つみたてNISAのバランスファンド(2017年12月19日):変動金利の10年国債と厚生年金の共通点

◎今日のグラフ:つみたてNISAのバランスファンド(2017年12月19日現在)

つみたてNISAのバランスファンドの信託報酬は下の棒グラフの通りです。ほとんどの商品が0.2%台前半ですので、コスト面では特に問題はないと思います。

細かい数字は以下の通りです。

      主要バランスファンド(2017年12月19日現在)
委託会社・ファンド名 信託報酬
大和投信ダイワ・ライフ・バランス30 0.19440%
大和投信ダイワ・ライフ・バランス50 0.21600%
三菱UFJ国際投信eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) 0.22680%
りそなアセットマネジメントつみたてバランスファンド 0.23436%
ニッセイアセットマネジメント<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型 0.23652%
ニッセイアセットマネジメント<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスF 6資産均等型 0.23652%
アセットマネジメントOneたわらノーロードバランス(8資産均等型) 0.23760%
アセットマネジメントOneたわらノーロードバランス(堅実型) 0.23760%
アセットマネジメントOneたわらノーロードバランス(標準型) 0.23760%
アセットマネジメントOneたわらノーロードバランス(積極型) 0.23760%
大和投信ダイワ・ライフ・バランス70 0.23760%
野村アセットマネジメント野村6資産均等バランス 0.23760%
三井住友アセットマネジメント三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(愛称:マイパッケージ) 0.23760%
三菱UFJ国際投信つみたて4資産均等バランス 0.23760%
三菱UFJ国際投信つみたて8資産均等バランス 0.23760%
三井住友アセットマネジメント三井住友・DC年金バランス50(標準型)(愛称:マイパッケージ) 0.24840%
三井住友アセットマネジメント三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)(愛称:マイパッケージ) 0.25920%

バランスファンドの問題点は債券を含んでいること

しかしながら、バランスファンド自体に問題があって、私は買うつもりは有りません。その理由は次の通りです。バランスファンドは株式のほかには債権を含んでいますが、現在のような低金利の下では、配当やキャピタルゲインが課税されないつみたてNISAのメリットを生かすことができません。ですから、もし債権を持つのであればつみたてNISAやNISAの枠外で保有すべきで、非課税のつみたてNISAやNISAには利回りが高い株式を使うべきだと思います。

◎今日のテーマ:変動金利の10年国債と厚生年金の共通点

変動金利国債はインフレ時には33%がカット

日本では将来インフレになる恐れがありますが、その対策として変動金利の10年国債を保有する方法があります。変動金利の10年国債と厚生年金の支給額に共通点があるように思えます。この国債は、インフレになった時、基準金利の66%の金利が付く商品と考えられます。インフレになった分の100%が保証されるわけではありませんが、相応の金利上昇があるということでしょう。

マクロスライドはインフレ時に支給額の約3割をカット

サラリーマンが60歳以上になると受け取る厚生年金は、マクロスライドという非常にわかりにくい名前の制度によって、インフレ時には実質的に3割前後、支給額が減少するとのことです。従って、受け取る立場から見ると、インフレ時には、変動金利の10年国債の償還額と厚生年金の支給額は、実質的には3割程度目減りするということになります。逆に言うと、両方とも元本はもちろん、インフレになったとしても、そのインフレ分の7割程度が保証されるとも言えます。

つみたてNISAだけではなく、すべての金融資産、年金全体の中でつみたてNISAの商品の位置づけを検討するのが望ましい。

ETFは株式で構成されているので、リターンも大きいですが、逆にリスクも大きいと言えます。自分で保有する金融資産のうち、どれほどの割合をETFに割り振ればいいのかは大事な判断です。その際、自分が現在保有している金融資産だけで考えるのではなく、厚生年金、国民年金、DB(Defined Benefit Plan:確定給付年金)、DC(Defined Contribution Plan:確定拠出年金)、財形年金、小規模企業共済、国民年金基金、年金保険など、すべての制度、商品を総合的に検討することが正しい判断に近づくと思います。

DC(Defined Contribution Plan:確定拠出年金)の商品選び

私は、以前勤めていた会社で、DCの責任者をしていたことがありました。この会社がDCを導入したときに社員が選んだ運用商品は、9割が銀行預金でした。DCの幹事金融機関の話では、その会社だけでなく、日本の企業でDCを導入する時は、どこでも銀行預金が9割になるとのことでした。定年退職後に受け取る年金はDCだけではありません。最大の支給額は本人の厚生年金と配偶者の国民年金でしょう。二人分で年間200~300万円ほどになるのではないでしょうか。そのお金は、ほとんど元本割れのない安全なお金だと思います。

私はDCを全額株式で運用し、評価額は現在2倍

そうすると全体のリスクリターンを考えると、DCは全額株式に投資する方法も有力ではないでしょうか。実は私は全額を株式で運用しましたので、現在、元本の2倍の評価額になりました。国債残高が膨張する中で、インフレ対策は自分で意識して行うしか有りません。過去20年以上にわたるデフレの時代には銀行預金は有力な資産防衛の手法でしたが、政府がインフレ税を課そうとしている現在、どのようにインフレ対策を講じるかは重要な課題だと思います。ご参考までに「膨大する国債残高と個人ができるインフレ対策」をご覧ください。