<改訂版>50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 6:商品を検討する

若い人は、積み立てを利用することによって少しずつ資産を増やしていくので、積み立てに適した低コストのインデックスファンドを利用するのが良い方法です。しかも30年、40年と言う長期利用と言うことを考えると、わずかなコストの差が将来的に大きな違いを生むことにも注意が必要です。

そのためには野村等の対面証券ではなく、SBI証券等のネット証券を利用した方が有利です。しかも、若い人はインターネットなどデジタル機器を容易に使いこなせるでしょう。

しかし、50代、60代以上では、そのわずかなハードルの高さが障害になることもありますので、対面証券を使っても良いと思います。(できれば支店の口座ではなく、野村ネット&コールなどのオンラインに変更することが望ましい私自身も、数億円の金融資産を野村からSBIに移換するのは嫌だったので、野村証券の支店口座から、オンラインのネット&コールに変更しました。

対面証券で利用しないほうが良い商品は、以下の通りだと述べました。

  1. アクティブファンド
  2. 株式の新規公開・買い替え
  3. ラップファンド
  4. 毎月分配型投信
  5. 社債

一方で、積極的に利用すべき商品は以下の通りです。

  1. 代表的な株式ETF
  2. NISAの低コストインデックスファンド

1.代表的な株式ETF

株式ETFを選ぶ際の判断基準は、時価総額と信託報酬の安さです。私は自分の家族に、以下の銘柄を勧めています。

銘柄 純資産:兆円 信託報酬:%
1306(TOPIXの株式ETF) 24 0.0592
1321(日経225の株式ETF) 11 0.11077
SPY(SPDR社のS&P500株式ETF) 84 0.09
VOO(バンガード社のS&P500株式ETF) 74 0.03

国内株式ETFのうち、代表的なものはTOPIX連動型と日経平均連動型です。

TOPIXは2000全銘柄、日経平均株価は225銘柄

日経平均株価は、「株価」が算出の対象であるのに対して、TOPIXは「株価」と「発行済株式数」を掛け合わせた「時価総額」を数値化したものです。また、TOPIXが東証一部上場の2000全銘柄から算出されるのに対して、日経平均株価は約2000銘柄から選ばれた225銘柄となっています。

株式市場の実態をよく表しているのはTOPIX

こうした違いから、日経平均は225銘柄の中でも値嵩(がさ)株が指数に及ぼす影響が大きく、TOPIXは大型株の影響が大きい指数といえます。したがって、株式市場の実態をよく表しているのは、日経平均ではなくTOPIXです。十分に分散されているという意味では、どちらでも問題ありませんが、日本最大のETFは1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))であり、日経平均よりもコストが安いので、私はTOPIXのETFを持っています。一方、過去の10年間の値上がり具合は、日経平均の方が勝っていて、どちらが得かは結果を見なければ分かりません。

2.NISAの低コストインデックスファンド

株式ETFを選ぶ際の判断基準も、時価総額と信託報酬の安さです。私は自分の家族に、以下の銘柄を勧めています。

銘柄 純資産:億円 購入時手数料:% 実質信託報酬
eMAXIS Slim 米国株S&P500 48,783 0 0.09372
eMAXIS Slim 全世界株式(オール) 36,564 0 0.05775
SBI・V・S&P500インデックスF 17,175 0 0.093
ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド 7,475 0 0.09889

そのほかの商品

リート、債券のETF

このほかの投資対象としては、リートや債券のETFがあります。リートは市場規模が小さく値動きの変動が不安定なので、関心がありません。債券は、現在日本では超低金利の時代で魅力がないことと、今後インフレになった時に債券価格が暴落する恐れがありますので、当面買うつもりはありません。現在、米国債が4~5%ですが、米国債についてはあまり知識がないので、それほど関心がありません。また、現在、米国株式ETFの分配金はUSMMFで受け取っていて、年間残利回りは4.785%ですので、わざわざ米国債券を買わなくても、これで十分かなと思っています。

変動金利型10年国債も魅力なし

日本の国債の場合、変動金利型10年国債については将来的に検討の余地があるかもしれませんが、今は超低金利なので魅力を感じません。金利は現在0.05%ですが、ETFは概ね2%近い分配金があるので、ETFの方が断然有利ですし、インフレになった場合には、基準金利の66%が保証されますが、残り34%は不利になることが確定していますので、魅力を感じません。

FX取引

株式は中長期的に資産価値が増加しますが、FX取引は増加しません。利益の出た人の反対側には、必ず同じだけの損をした人がいます。株式は、10年で2倍になりますが、FX取引は10年後、1倍のままです。ギャンブルですから、資産形成には役立ちません。

金(ゴールド)

最近数年間に、金の価格が急騰したので、関心を持っていますが、現在2,300ドルを超える水準です。(2000年200ドル、2012年1,200ドル)

最近、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ紛争もあって、金が値上がりしています。過去200年の長期で見ると、株式の方が圧倒的に有利ですが、最近の四半世紀では株式の上昇を上回っています。

金融資産が10億円を超える頃に、もう一度考え直したいと思います。

しかし、金を保有を考えるのなら、食糧安全保障の観点から、自分の農地を保有して、コメ、麦などを作ったほうが良いかもしれません。