SBI証券の方が望ましいが野村證券でも良い
全年代の投資家にとって、望ましい証券口座はSBI証券等のネット証券ですが、ネット取引に抵抗感のある50代以上の中高年は、ネット証券を使わなくても、野村証券などの対面証券で十分しっかりした資産運用ができることを、昨日まで説明してきました。
ETFの銘柄を選ぶ
証券会社が決まれば、株式ETFで運用することに決めれば、次は、銘柄選びです。
純資産総額が1兆円以上、信託報酬が0.1%以下
まず国内株式ETFで、有望な銘柄を確認しましょう。株式ETFに関する私の選択基準は、純資産総額が1兆円以上、信託報酬がほぼ0.1%以下です。そのうち、代表的なものを表にしました。私は12年前に1306を購入しましたが、結果的には1321の日経225の株価の方が上昇しました。つまりNT倍率が高かったのです。
コード | 名称 | 純資産総額(億円) | 信託報酬 |
1306 | NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投資信託 | 236,890 | 0.0592% (税込) |
1308 | 上場インデックスファンドTOPIX112,559.1 | 112,559 | 0.057% (税込) |
1305 | iFreeETF TOPIX(年1回決算型) | 106,683 | 0.078% |
1321 | (NEXT FUNDS)日経225連動型上場投信 | 106,045 | 0.11077% |
日経平均はTOPIXよりコストが高い
TOPIXのETFが3銘柄、日経平均のETFが1銘柄です。信託報酬は、日経平均の1321だけ0.06%程度高くなっています。
コスト引き下げ
2020年までTOPIX型で安かったのは1308の0.088%だったのですが、1306がETF純資産総額に応じた段階料率を導入して、0.0592%まで下がりました。アメリカから押し寄せてきた低コスト化の波に、野村證券も抗し切れていないようです。また、日銀のETF買いによって規模が拡大したので、いつまでも高い信託報酬にしておくことはできなかったのでしょう。
1306の信託報酬計算方法
ETF純資産総額に応じた段階料率の導入
ETFの 純資産総額 | 5兆円以下 の部分 | 5兆円超 10兆円以下 の部分 | 10兆円超 の部分 |
信託報酬率 (税抜・年率) | 0.088% | 0.066% | 0.039% |
少し分かりにくいので下の図をご覧ください。
1306の現状確認
TOPIXの代表的ETFとして1306の現状を確認しましょう。
私が1306(TOPIXの株式ETF)を購入したのは、2012年初めでした。それまで保有していた従業員持ち株会の個別株式を2500万円で売却し、全額を1306に変換したのです。当時の株価は740円、現在は2,900円ですから、4倍になりました。そのまま全額を保有していれば、1306だけで1億円になった計算ですが、自宅の修繕費や生活費等に充てるため一部を売却したので、現在評価額は7千万円です。
一方、連れ合いは2007年に約1千万円で1306を購入したのですが、その直後にアメリカでサブプライムローン問題が発生し、翌年リーマンショックに襲われて、評価額は半分以下になりました。しかし、その後も1306を買い増し、一度も売らずに持ち続けた結果、現在は十分な利益が出ています。
20年で142%上昇
この銘柄は20年前の2001年に発売されました。その時は1株1,194円でしたが、現在は2,900円ですから142%上昇しました。アメリカの株式ETFに比べると、かなり見劣りしますが、ヨーロッパ、新興国のETFもアメリカほどは上昇しておらず、逆に、アメリカだけが好調だったというのが、この20数年間の歴史です。なお、この株価上昇以外に、1.5%程度の分配金が毎年支払われます。
1306(TOPIXの株式ETF)を確認します。
■ファンドの目的
TOPIX(対象指数)に連動する投資成果を目指します。
■TOPIX
