確定拠出年金
私の確定拠出年金は、元々は2002年に始まった企業型確定拠出年金で、退職後に野村證券に移換し、その後は自分で運用しています。
元本保証型ではインフレで目減り
私は当初から、全額を外国株式インデックスファンドで運用し、元本の600万円は現在3,248万円に増えました。2002年は、その5年前の1997年金融危機の影響が色濃く残り、不安を抱えていた人が多い時代でした。このため、私が勤めていた会社の社員の9割は、元本が保証される銀行預金での運用を選択しました。
自分の金融資産全他を俯瞰
しかし私は、老後の金融資産全体を見て判断しました。それは、厚生年金、確定給付年金が元本確保型なので、確定拠出年金ぐらいはある程度のリスクをとっても良いし、その方が全体のバランスが良くなると考えたのです。
22年で5倍以上に増加
この判断は正しく、私の確定拠出年金はその後22年間で5.41倍に増えました。当時銀行預金を選んでそのままにした人は、今でも1倍のままです。
日本の確定拠出年金が参考にしたアメリカの401kは1978年に誕生しましたが、アメリカの多くのサラリーマンが利用しています。その運用銘柄はアメリカ株式が多いのですから、アメリカ政府はあまりひどい成績を容認できないのです。
そういう点で、日本の株式相場より、アメリカの株式相場の方が安心です。
私の現在の運用商品は、「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」ですが、最近「野村米国株式S&P500インデックスファンド(確定拠出年金向け)」が発売されました。この2銘柄を確認します。
野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI
◆ファンドの特色
- 主な投資対象:「外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド」受益証券を主要投資対象とします
- ベンチマーク:MSCI-KOKUSAI指数(円ベース・為替ヘッジなし
- 目標とする運用成果:MSCI-KOKUSAI指数(円ベース・為替ヘッジなし)の中長期的な動きを概ね捉える投資成果を目指します
純資産総額3,500.0億円
外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンドの純資産総額24,135.8億円
国別配分上位5か国
- アメリカ: 72.89%
- イギリス: 3.94
- カナダ: 3.27
- フランス: 3.16
- スイス: 2.97
信託報酬率年0.09889%(税抜年0.0899%)
野村米国株式S&P500インデックスファンド(確定拠出年金向け)
◆ファンドの特色
- 主な投資対象:「S&P 500指数連動型マザーファンド」受益証券を主要投資対象とします
- 対象指数:S&P 500®(配当込み、円換算ベース)
- 目標とする運用成果:S&P 500®(配当込み、円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指して運用を行ないます
純資産総額5,128.6百万円
信託報酬率年0.1078%(税抜年0.098%)
NISA
今月もつみたて投資枠10万円、成長投資枠1000円を積み立てました。
NISAも急成長しています。私がNISAを始めたのは2015年でしたが、その頃は運用期間が制度上5年しかなく、非常に不安を抱えながら利用していました。その後ロールオーバーができるようになりましたが、不安定な制度でした。
NISAは使うべき
現在は無期限に利用でき、限度額も1800万円まで上がりましたので、ぜひとも利用したい制度です。現在は元本537万円に対し、313万円の利益がついて合計850万に増えました。特定口座なら、313万円の2割である63万円が税金として召し上げられてしまいますが、NISAには税金がかかりません。
年率リターンは7.3%となっていますが、年換算だともう少し高いと思います。
夫婦の合計運用実績
これは夫婦の全金融資産で、特定口座、NISA、確定拠出年金の合計額です。 先月5億円に到達し、今月は更に2300万円以上増えて、5億2,335万円になりました。少しスピード違反気味に増加しています。
株式ETFなら安心
