確定拠出年金評価額2020年2月

日本版401k

DC(ディーシー)は、Defined Contributionの略で、「確定拠出年金」のことです。2001年の制度導入時には「日本版401k」と呼ばれていたこともありましたが、現在は「日本版401k」と呼ばれることはほとんどありません。

2001年に制度開始

DC確定拠出年金は、2001年10月から施行された確定拠出年金法に基づく企業年金のことです。確定拠出というのは、拠出(=掛け金)が確定しているという意味で、将来受け取る年金の額は、掛け金の運用によって変動します。運用がうまくいけば受け取る年金の額が増加しますが、株価の下落などにより運用が失敗すれば年金額も減少します。

ヨンマルイチケイ

米国の内国歳入法の401条(k)項に基づいて設定されている確定拠出年金を参考にスキームがつくられたことから「日本版401k(ヨンマルイチケイ)」と呼ばれていました。

企業型

確定拠出年金には、企業型と個人型があり、企業型を導入するかどうかはそれぞれの企業の意思です。企業に対する大和証券の説明は以下の通りです。

(企業型)確定拠出年金とは

企業年金:(企業型)確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金等 厚生年金保険・国民年金:公的年金
  • 企業年金制度の一つであり、税制面で優遇されています。
  • 退職給付債務が発生せず、積立不足の心配がありません。
  • 会社が拠出する掛金は全額損金として処理できます。
  • 従業員自身が自己責任で資産運用します。
  • 受給開始は原則、60歳以降です。

自己責任という言い方は冷たい

上記の説明のうち、「従業員が自己責任で資産運用します」という表現は、従業員から見ると冷たい感じを受けるかも知れません。事実、私も2001年に企業型確定拠出年金を始めたときには、そう思いました。

自分の意志で運用

しかし、実際に運用を行った結果20年間で元本の200%になったのですから、自分の意思で運用を行ってよかった思います。

リターンの高いのは外国株式

企業型確定拠出年金の掛け金は、全額を企業が払ってくれて、従業員が運用を行います。運用商品は、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、バランス型、銀行預金などがあります。リターンの高い順に並べると以下の通りです。

外国株式>国内株式>バランス型>外国株債券>国内債券>銀行預金

アクティブよりパッシブが有利

株式にはアクティブとパッシブ(インデックス)の2種類がありますが、コストはパッシブの方が安いのです。

9割は銀行預金型

2001年当時、私は全額をインデックスの外国株式にしました。ところが私が勤めていた会社の従業員の9割は銀行預金型を選んだのでした。銀行預金型は元本が保証されますが、リターンはほぼゼロです。私の勤めていた企業の確定拠出年金を受託していた金融機関によると、この傾向はほかの企業でも同様で、9割が銀行預金型を選ぶそうです。

現在の選択割合

現在の商品選択割合を金融庁の資料で見てみましょう。

元本確保型は54%

元本確保型商品は、預貯金と保険で、それぞれ35%、19%ですから合計54%です。

インデックス型が正解

私の選択した外国株式型は、7%ですから少数派と言えるでしょう。その中で、私のようにコストの安いインデックス型はさらに小さな割合でしょう。言葉の響きとして、インデックスやパッシブよりアクティブの方が格好がよさそうにオム人もいるでしょう。私の子供に、「アクティブでなくインデックスを選べ」と言っておいたのに、いざパソコンで選択するときには、アクティブを選んでしまったのです。それに気づいた私は、すぐにインデックスに変更させました。

企業型確定拠出年金は年金全体の中のほんの一部

企業型確定拠出年金の商品を選択するときには、企業型確定拠出年金だけでなく自分が受け取る年金全体を見て、その中の企業型確定拠出年金の位置づけを考えるべきです。

元本確保型ではインフレ対応できない

もし老後に毎月必要な生活資金が30万円、厚生年金の受給額が夫婦で毎月20万円だとすると、年金額の3分の2は元本確保型で、しかもある程度のインフレ対応もしてくれる年金です。それに加えて元本確保型の銀行預金等を選ぶ必要がどれほどあるのでしょうか。そして元本確保型の商品を選べば、逆にリターンは期待できません。現在の日本はデフレから完全に脱却したとは言えない情勢ですが、これがいつまで続くか分かりません。インフレになった場合には、マクロ経済スライドが適用されて厚生年金の実質手取り額は減少します。

全額外国株式のインデックスファンド

このような全体像を念頭に置くと、企業型確定拠出年金は全額外国株式のインデックスファンドで運用した方が良いというのが私の考えです。

上記の金融庁作成資料による円グラフの、元本確保型以外の運用商品についても考えてみましょう。

国内株式型

国内株式型は、外国株式型と同様に有力な商品だと思います。しかし、日本に関して問題なのは国債残高の増加です。

膨大な国債残高

国の借金は先進国の中でも圧倒的にひどい状況にあります。財務省の資料によれば、公債残高は毎年20~30兆円増え続けていますが、現在は日本銀行が異次元金融緩和政策で金利を抑え込んでいるから、このレベルで済んでいると思います。この状況が終われば、円の暴落、日本株売りが始まっても不思議ではありません。日本株式の割合はあまり高くしない方が安全だと考えています。

日本株は世界分散の中の一国

ただし、資産分散の観点からは、世界第3位のGDPを誇る日本株を一切持たないのも、日本に住んでいる日本人としてはリスク分散が十分ではないと思います。

日本株は特定口座

この日本株の持ち方として、企業型確定拠出年金で持つか、個人型確定拠出年金で持つか、NISAで持つか、つみたてNISAで持つか、あるいは、特定口座で持つか、を選択する必要があります。私は確定拠出年金やつみたてNISAのような優遇税制の商品は外国株式インデックスファンドを選び、国内株式のETFは特定口座を選択しています。その理由は外国株式の方が期待リターンが高いので、税の優遇のメリットを最大限に生かせるからです。

債券、バランス型は候補にならない

国内債券、外国債券については現在のような超低金利では魅力がありません。バランス型も債権を含んでいるのでやはり候補から外れます。