グラフの見方
経済や相場の説明にはグラフが利用されます。東洋経済の野口 悠紀雄 :一橋大学名誉教授の記事「日本の1人当たりGDPを大きく下げた『真犯人』」が載っています。そこには、以下の説明があります。
「貴重な10年間を日本は無駄にした
図表1は、貴重な10年間を日本が無駄にしてしまったことを、はっきりと示している。この図表こそが、大規模金融緩和の成果を最もわかりやすく示す成績表だ。
日本が成長せず、他国が成長した結果、日本の相対的な地位は、信じられないほど低下した。2012年に、日本の1人当たりGDPは、アメリカとほとんど同じだった。そして、カナダ(図表には示していない)、アメリカについで、G7で第3位だった。しかし、2022年には、日本の1人当たりGDPはアメリカの45.7%でしかない。
2012年に日本はドイツ、フランス(図表には示していない)、イギリスより1割以上高かったが、いまは7割程度でしかない。
2012年に日本はイタリアより4割高かったが、いまはほとんど同じで、G7での最低国を争っている。
2012年に日本は台湾の2.3倍だったが、2022年には追い抜かれた。韓国も、近い将来に日本を追い抜くだろう。そうなれば、図表1に示した国の中で、日本は最低順位になる可能性が高い。
そして、日本は先進国の地位から滑り落ちる。この状態を何とか阻止ししなければならないが、そのためには、金融政策の大転換が不可欠の条件だ。
いまや、大規模金融緩和政策の誤りは明白だ。しかし、政策転換ができれば、条件は大きく変わる。日本はまだ、回復する潜在力を持っている。金融政策の転換がその第一歩になることを望みたい。」
2012年と2022年は極端な年
しかし、このグラフはそのまま判断の根拠にしてよいのでしょうか。2012年は、前年に東日本大震災が発生して、大きく円高になった年でした。そして2022年は世界の先進国の中で唯一利上げを行っていない日本の円は、131円/ドルなりましたから、5割以上の円安と計算できます。
- 2012年: 85円/ドル
- 2022年:131円/ドル
もし、現在のドル円が85円だとすると、日本の一人当たりGDPは5万ドルになり、ドイツ、イギリスと肩を並べることになります。これは、単に為替レートの問題なのか、あるいは、国力まで損なわれてしまったのかは分かりません。
今回のグラフの例は、起点の2012年が極端に円高で、終点の2022年が極端に円安ですから、それを考慮に入れてグラフを見る必要があります。
VTの翻訳
世界最大級の資産運用会社であるバンガード社の日本法人(バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社)が2021年2月28日をもって廃業しました。その結果、日本語版のETFの商品説明をやめてしまったので、英語版を日本語に翻訳してその内容を確認します。
マネジメントスタイル
- インデックス:アセットクラス
- 国際/グローバル株式:カテゴリー
- 世界の株式:リスクとリターンの尺度:4
- 経費率: 0.07% 2022年02月25日現在
- SEC利回り: ―
- 市場価格(MP): $89.99 2023年11月1日現在
- NAV価格: $89.91 2023年11月1日現在
概要
主要データ
- IOVティッカーシンボル:VT.IV
- CUSIP:922042742
- 経営スタイル:インデックス
- アセットクラス:国際/グローバル株式
- カテゴリー:世界株式
- 開始日:06/24/2008
- ファンド番号:3141
商品概要
- 外国株式と米国株式の両方に投資します。
- FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動を目指します。
- 成長性が高い反面リスクも高く、米国や海外の株式ファンドに比べ、株価の上下動が大きい。
- 長期的な目標にのみ適しています。
- ファンドの運用:バンガード・エクイティ・インデックス・グループ
パフォーマンスと手数料
トータルリターン 2022年12月31日現在
⇒ 11月末より下落しました。
1年間 | 3年間 | 5年間 | 10年間 | 2008年6月24日設定以来 | |
VT(市場価格) | -18.02% | 4.18% | 5.30% | 8.14% | 6.12% |
VT(基準価格) | -18.00% | 4.22% | 5.33% | 8.19% | 6.13% |
Spliced Total World Stock Index(ベンチマーク) | -17.98% | 4.24% | 5.34% | 8.31% | 6.17% |
ポートフォリオ構成
特徴 2022年11月30日現在
- ファンダメンタル VT ベンチマーク
- 銘柄数 9534 9512
- 時価総額の中央値 $64.1 B $64.4 B
- 収益成長率 15.6% 15.6%
- 短期積立金 ― ―
- PER 15.3x 15.3x
- PBR 2.4x 2.4x
- 回転率(2022年10月期) 6.3 ―
- 自己資本利益率 15.2% 15.2%
- 海外保有比率 39.7 ―
- ファンド純資産総額 $34.6 B ―
- シェアクラス純資産総額 $249 B ―
中程度~積極的なファンドに関連するリスク
中程度~積極型に分類されるバンガードのファンドは、株価が大きく変動する可能性があります。これは、実質的にすべての資産を普通株式で保有しているために起こるものです。
一般的に、このようなファンドは、以下のような投資家に適しています。
- 長期投資(10年以上)の視野を持っている。
- 第一の目標として、資本の成長を求めている。
- 株式市場で起こりうる株価の下落に耐える覚悟がある。
- 株価の変動は、普通株式が提供し得る潜在的な高リターンと引き換えのものです。このカテゴリのファンドが生み出す経常利益の水準は、中程度から非常に低いものまであります。
加重平均エクスポージャ 2022年11月30日現在
地域 | 割合 |
新興市場 | 10.10% |
ヨーロッパ | 15.80% |
パシフィック | 10.80% |
中東 | 0.20% |
北アメリカ | 63.10% |
その他 | 0.00% |
保有内容 2022年11月30日現在
銘柄 | 割合 |
Apple Inc. | 3.35% |
Microsoft Corp. | 2.82% |
Amazon.com Inc. | 1.27% |
Alphabet Inc. Class A | 0.92% |
Alphabet Inc. Class C | 0.79% |
UnitedHealth Group Inc. | 0.76% |
Tesla Inc. | 0.73% |
Berkshire Hathaway Inc. Class B | 0.70% |
Johnson & Johnson | 0.69% |