ローン形成の制度を元に戻すということも考えられますし、そういった形で格差の是正みたいなものも住宅ローンを借りている若い方に対して利子補給などの制度等も含めて対応を考えていくということが大切になってくるのではないかなと思います。