財政危機1:将来、円高になるか。

◎今日のテーマ:財政危機1 将来、円高になるかどうか。

「安全資産」としての円

2008年9月にリーマンショックが起き、外国為替市場では急激な円高になりました。アメリカの金融機関の危機になり、ヨーロッパの政府債務も怪しくなったため、ドルやユーロの信頼が揺らぎました。そこで、「安全資産」として円が買われたのです。「米国のマネタリーベース(中央銀行が市場に供給する資金量)の拡大ペースが圧倒的でした。」(尾河真樹ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部長)2011年10月末には、ユーロ機器などで1ドル75円32銭の戦後最高値になりました。政府は5日連続の介入で9兆円の円売り、ドル買いを実行しました。

最後の円高局面

今後、もし景気が後退した場合には、円高になる可能性もありますが、「それが、『最後の円高局面』になるかもしれない。」(佐々木融JPモルガン・チェース銀行市場調査本部長)のだそうです。日本政府が、財政支出を一層増やせば、日本人が円離れを起こす可能性があるからです。

最後は円安と高インフレ

私はこのブログで、長期的に見れば、円安、高いインフレが起こると書いてきました。その理由は、異常に膨らんだ国債残高ですが、大幅な円安、インフレを起こすきっかけは、

  1. 首都直下型地震や南海トラフ地震等の地震
  2. 日本人の多くが「円」に不信を抱いて、円を売ってドルなどの外貨を買う

ことです。

財務省OB、日銀OBの外貨への逃避

そして、2番目の日本人の行動は、今のところ、退職金を受け取った財務省OB、日銀OBや、この分野に敏感な投信ブロガーなどに限られているようです。

投信ブロガーも外貨に逃避

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」の上位10銘柄のうち、8銘柄が外国株式インデックスファンドです。残りの2銘柄はバランスファンドですから、外国の資産を半分含みます。財務省OBや日銀OBの行動については、有名経済評論家が時々話をしています。私も友人から、そのような動きがあることを聞いたことがあります。しかし、今すぐに大幅な円安やインフレが起きるわけではないでしょう。私のおおざっぱな試算では、上記2.の場合、十数年の年月が必要です。

伊藤隆敏教授の推定

伊藤隆敏コロンビア大学教授の「日本財政『最後の選択』健全化と成長の両立はなるか」によれば、様々な前提条件に場合分けしていますが、数年から十数年で財政が破綻するという資産をされています。

破綻の責任は国民が取る

財政が破綻した時、南ヨーロッパなどの国債は、外国の金融機関が損失を被りますが、日本の場合は、預金者、金融機関、政府の誰かが損失を被ります。日本人の銀行預金は銀行などを通して国債で保有されます。1000万円までは預金保険制度で保証されますが、ある程度銀行が損失を被った後でも、まだ損失があれば、それ以上の金額は一部戻ってこない可能性があります。それが一部の銀行なら、政府が肩代わりをすることもありますが、多くの銀行が一時に倒産するような場合には、さすがに政府も助けられず、預金者の損失になります。

遠い将来の予測は大切

私は外国為替については、上記の尾河真樹氏と佐々木融氏に注目しています。信頼しているわけではなく、意見を聞いて自分で良く考えるようにしています。近い将来の予測は誰も当たらないと思っていますが、遠い将来については、人の話を聞く価値があると思います。