<改訂版>50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 14:外国株式半分で運用

資産の配分

今まで、50歳代以上が投資するのための証券会社、ETFを見てきました。その割合をどうするかという問題があります。

GPIF

GPIFのポートフォリオを見てみましょう。GPIFとは 年金積立金管理運用独立行政法人で、 日本の公的年金の積立金の管理・運用を行う独立行政法人のことです

運用資産は約224兆円

世界最大規模の運用資産(2023年度第3四半期末現在224兆7,025億円)を保有し、英語表記「Government Pension Investment Fund」の頭文字をとって「GPIF」と呼ばれています。読み方はジーピーアイエフです。

ファッション・デザインの紙ばさみ

また、ポートフォリオとは、個々の投資家が保有している金融資産全体のことを指します。もともとはファッションデザインの紙を入れる紙ばさみを意味する言葉でしたが、有価証券は紙ばさみに挟んで保管されることが多かったため、この言葉が保有証券を意味するようになりました。運用の中身は、株式、債券など様々です。

国内債券、国内株式、外国債券、外国株式で4等分

GPIFのポートフォリオは、現在、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式で4等分されていますが、これがベストと言う保証はどこにもありません。2019年までは、国内債券35%、外国債券15%でしたし、2013年以前は国内債券が60%も占めていたのです。当時は、過大になった国債の受け入れ先としてGPIFが使われ、現在はインフレ促進や株価上昇に役立つ方向で決められているのかもしれません。

GPIFのポートフォリオは個人に当てはまるか?

ところで、このポートフォリオを、そのまま個人のポートフォリオに当てはめて良いのでしょうか。このポートフォリオには以下のような問題があると思います。

① 超低金利時代に債券は不利

アメリカは現在高金利ですが、日本はあり変わらず超低金利のままです。それを保有すると、リターンが大きく減少してしまいます。

② 金利上昇、債券価格下落の恐れ

債券の金利が上昇すると債券価格が下落することになります。したがって、今、債券を保有していると、将来、下落する資産を持つことになります。

③ 債券は個人投資家に不利

株式は証券取引所に上場されていて、大口の機関投資家も、資産の少ない個人投資家も、対等の立場で取引ができますが、社債の場合、大口機関投資家が買わなかった売れ残りが個人投資家に回ってきます。プロが買わなかったものを、個人が買ってよいか、はなはだ疑問です。

私は債券を買わない

このような理由から、個人は、債券を買わない方が良いと思います。もし、どうしても買いたいのであれば、インフレ時に66%のインフレ分を軽減できる個人向け10年変動国債が、候補に挙がるかもしれません。しかし、わざわざ国債を買わなくても、株式ETFの方に魅力を感じます。

米国債は為替リスク、為替手数料

外国の債券については、アメリカの長期金利が4%台ですから比較的金利は高いのですが、日本円を原資にして、為替リスクをかけ、為替手数料を払ってまで投資したいとは思いません。現在、米国株式ETFの分配金をUSMMFで受け取っているので、それをそのまま保有すれば良いと思います。USMMFの2024/06/25現在の年換算利回りは4.792%です。

ポートフォリオ 1

そこで、国内債券、外国債券に投資せずに、国内株式と外国株式に半分ずつ投資するポートフォリオを考えてみましょう。それが下の図、個人のポートフォリオ 1 です。

投資の運用評価は常に中間評価

いたってシンプルで、これで大丈夫なのかと思われる人もいるでしょう。しかし、何が良いかはやってみないと分からないものです。しかも、投資の運用評価は常にある一時点の中間評価でしかありません。つまり、5年後には良かったと思っても、10年後に同じ評価になるかどうかは分からないものです。

10年後に期待

私は、投資は人生と同じで、常に中間評価しかできないと思っています。そして、株に関して言えば、1週間後、1か月後、1年後に上がっているかどうかは分からないのです。ただし、10年後には上がっている確率はかなり高いと思います。そして20年後はさらに高くなっているというのが、今までの歴史です。

連れ合いのポートフォリオ

実は、このポートフォリオに比較的近い形で投資している人がいます。それは、私の連れ合いです。そのポートフォリオは下図のとおりです。

今から6年前の連れ合いのポートフォリオは、1306(TOPIXの株式ETF)が49%でした。

現在、国内株式ETFの1306(TOPIXの株式ETF)は34%でしたが、VOOを800万円追加投資するとともに、アメリカの株価が上昇を続けることによって、日本の株式割合が相対的に縮小したのです。

連れ合いの評価益は150%増

17年間の資産運用で、連れ合いの評価益は150%増えました。つまり、元本の2.5倍になったのです。連れ合いは、少しずつ投資額を増やしていったので、2.5倍にしかなっていませんが、初めから全額投資していれば、元金の3.8倍程度になっていたと思います。

そこまで欲張らずとも、様子を見ながら少しずつ投資しても2.5倍になると思って下さい。あくせくせず、のんびりやるのも、一つの考え方です。