2021年の投資信託で利益をあげた人は多かったようですが、その中身を日経CNBCのデータで見てみましょう。
国内公募投信、ETFとも伸びる
国内公募投信全体では164兆円で、前年より25兆円増えました。そのうち日本銀行の保有するETFは、買い入れをほとんどやめたために1兆円しか増え投信21年末の簿価で36兆円でした。日銀以外の保有しているETFは7兆円増えて36兆円になりました。ETFを買った人もいるでしょうし、何もせずに昨年のまま保有している人も、株価の値上がりによって増えた人もいます。私も数百万円増えました。
ETF以外の投信も伸びる
ETF以外の投信も17兆円増えて102兆円になりました。つみたてNISA、イデコ、課税される投信が増えています。ファンド数は5900ほどありますが、このうちのほとんどは死に体のファンドですから、数の増減は意味のないものです。
公募投信の純資産総額 年末時点での比較(単位:兆円)
20年末 | 21年末 | 20年末比 | |
国内公募投信全体 | 139.43 | 164.50 | 25.07 |
ETF(日銀保有簿価) | 35.30 | 36.35 | 1.04 |
ETF(日銀保有以外) | 19.51 | 26.09 | 6.58 |
ETF以外の投信 | 84.62 | 102.07 | 17.44 |
MRF(待機資金) | 13.66 | 13.91 | 0.24 |
ファンド数 | 5,913 | 5,923 | 10 |
流入は海外株式の投信
分類別の資金流入額は、圧倒的に海外株式が多く、8兆円です。それ以外の分類は1兆円以下ですから、無視できるほどの増減です。日本人のお金が世界、特にアメリカに向かって逃避し始めたようです。
分類別の資金流入額(兆円)
国内株式 | 0.0 |
海外株式 | 8.3 |
国内債券 | 0.8 |
海外債券 | -0.2 |
代替投資 | -0.4 |
バランス | 1.0 |
その他 | 0.1 |
償還 | -0.2 |
大事なのは長期リターン
1年間のリターンは、私のような長期投資をしている人間からすると、意味のないデータではありますが、マスコミは、このデータを見せることによって、アクティブファンドに資金を流入させて、証券会社等の売買手数料を増やしたいのかもしれません。
私は27%増加
昨年は10%以上増えた人が半分を超えました。私も金融資産全体として27%増加しました。
国内公募投信 2021年の1年リターン別の内訳
- 30%超のプラス :13%
- 10~30%のプラス:40%
- 5~10%のプラス :16%
- 0~5%のプラス :16%
- 0~5%のマイナス : 9%
- 5%超のマイナス : 4%
昨年の投資信託分類別流入額は、コモディティがトップです。過去5年間では先進国株式が安定して上位にいます。米国株式も常に5位以内にいます。国内株式は浮き沈みが激しい。
投資信託分類別年間流入変動率
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
1 | 新興国株式 32.2% |
国内REIT 10.6% |
先進国株式 28.4% |
国内株式 17.9% |
コモディティ 58.0% |
2 | 米国株式 23.6% |
国内債券 0.7% |
国内REIT 24.8% |
先進国株式 8.6% |
海外REIT 49.5% |
3 | 国内株式 20.4% |
先進国債券 -4.0% |
米国株式 24.0% |
新興国株式 8.1% |
先進国株式 37.9% |
4 | 先進国株式 18.2% |
米国株式 -7.3% |
海外REIT 21.2% |
先進国債券 4.6% |
米国株式 34.7% |
5 | 新興国債券 10.1% |
海外REIT -8.8% |
国内株式 20.0% |
米国株式 1.4% |
国内REIT 19.4% |
6 | 海外REIT 5.9% |
新興国債券 -9.0% |
新興国株式 17.8% |
国内債券 -1.0% |
新興国株式 8.3% |
7 | 先進国債券 4.5% |
国内株式 -10.7% |
コモディティ 15.0% |
新興国債券 -3.9% |
国内株式 6.0% |
8 | コモディティ 0.3% |
先進国株式 -11.4% |
新興国債券 10.8% |
国内REIT -13.7% |
先進国債券 3.5% |
9 | 国内債券 -0.1% |
コモディティ -15.5% |
先進国債券 4.9% |
海外REIT -13.8% |
新興国債券 0.3% |
10 | 国内REIT -7.2% |
新興国株式 -17.6% |
国内債券 1.3% |
コモディティ -29.6% |
国内債券 -0.4% |
1位のA・バーンスタイン・米国成長株投信Dが延びている理由は、①昨年アメリカの株価が上昇したこと、②メガバンクを含め多くの銀行が販売に力を入れたこと、③毎月分配金が支払われること、の3点ですが、管理費用(含む信託報酬)が1.727%と高いのでやめた方が良さそうです。低コストインデックスファンドなら、管理費用が0.1%ですから、その差は1.627%になります。投資資金を1,000万円とすると、毎月自動的に分配金を振り込んでもらう手数料として162,700円支払うことになります。自分で引き出せば無料なのに、自動振り込みにすると16万円以上支払うのは、なんと気前が良いことか。16万円あれば、高級カメラ、50インチテレビ、ブルーレイディスクレコーダー等が買えます。
12月の資金流入額のトップ・テンにインデックスファンドが4銘柄(3,5,6,7位)入っています。こちらの方がお得です。
国内追加型投信 12月の資金流入額トップ・テン
ファンド名称 | 資金流入推計値(億円) | |
1 | A・バーンスタイン・米国成長株投信D | 1,498 |
2 | ファンドスミス・グローバル・エクイティ・F | 1,398 |
3 | eMAXISSlim米国株S&P500 | 837 |
4 | A・バーンスタイン・米国成長株投信B | 482 |
5 | SBI・V&S&P500インデックスF | 372 |
6 | eMAXISSlim全世界株式(オールカントリー) | 338 |
7 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 308 |
8 | グローバルAIF(予想分配金提示型) | 237 |
9 | iFreeレバレッジNASDAQ100 | 205 |
10 | 円ハイブリッド債券インカム(年1回決算) | 198 |
資金流出額トップテンには、低コストインデックスファンドが入っていません。
国内追加型投信 12月の資金流出額トップ・テン
ファンド名称 | 資金流入推計値(億円) | |
1 | TRP米国成長株式ファンド | -177 |
2 | テトラ・エクイティ | -140 |
3 | グローバル・プロスペクティブ・ファンド | -118 |
4 | ピクテグローバルインカム株式F(毎月分配) | -84 |
5 | 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド | -79 |
6 | デジタル・トランスフォーメーション株式F | -76 |
7 | 東京海上・円資産バランスファンド(毎月) | -62 |
8 | GESGハイクオリティ成長株式F(H無) | -56 |
9 | ラサール・グローバルREIT(毎月分配) | -46 |
10 | フィデリティ・USハイ・イールドF | -46 |