リスク性金融商品販売にかかる顧客意識調査4

<昨日の続き>

金融庁のアンケート調査

2019年、金融庁はリスク性金融商品販売に関し、顧客ロイヤルティを数値化した指標等も活用した顧客アンケート調査を実施しました。その内容を確認しています。

郵送調査の対象者(インターネットに馴染みがない60歳以上の個人)とインターネット調査における60歳以上の対象者の回答を比較したところ、郵送調査の回答者の数値は以下の特徴ありました。

3.「取組方針」・「自主的なKPI」を知った手段は、新聞や金融機関の担当者から情報を入手する割合が高い

今日は投資信託・ファンドラップの運用損益別顧客比率です。

野村證券

  • 2019年3月末時点で、投資信託を保有している個人顧客が対象
  • トータルリターン:2019年3月末の時価で計算
  • 期間:2013年4月~2019年3月末
  • 上場ETF、上場REIT、公社債投信、私募投信等は除く

年率か累計か

0%~10%が最も多く38%を占めています。年率とは書いていないので6年間の累積のようです。金融庁の共通KPIの定義によると、「当該銘柄の購入当初まで遡及 。遡及できない場合は、各社が顧客に提供している「トータルリターン通知」の手法を適用」と書いてありますから年率ではないようです。

統一してほしい

日本の資料は、累積なのか年率なのかが判然としないものが多く、毎回戸惑います。1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))等は累計でリターンが表示してありますが、個人投資家にとって必要なのは、年率なので、金融庁や投資信託協会などで統一基準を作ってほしいと思います。

日本の累計は低い

アメリカの場合、インデックスファンドで10年、20年運用すると100%、200%ががざらにあるので、日本のアクティブ運用が、このような低水準であることが驚きです。

大和証券

  • 投資信託の顧客損益=
  • (基準日時点の評価金額+累計受取分配金(税引後)+累計売付金額-累計買付金額(含む消費税込の販売手数料))
  • /基準日時点の評価金額

山型と高原状

野村證券が山型だったのに対して、大和証券は高原上になっています。しかも、この高原の中心が0%程度、つまり、大和証券で買ったファンドではもうからない、ということを表しているのがびっくりです。しかも、大和証券は、ファンドラップの大手なので、そちらも気にかかるところです。

  • ファンドラップの顧客損益=
  • (基準日時点の評価金額+累計払戻金額-累計払込金額)
  • /基準日時点の評価金額

利益がない

この棒グラフを見ると、大和証券のファンドラップでは、平均すると利益がゼロのように見えます。リスク資産は、5~6%のリスク・プレミアムが欲しいのですが、それがなければ、リスク資産に投資する意味は全くありません。

インターネット証券4社合算

株式会社SBI証券、カブドットコム証券株式会社、マネックス証券株式会社および楽天証券株式会社の4社は、金融庁が2018年6月に公表した「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」のうち、「運用損益別顧客比率」について、インターネット証券4社合算して、本日公表しています。
2018年3月末時点の投資信託残高に対するトータルリターンでは、63.8%の顧客が運用損益でプラスとなっています。

SBI證券

2019年3月末時点の保有投資信託に係る購入時以降の累積の運用損益(手数料控除後)は、70.7%の顧客でプラスとなっています。2009年12月1日以降、SBI証券で保有している銘柄を対象としています。入庫した銘柄は、入庫日の基準価額または自己申告の取得価額で計算しています。

グラフだけでは判断できない

SBI証券は大和証券よりも顧客の利益が高そうですが、野村證券より低そうです。しかし、グラフだけで、数値が表示されていないので、良く分かりません。また、投資信託は売り買いせずに、長期間保有すれば、黒字になる可能性が高くなるので、グラフだけでは何とも言えない部分も多いのです。

ネット証券の優等生

SBI証券は、顧客にとっての運用損益も良さそうですが、他の面でも成績を伸ばしています。証券総合口座数などが主要ネット証券で第1位であることは想定できるところですが、個人委託売買代金シェアが証券業界No.1です。これは、おそらく、対面証券に比べて取引の手数料が格段に安いからだろうと思われます。

証券総合口座数 463万口座 主要ネット証券No.1
預り資産残高 12兆9千億円 主要ネット証券No.1
NISA口座数 140万口座 主要ネット証券No.1
個人委託売買代金シェア 35.90% 証券業界No.1
外国株式 取扱国数 9ヶ国 主要ネット証券No.1
先物オプション 商品数 先物12 オプション3 主要ネット証券No.1
2019年 「オリコン日本顧客満足度ランキング」 ネット証券No.1

楽天証券

  • 各年の3月末時点の投信残高に対するトータルリターンで算出。楽天証券で投資信託の取扱いを開始した、1999年8月30日以降の全期間に関して、保有している銘柄すべてを含みます。
  • 投資信託にはETF、上場REIT、公社債投信(MRF、MMFなど)、私募投信、確定拠出年金・財形・ミリオンで買い付けた投資信託を含みません。
  • 投資信託のトータルリターン通知制度に基づくトータルリターンを基準日時点の評価金額で除して算出した各損益率の分布。
  • 対象の顧客全体を100%として、それぞれの運用損益に該当する顧客数比率をグラフ化。

2020年はコロナショック

楽天は2020年も発表しているので、コロナショックの影響を受けて、損失が大きくなっていますが、6月時点ではかなり回復していると思います。

ファンドラップはショックが小さい

ファンドラップは、投資信託よりも損失が少なくなっています。債券に分散投資しているからでしょう。しかし、既に回復済みの6月時点では、ファンドラップと投資信託のどちらが良いかは分かりません。

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