東証市場第一部に上場しているすべての日本企業(内国普通株式全銘柄)を対象とした、時価総額加重型の株価指数です。TOPIX は、1968年1月4日を基準日とし、基準日の時価総額を100ポイントとした場合、現在の時価総額がどの程度かを表します(算出開始日:1969年7月1日)。
■純資産総額
236,890.8 億円
■分配金(100口当たり、課税前)
- 2023年7月 5,210 円
- 2022年7月 4,640 円
- 2021年7月 3,660 円
- 2020年7月 3,290 円
- 2019年7月 3,330 円
- 2018年7月 3,050 円
- 2017年7月 2,600 円
- 2016年7月 2,730 円
組入上位10銘柄 業種 純資産比
- トヨタ自動車 4.23%
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2.32
- ソニーグループ 2.24
- 日立製作所 2.04
- 東京エレクトロン 1.87
- 三井住友フィナンシャルグループ 1.74
- キーエンス 1.71
- 三菱商事 1.57
- リクルートホールディングス 1.50
組入銘柄数:2,140 銘柄
このTOPIXが変化します。今後は、この変化も考慮に入れて、1306(TOPIXの株式ETF)にするか、1321(日経225の株式ETF)にするかを決めた方が良さそうです。
TOPIX銘柄、時価総額で一段と絞り込み 28年に1200社
JPXは22年4月の市場再編に合わせて、TOPIXの算出方法を変えた。旧TOPIXは東証1部の全銘柄で構成しており、小粒な上場企業でもTOPIX連動の投信の投資対象になっていた。自動で投信の買いが入るため「企業価値と株価を上げる取り組みの妨げになりかねない」という批判があった。
そこで東証はプライム上場基準でもある流通時価総額100億円未満の企業を段階的に外す手法に切り替えた。25年1月には約1700銘柄に減る。
19日に示した改革案は、さらに踏み込んでTOPIXの採用企業を絞り込む。政策保有株などを除いた浮動株ベースで東証の時価総額の96%を占める上位銘柄を採用し、残り4%に該当する銘柄を外す。時価総額の低い企業が外れることで採用銘柄数は1200程度になる。
JPXの山道裕己・最高経営責任者(CEO)は19日の記者会見で、「市場代表性と網羅性を確保し、機能性を改善していくという点で非常に重要だ」と強調した。
最大の目的はTOPIX連動の投信の運用に手間や費用がかかるといった問題の解消だ。資産運用会社はTOPIX連動の投信を設定した場合、市場に出回る株式の少ない小粒銘柄も継続的に売り買いする必要があり、運用コストがかさむ要因となっている。
現行のTOPIXは基本的にプライム市場の上場企業を対象にしている。新TOPIXは採用の門戸を全市場に広げ、成長性のある企業を取り込むようにする。スタンダード市場とグロース市場からおよそ50銘柄が加わる見込みだ。
追加の銘柄入れ替えは26年10月から段階的に実施する。構成銘柄を入れ替えた後でも株価指数としての特性を維持できるよう調整する。19日から2カ月間かけてパブリックコメント(意見募集)にかけ、24年内に最終決定する。
銘柄数を一段と絞り込むものの、比較的規模の小さい企業を多く含む構造問題は残る。上場企業全体を見渡すと時価総額1兆円超の企業の数は5%程度なのに対し、500億円未満は6割強を占める。指数連動の投信による自動的な買い支えは維持される。
米国を代表するS&P500種株価指数は主要500銘柄で構成する。13年12月を100とした場合、足元のS&P500の水準は297まで上昇したのに対してTOPIXは209にとどまる。
巨大IT(情報技術)企業の「GAFA」や半導体大手エヌビディアなど指数上昇のけん引役が次々と登場する米国と比べると、小粒企業を維持し続けるTOPIXの見劣りは否めない。
山道氏は19日、「(新たな)TOPIXに選定されることを意識しながら企業価値向上に取り組んでほしい。結果として日本市場全体の投資意欲が上がればいい」と語った。指数のさらなる改善を検討するとともに、上場企業の成長につながる地道な改革の促進策を問い続けることも重要になる。