財政危機9:平成31年3月12日 予算委員会公聴会

◎今日のテーマ:平成31年3月12日 参議院予算委員会公聴会

河村小百合公述人の発言要旨です。河村公述人は元日本銀行勤務・現日本総合研究所上席調査役です。国会法51条1項において、委員会は一般的関心及び目的を有する重要な案件について、公聴会を開き、学識経験者等から意見を聴くことができます。河村公述人は、参議院議員・経済評論家 藤巻健史氏の質問に答える形で発言しています。要旨は私が、まとめました。

  • 日銀のバランスシートで当座預金が390兆円ありますから、金利1%当り3.9兆円の費用が発生します。準備金が8.2兆円ですから、すぐに債務超過に陥ってしまいます。金利引き上げだけで済むか、株式市場は大変なことになりそうです。
  • 債務超過を補填するときは一般会計から出すしかないですが、増税するんですかね。
  • 今年の予算でいうと32兆円の赤字ですが、その穴埋めには国債を発行すればよい、そしてその国債を日銀に引き受けさせれば良い、と思う人も今はいるかもしれませんが、そういう手法は取れなくなります。
  • 増税するなんてことを、国民がその時に初めていわれても、聞いていない、後出しの請求書です。
  • 日銀の保有国債は償還まで平均で7.6年です。全額満期落ちしたって半分にするのに7年かかります。短く見積もっても15年かかるでしょう。
  • 日本の財政運営は、ゆっくりだけど財政再建をやっているように見えて、実は根本的な所ができていなかったということが露になるんじゃないか、それを一番恐れます。
  • 日本の経常収支は黒字ですが、それは国外に逃げて行こうとする資金の予備軍がうじゃうじゃとあるということです。日銀の当座預金は三百何十兆とありますけれど、今の状態だったらいつでも好きなときに民間銀行は引き出せます。資金流出が始まったら止まらないですよ。
  • 普通、中央銀行というのは短期金利を引上げ誘導するんです。ところが、財政運営の方が上手くいかなくて資金流出が始まると、日銀は多分金利上げられないですよ。一方で国民が増税に応じるとも思えないし、まあそうなると多分資本移動規制を掛けなきゃいけなくなるんじゃないか、それはこの日本経済にとって非常に恐ろしい事態じゃないかな、成長戦略どころじゃないですよね、と思います。
  • 円が暴落してハイパーインフレになる可能性というについては、暴落まで行く前に、固定為替相場制で止めて、資本移動規制掛けると思います。相当な高いインフレになるんじゃないかなとは思います。
  • 三百、四百兆ぐらいの過剰流動性が供給済みなわけですから、みんながもう出しちゃえということになるでしょうから、まあ場合によっては、ハイパーインフレが国内で進むようなこともあるかもしれないと思います。
  • 非常に悲惨なことですけれども、日本は財政も非常に悪いわけですね。中央銀行が過剰なリスクテークをしているだけじゃない。
  • 資本移動規制を解除できるようになるまでには、物すごい借金残高の状況を国内の自助努力で解決するしかない。
  • リーマン・ショックの後、先進国のアイスランドなんか八年間ももう資本移動規制掛けて、本当にみんな困窮しますよね。島国なのに、もう海外に出ていっちゃった人もたくさんいるし。
  • ある程度はインフレ税に頼らなきゃいけないと思うんですけれども、やっぱりインフレというのが一番怖いのは、本当に誰彼なしに物すごい影響が行くんですよね。
  • インフレ税の怖いところは、一番経済的に弱い人に物すごく重い負担が掛かるこというふうに思います。
  • 統合政府論(政府と日銀を統合して考えれば、財政再建は完了しているという主張)は、全然納得いかないというか、お話にならないと思います。

私は、この河村小百合公述人の意見と同じです。日本はインフレが急速に進む恐れがあります。資本移動規制が始まったら円をドルに換えることができなくなりますから、今度105円程度の円高になったら、現在保有している1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)をVOO(バンガード社のS&P500のETF)に変換することを考えるかもしれません。