12年前のリーマンショックの時も、世界の株価が暴落しました。この時、ウォーレン・バフェットがニューヨーク・タイムズ紙に寄稿しました。
バフェットは、アメリカ合衆国の投資家、経営者、資産家で、世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主です。2018年の個人資産は840億ドル(約9兆円)でした。
今日はその記事を確認しましょう。以下は拙訳です。2008年10月16日の記事ですから2008年9月15日のリーマンショックのちょうど1か月後です。
アメリカを買え。私はそうしている。
アメリカでも外国でも、金融の世界は大混乱だ。その上、この問題は一般経済にも波及してきていて、すさまじい勢いだ。近いうちに失業も増え、経済活動は停滞し、ニュースの見出しは恐ろしいものが続きそうだ。
それで・・・私はアメリカの株を買っている。私が話しているのは私個人の口座で、以前は米国債しか持っていなかった。(ここで書いているのはバークシャー・ハサウェイ株のことではなく、それは全額慈善事業に向けられている。)もし株価が魅力的に見えれば、私のバークシャー以外の純資産は100%米国株になるだろう。
なぜか?
私は単純な規則によって購入を決定している:
他の人が貪欲なときに恐れ、他の人が恐れているときにどん欲になれ。
そしてとても確かなことだが、現在恐怖が広がっていて、熟練の投資家でさえ怖がっている。確かに高リスクの株式や競争力の弱い企業を投資家が怖がるのは当然だ。しかし、この国のたくさんのしっかりした企業が長期的に繁栄するということに関して恐れるのは、理にかなわない。これらの企業は今までいつもそうだったように、利益が減少することも実際にあるだろう。しかし、ほとんどの大手企業は5年後、10年後、20年後に利益の新記録を打ち立てるだろう。
はっきり言わせてもらう:私は株式市場の短期の動きを予言することはできない。今後1か月後、1年後に株価が高いか低いかに関しては、全く分からない。しかし、感情か経済が上向くはるか前にマーケットは上昇しそうだし、たぶんそうなるだろう。つまり、コマドリを待っていると、春は終わってしまうのだ。
ここで過去の歴史を少し話そう:大恐慌の時、1932年7月8日ダウは底値の41ドルになった。しかし、1933年3月にフランクリンD.ルーズベルトが大統領に就任するまで、経済状態は悪化を続けた。そのころまでに、マーケットは既に30%改善していた。あるいは、第二次世界大戦の初期を考えよう。当時ヨーロッパと太平洋でアメリカ合衆国にとって戦況は悪かった。連合軍にとって情勢が良くなるずっと前、1942年4月にマーケットは底を打った。さらに、1980年代初め、株購入のタイミングは、インフレが荒れ狂い、経済が最悪の時だった。つまり、悪いニュースは投資家にとって最良の友である。悪いニュースに基づいて、切り下がった価格でアメリカの将来を少し買うのだ。
長期にわたってみれば、株式市場のニュースは良いのだ。20世紀において、米国は2回の世界大戦とそれ以外の衝撃的で犠牲を伴う軍事衝突に耐えてきた。大恐慌、たくさんの不況・金融危機、オイルショック、インフルエンザの流行、不名誉な大統領辞任もあった。しかしダウは66ドルから11,497ドルまで上昇した。
こんなとてつもない株価上昇のあった世紀において、投資家が損をするなんてことは不可能だと考えるかもしれない。しかし、損をした投資家はいたのだ。不運な投資家は買うと気分の良くなる時だけ株を買って、その次に、ニュースの見出しで心配になった時に売るのだ。
現在、キャッシュを持っている人たちは快適に感じている。そうあってはならない。実質的に利息を生まず価値が下がる、恐ろしい固定資産を彼らは選択したのだ。実際には、現在の危機を和らげようとして政府が行う方策は、たぶんインフレを実現し、その結果現金の実質価値を下落させることになるのだ。
株式はほぼ確実に次の10年間にわたって、たぶんかなりの程度、現金を上回る成績となるだろう。今現金に執着している投資家は、今後、きっとうまいタイミングで現金を手放すことができると、考えているのだろう。気分の良くなる良いニュースを待ちながら、彼らはウェイン・グレツキーの「私はアイスホッケーのパックの行く所にスケートして行くのであって、今まで有った所に行くのではない。」というアドバイスを無視しているのだ。
株式市場について見解を述べたくはないが、マーケットが短期でどう動くかは分からないということを再度強調する。それでも私は空の銀行ビルの中で開店しているレストランの「口先だけでなく行動で証明する」という広告に従う。今日私は株を買うべきだと言っているし、お金を出して株を買っている。
以上がニューヨークタイムズ紙の記事でした。
最近まで29,000ドル台だったダウは、3月23日に19,000ドルを下回りました。私は今回の急落で買い増す銘柄はVOO(バンガード社のS&P500のETF)に決めているのですが、問題はどのタイミングでいくら買うかです。このようなときに、1回で買うのか数回に分けて買うかというのは大きな問題です。私は小心者なので数回に分けて買おうと思っています。すると近々第1回目の押し目買いかなと思っています。