国民年金、厚生年金の受給繰り下げは得か?

年金を繰り下げて何歳まで生きたら得か?

75歳まで繰り下げるとすると、87歳まで生きると得になります。 受給を繰り下げると、長生きするほど「おトク」になる計算です。それ以前に死んでしまうと、損をすることになります。

日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳です。 この年齢を見る限り、女性は70歳や75歳まで繰り下げても元が取れる人が多そうです。

国民年金は受給額の半分を国が負担し、厚生年金は会社が負担していますので、掛け金の2倍を受け取れるという計算になりますが、自分で運用した方が得と言う場合もあるようです。

ただし、ここで気を付けなければいけないことはいくつかあります。

そのうちの一つは、平均値は中央値とは異なるということです。99人の人がいて50番目の人の死亡年齢が中央値です。中央値の年齢は平均値よりも3歳年上だと考えたほうが良いのです。

税金と社会保険料は計算していません。

インフレとマクロ経済スライドは繰り下げ受給者に不利に働きます。

繰上げ受給を選択した人は、実際にどれくらいいるでしょうか?

国民年金(基礎年金のみの人)では27.0%、厚生年金では0.6%となっています。

一方、繰下げ受給を選択した人は、国民年金(基礎年金のみの人)では1.8%、厚生年金では1.2%となっています。 繰下げ受給を選択するとその分年金額が増えますが、選択する人はまだ少ないようです。

私は金融資産のほとんどを株式ETFか低コストインデックスファンドで運用しています。また、厚生年金、国民年金とも65歳から受け取っています。

そうすると、受け取った年金を平均的運用利回りの8%で運用した場合と、繰り下げ受給した場合とを比較する必要がありそうです。

下表で、国民年金と厚生年金の受給を比較していますが、87歳まで生きても65歳から受給を始めた方が良さそうです。

国民年金の繰り下げ受給

年齢 65歳から受給し8%利回りで運用 75歳まで繰り下げ受給
65 800,000
66 1,664,000
67 2,597,120
68 3,604,890
69 4,693,281
70 5,868,743
71 7,138,243
72 8,509,302
73 9,990,046
74 11,589,250
75 800,000 1,472,000
76 800,000 1,472,000
77 800,000 1,472,000
78 800,000 1,472,000
79 800,000 1,472,000
80 800,000 1,472,000
81 800,000 1,472,000
82 800,000 1,472,000
83 800,000 1,472,000
84 800,000 1,472,000
85 800,000 1,472,000
86 800,000 1,472,000
87 800,000 1,472,000
合計 21,989,250 19,136,000

厚生年金の繰り下げ受給

65歳から受給し8%利回りで運用 75歳まで繰り下げ受給
65 2,500,000
66 5,200,000
67 8,116,000
68 11,265,280
69 14,666,502
70 18,339,823
71 22,307,008
72 26,591,569
73 31,218,895
74 36,216,406
75 2,500,000 4,600,000
76 2,500,000 4,600,000
77 2,500,000 4,600,000
78 2,500,000 4,600,000
79 2,500,000 4,600,000
80 2,500,000 4,600,000
81 2,500,000 4,600,000
82 2,500,000 4,600,000
83 2,500,000 4,600,000
84 2,500,000 4,600,000
85 2,500,000 4,600,000
86 2,500,000 4,600,000
87 2,500,000 4,600,000
合計 68,716,406 59,800,000

<参考>

【2024年度】厚生年金の標準夫婦は「月額約23万円」

年金額は、毎年度改定されます。 まずは厚生労働省より公表された、2024年度最新の年金額の例を見てみましょう。

●2024年度の年金額の例(国民年金と厚生年金)月額  ・国民年金(満額):6万8000円(+1750円)  ・厚生年金※:23万483円(+6001円)

※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。

上記は2024年度の年金額例となっており、物価高の影響もあり2024年度は2.7%の増額となりました。

ただしマクロ経済スライドの調整などにより、物価高ほどは増えていません。

厚生年金については、標準夫婦を「会社員の夫と専業主婦の妻」と想定しており、平均的な収入で試算されています。

それによると「厚生年金の夫と国民年金の妻」の年金月額例は月約23万円でした。

【厚生年金】みんなの平均的な月額はいくらか

日本の年金は国民年金と厚生年金の2階建てとなっています。 1階部分である国民年金は原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務があり、一律の保険料を払います。 2階部分の厚生年金は会社員や公務員などが加入し、収入に応じた保険料を支払います。そのため個人差が大きいのが特徴的となっています。 では、年金の平均的な受給額について、厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に見ていきましょう。

●厚生年金の平均年金月額

  • 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4878円

※国民年金部分を含む 厚生年金の全体平均は14万3973円でしたが、男女で月約6万円の差が出ました。