金融資産2,000万円の場合の投資
金融資産を2,000万円とした場合の投資方法を説明します。
NISA
NISAでは、年間投資上限額がつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円です。 この2つの投資枠は併用が可能になったため、年間360万円まで投資できます。 また、非課税保有限度額が1,800万円(内、成長投資枠は1,200万円まで)です。
したがって、200万円を銀行預金に預け、残り1800万円をNISAに預けるというのも有力です。ただし、NISAの1年間の限度額が360万円ですから、1800万円の限度額をフルに使うには5年間かかります。
そうすると最後の360万円は5年間遊んでしまうことになります。それが嫌であれば、NISAに預けるまでの期間は特定口座のインデックスファンドか株式ETFを買って保有しているという手もあります。
SBI証券を例に説明します。
SBI証券 | |
iDeCo | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド |
NISA | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド |
特定口座・インデックスファンド | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド |
特定口座・株式ETF | 1306(TOPIXの株式ETF) VOO(バンガード社のS&P500株式ETF) VT(バンガード社の全世界株式ETF) 毎年確定申告で外国税額控除の必要がある。 |
(注)iDeCoは、50代~60代前半なら積み立て可能ですが、60代後半だとメリットが減少し、70代では積み立てできません。
私の娘たちに勧めている3銘柄
NISAの年間限度額は360万円ですから、
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
の3銘柄に120万円ずつ積み立てる方法が考えられます。
この3銘柄は、アメリカの割合が6割~10割で、それ以外は世界の先進国、新興国などを含んでいます。
どの銘柄が「つみたて投資枠」に向いているとか、「成長投資枠」は不向きだというのはありません。また、10年後にどの銘柄の成績が最高かもわかりません。
それどころか、過去10年の正確な実績も分からないのです。なぜなら、eMAXIS Slimの2銘柄は誕生してから10年経っていないからです。過去5年の実績を見てみましょう。
毎年20%以上のリターン
各銘柄の年率リターンです。S&P500の成績が最もよく、逆に悪かったのはオールカントリーです。このリターンでは、いくら低コストでも相対的に劣る結果となりました。過去5年間では、アメリカの成績が最もよく、新興国の成績が悪いことを反映しています。
銘柄 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 42% | 94% | 25% | ― |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 36% | 71% | 20% | ― |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | 38% | 22% | 22% | 15% |
それでも、過去5年では、どの銘柄も年率リターンが20%以上ですから、素晴らしい成績です。また、ニッセイの過去10年の15%という数字は驚異的です。
50代の最優先は確定拠出年金
今何かと話題のNISAから話を始めましたが、50代の人が、最も優先すべきはNISAではなく、iDeCoあるいは、勤めている会社が選択制企業型確定拠出年金制度を導入している場合には、その確定拠出年金を優先すべきです。
NISAはリターンにかかる20%の税金がかからないのですが、拠出時点では所得に対して税金がかかります。
一方でiDeCo等の確定拠出年金は、拠出前の所得時点で節税効果があり、しかも将来年金を受け取る時にも節税効果があります。
したがって、資産運用の優先順位は、iDeCo等の確定拠出年金、NISA、特定口座の順です。
外国株式インデックスファンド
そして確定拠出年金で運用銘柄として選ぶべきは、外国株式インデックスファンドです。リスクを恐れて、元本確保型の銀行預金、保険を選ぶ人が多いのですが、インフレの時代には損をするだけです。
私は2002年に企業型確定拠出年金を100%外国株式インデックスファンドで運用したおかげで、現在は元本の5.4倍に増えましたが、当時は元本が保証される銀行預金を選択した人は社員全体の90%もいて、現在の評価額は1倍のままです。私は息子にも、限度額の5.5万円を毎月100%外国株式インデックスファンドで運用させています。
確定拠出年金、NISAに積み立ててもまだ余裕のある人は、特定口座で、低コストインデックスファンドや株式ETFを運用するのが良いと思います。この口座はNISAなどと異なり、利益に対して20%課税されますが、内外の株式に投資すれば、十分なリターンがありますので、大きな痛手にはなりません。