資産運用に必要なこと 2

<昨日の続き>

金融資産を増やすのに大切なこと

  1. 証券会社に口座を開設する
  2. お金を用意する
  3. 資産を持つ時間が必要
  4. 商品を選ぶ
  5. 商品を買う
  6. 買った商品を持ち続ける

金融機関、商品、据え置き期間によってリターンは大きく変化します。その大まかな目安を表にしました。

(注)パターン8、9は売買手数料と為替手数料がパターン2、3より、余計にかかりますので、0.20%程度リターンが減ります。

個人投資家のリターン

パターン 金融機関、投資対象、据え置き期間 個人投資家のリターン 10年後の資産(倍) 証券会社の利益
1 ネット証券(低コストインデックスファンド) 6% 1.79 0%
2 ネット証券(国内ETF) 6% 1.79 0%
3 ネット証券(外国ETF) 6% 1.79 0%
4 野村證券(インデックスファンド10年据え置き) 5% 1.63 1%
5 野村證券(アクティブファンド10年据え置き) 4% 1.48 2%
6 野村證券(アクティブファンド2年に一回買い替え) 3% 1.34 3%
7 野村證券(アクティブファンド1年に一回買い替え) 2% 1.22 4%
8 野村證券(国内ETF10年据え置き) 6% 1.79 0%
9 野村證券(外国ETF10年据え置き) 6% 1.79 0%
10 銀行(投資信託・保険) 2% 1.22 4%

具体的パターン

様々なパターンがありますが、ブログや雑誌で取り上げられることの多いのが、パターン1のネット証券で低コストインデックスファンドを買う場合です。もう少し具体的に言うと、

  • SBI証券
  • 楽天証券

で、

  • SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド
  • <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
  • 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

を買う、積み立てるパターンです。

10年後に1.79倍

このパターンでは、年平均リターンが6%とすると、10年後の資産は元金の1.79倍になります。低コストインデックスファンドの年平均リターンを6%と置きましたが、アメリカのS&P500のインデックスファンドであれば、過去30年間の平均リターンは10%でしたので、この6%は少し控えめな数字にしてあります。低コストインデックスファンドでなく、パターン2、パターン3の国内あるいは外国の株式ETFを買っても同じ6%のリターンを期待できるとします。ネット証券の場合は、対面証券と比べて支店経費、人件費、宣伝費などがほとんどかかりませんので、リターン6%のほとんどが個人投資家に帰ってきます。なお、この6%、0%という数字は、丸めたもので、実際には0.1%程度の経費や利益はかかっていますが、そこまで厳密な計算をすることはできませんし、また、しても仕方ありませんので、あくまでも大まかなイメージとして捉えて下さい。

野村証券のインデックスファンドは低コストでない

一方、野村證券の場合にはどうでしょうか。パターン4の場合は個人投資家のリターンはネット証券より1%減って5%になります。その理由は、野村證券は上に挙げたような低コストインデックスファンドの品揃えがないので、購入時手数料と信託報酬が高くなり、1%程度のコストがかかってしまうからです。そのうち信託報酬は0.6%が毎年かかるので、投資家の損が大きくなります。

アクティブファンドは買わない

また、パターン5のアクティブファンドの場合には信託報酬が毎年2%程度かかりますので、10年据え置きで売買手数料が1年目と10年目だけにしても、コストがたくさんかかることになります。さらに対面証券で恐ろしいのは、営業員が2年に1回、あるいは毎年、言葉巧みに買い替えを迫ってきますので、そのたびごとに売買手数料がかかります。その結果、リターンが6%あっても、そのうちの4%は証券会社に取られてしまって、個人投資家には2%しか残らないことになります。かつて、山一証券の社員が私にアドバイスしてくれたのは「証券会社のアクティブファンドだけは買ってはいけない。あれは証券会社が儲かって、個人投資家は損をするから。」というものでした。しかし、いまだにアクティブファンドの売れ行きは勢いを失いません。証券会社の広告宣伝費、営業員の営業、大手経済新聞の記事、個人投資家の無知が原因でしょう。

ETFなら野村でもあまり損をしない

野村證券では、インデックスファンドでもアクティブファンドでも、個人投資家は損をしますが、株式ETFであれば、国内であれ、外国であれ、低コストのものが多いので、あまり損をしません。国内株式ETFファンドは売買手数料が1%程度ですから、10年に均すと0.1%ですし、その時点で売っても売買合計で0.2%で済みます。ETFの信託報酬は、野村證券でもネット証券でも同じですから、どちらで買っても0.2%の差しかつきません。

合計で1.5%野村證券の方が余計にかかる

外国株式ETFの場合には、売買手数料以外に為替手数料かかり、野村證券が1%なのに対してネット証券は0.5%程度ですので、売買手数料と為替手数料の合計で1.5%野村證券の方が余計にかかります。ただし、そのコストは毎年かかるわけではありませんから、10年間にならせば0.15%、15年なら0.1%です。したがって、致命的と言えるほど大きな差ではありませんから、SBI証券などに新しく口座を開設したくない人には我慢できる範囲でしょう。

<明日に続く>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です