もしこれが個別株式であったなら、急落することを恐れて売ってしまおうと思いますが、アメリカ、日本、世界の数千銘柄に分散投資しているので、売ろうという気になりません。もし売って預金にしたら、インフレの影響で、毎年2%ずつ確実に目減りしてしまうのです。従って私にとっては、利益確定ということは全く考えられないのです。
市場全体が暴落しても、またそのうち回復するだろうと考えています。
世界の富裕層
野村総合研究所の定義では、純金融総額5億円以上の世帯が超富裕層、1億円以上が富裕層だそうですが、世界の富裕層が自国を脱出しているそうです。
2024年7月1日の日本経済新聞の記事を読みましょう。
イギリス離れる富裕層、流出数約1万人か 先進国で突出
富裕層が英国を離れている。英国の欧州連合(EU)の完全離脱から3年が経過し、富裕層に逆風の税制改正や左派の労働党政権への政権交代が確実視される中で不透明感を嫌気している。2024年は1万人近い富裕層が脱英国に踏み切るとの見方も浮上。先進国で突出する。
英国でのベンチャー投資を目的にロンドンに数年前に移り住んだある米国人投資家は、今年、英国を離れることを決めた。きっかけは与党保守党が打ち出した、富裕層に対する課税強化だった。
英国では外国人居住者が海外で稼いだ所得に関して一定の条件のもとで課税を免除する「non-dom税制」があった。同税制は野党労働党がかねて廃止を主張してきた政策。総選挙をにらみ、保守党スナク政権は3月に先取りして同制度を廃止すると発表していた。
そしてすでに労働党が政権与党になることが確実視され、同党の政策を吟味した結果移住を決意。複数候補地を検討し、海外所得課税に上限があるイタリアを選んだ。「労働党は本当に経済を傷つけるだろう」とこぼす。
英作家のアレック・マーシュ氏は、「富裕層はその足ですでに投票している」と指摘する。「non-dom税制」廃止の発表翌日に、富裕層が自分と家族をすぐにプライベートジェット機に乗せたエピソードを披露している。
移住助言などを得意とする英コンサルティング会社、ヘンリー・アンド・パートナーズは、2024年の英国からの「ミリオネア」の純流出が9500人になると予測している。
英国からの富裕層流出数は昨年の2倍以上で、1位の中国に次ぐ2番目になると見通す。英EU離脱が決まった17年からの23年の6年間の累計で1万6500人の富裕層が流出したとの統計をまとめており、24年の推計値はその累計の6割にあたる。
労働党は、私立学校の授業料に免除されている付加価値税を賦課することを公約に掲げている。富裕層にとって支出に占める割合は小さいが、「金持ち優遇」と目されるような方向に政策が動く可能性は乏しい。
保守党は脱EUの後「テムズ川のシンガポール」を目指した。EUの規制から解放され、欧州内での自由経済市場を重視した国家を目指すものだ。しかし与党保守党は、20年に外国人買い物客向けの免税措置を廃止。23年には大企業の法人税率を19%から25%に引き上げるなど逆の動きが目立った。
結果として24年の総選挙で野党労働党に「法人税などは据え置き」という公約を打ち出す余地を与えた。左派政党が左派色を薄める戦略をとることが可能になったわけだ。
あるヘッジファンドの幹部は「労働党は将来絶対に課税を強化する。今の公約は選挙向けだろう。信じていない」と話す。仲間内では度々移住が話題になるという。個人所得に対する税金は無税なアラブ首長国連邦(UAE)のドバイが有力候補地として名前があがるという。
英国投資協会によると2022年の英国運用業界が抱える資産総額は8.8兆ポンド(約1750兆円)で米国に次ぐ地位を確保している。およそ半分が英国外からの顧客資産で、世界のマネーのハブであることは間違いない。
ボストン・コンサルティング・グループのパートナーのディーン・フランクル氏は「税制の変更で英国からの転出を検討する個人や事業体はいるかもしれないが、英国で運用されている資金の大部分は機関投資家によるもの。顧客基盤の大部分を占めている」と話す。こうした状況から「英国の資産運用業界は安定して継続的に成長するだろう」と指摘する。
もっとも、「富裕層に選ばれない国家、都市が金融ハブとしての地位を維持できるとは思えない」(ベンチャーキャピタル投資家)の声もあがる。今の地位の維持、向上のためには富裕層の流出という問題に目をつぶることはできないだろう。