年収

あなたの年収はいくらですか?

最近NHKで「あなたの年収はいくらですか?」という街頭インタビューをしています。800万円(飲み屋のオーナー)、1000万円(飲み屋のオーナー)という人達がいましたが、新型コロナで半分になった人もいました。一方、非正規雇用やパートで200万円、100万円台の人もいました。

雇われている人は年収が少ない

そこで気づいたことは、人に雇われていると収入が少ないという当たり前のことです。

人事企画部長

私は勤めていた会社で人事企画部長をした時期がありますが、正社員の平均的年収は600万円、管理職の上位だと1000万円、パートは200万円から100万円という数字が頭の中に入っています。これは、誰もが知っている数字です。

オーナーは年収が多い

しかし、街を歩いている人は、外見はどの人も同じように見えるので、年収を聞くとその格差にびっくりします。特にオーナーは年収が多いということに、あらためて気づかされます。

資本家>経営者>管理職>労働者

資本主義社会には、資本家と労働者がいますが、その中間に経営者、管理職がいます。オーナーは、その全部を兼務しているようなものですが、収入の寄与度が最も大きいのは、おそらく資本家でしょう。

資本コスト

資本家は資金を投資して、それに見合う利益を回収する必要があります。投資した資金の何%を毎年回収する必要があるのでしょうか?それは資本コストという数字で測れます。このグラフを見ると、アメリカは9%、日本は6%程度です。

2つの条件どちらで見ても米国株の方が日本株より優位 | Grow Rich Slowly

期待リターン

GPIFが設定している期待リターンは以下の通りです。

  • 短期金利:0.6%
  • 国内債券:0.7%
  • 外国債券:2.6%
  • 国内株式:5.6%
  • 外国株式:7.2%

期待リターン≒資本コスト

日本株式の期待リターンは5.6%ですから資本コストと同水準です。外国株式は7.2%ですが、アメリカだけで見るともう少し高いでしょうから、9%の資本コストは妥当な水準かもしれません。数年前に日本の日経平均の10倍がアメリカのダウ平均という時期がありましたが、現在は日経平均3万円に対してダウ平均3万6千ドルと、12倍になってしまいました。アメリカの資本コストは日本より高いので、これからも差は開いて行きそうです。

飲食店は5年後に1割しか残れない

ところで、飲み屋のオーナーは誰でもできるわけではありません。一般的に言われるのは、飲食店は1年で半分が閉店し、5年経つと1割しか残らないということです。あるいは、 閉店率は1年目で約3割、2年目になると約5割が閉店し、3年目では7割にも達するそうです。

大企業の雇われ社長より中小企業のオーナー社長

また、大企業の社長で年収1億円、2億円の人もいますが、中小企業のオーナー経営者で年収3億、5億という人もたくさんいます。

オーナー社長の難関

また、日本電産の創設者の永守重信は、一緒の時期に事業を起こした5人のうち2人が自殺したと話していたことがありました。つまり、自分のお金を投資し、銀行などから借金をし、人を雇い、事業を運営していくことは大変なことです。したがって、オーナーが800万円、1000万円の年収を得るのは、ある意味で当然かもしれません。

労働者も資本家になれる

それでは、労働者はいつまでも資本家にならないで良いのでしょうか?資本家にはなれないのでしょうか?

それに対する答えは、ある程度なれるということです。しかもかなり低リスクでなれます。それが、株式ETFや低コストインデックスファンドへの投資です。

昭和の時代には、これらの商品がなく、個別株式に投資するか、コストの高い投資信託に投資するしか方法がなかったのですが、現在は簡単に投資できる時代になりました。しかも分散投資ですから、低リスクでの投資が可能な時代です。イデコやつみたてNISAなどを利用して、少しずつ資本家としてのウエイトを大きくしたいものです。

ここで資本コストについて、グロービス経営大学院の解説を確認しましょう。


資本コスト Cost of Capital

資本コストとは、企業の資金調達に伴うコスト。

具体的には、借入に対する利息の支払いや、株式に対する配当の支払いと株価上昇期待である。

資本コストの代表的な計算方法としては、WACC(加重平均資本コスト)がある。これは、借入にかかるコストと、株式による調達にかかるコストを加重平均したものである。

なお、投資家の要求を満たすためには、事業計画の収益率は、資本コストを超えなければならない。

資本コストの考え方は、まだ日本のビジネス界では十分に認識されているとはいえない。しかし、資本コストは事業の価値計算において必須であるばかりでなく、グローバルに事業を展開する上で重要な概念である。

企業活動のサイクルと資本コストとの関係は、次のようになる。

・投資家が資本(キャッシュ)を調達する。
・投資家が調達した資本を企業に投資する。企業側から見れば、資本の調達になる。
・企業が資本を投下して資産を形成する。
・企業は資産を有効活用してリターンを生み出す。
・企業は資本を提供してもらった投資家に報酬を返す。

資本コストは、債権者が要求するリターンと、株主が期待するリターンに分かれる。債権者が要求するリターン、つまり債権者に対する資本コストとは利子である。利子は社債を発行する時、借入を行う時にその条件が決められるため、コストの算定は容易である。一方、株主に対する資本コストは利子のように明確には規定されていない。

日本のビジネス界においてしばしば見受けられる誤解は、企業にとって株主に支払わなければならないのは配当だから、株主に対する資本コストは配当である、という認識である。株式は企業が資本を調達するために発行するものとの原点に立ち返れば、誤った認識であることは明らかである。仮に株主が期待できるリターンが配当だけだとすると、投資家はより安全な社債で配当以上のリターン(利子)を得ることもできる。さらに、配当は利子と違って、減配や無配となる可能性もある。従って、資本コストはCAPM(資本資産価格モデル)によって算定しなければならない。